報道発表資料 

柏崎刈羽原発4号機を再停止させなければならない新事実について

2003年8月4日

プルサーマルを考える柏崎刈羽市民ネットワーク

1.     結論

 柏崎刈羽原発4号機は再循環系配管などに、多くの未点検箇所を残していますが、今回未点検の箇所に深いひび割れがある可能性があり、4号機を動かし続けることは危険であることが判明しました。なぜなら、最近明らかになった女川原発1号機のひび割れ調査結果等から、「実はこれまでの定期検査では5.6ミリもの深いひび割れを見逃していた」ということと、「ひび割れの進み具合が実は相当に速いものである」可能性が分かったからです。

 東京電力によると、4号機は8月中旬頃に定期検査を終了する予定とのことですが、定期検査を終了して営業運転に移行することには、危険性が高く再停止する必要があります。

 

2.     重要な新事実について

 東北電力のホームページの715日付け文書、「女川原子力発電所1号機における原子炉再循環配管のひびに関する改良型超音波探傷試験による測定および実測結果について(資料1」にあるように、「200298日からの第15回定期検査において、新たにひびの兆候が確認された原子炉再循環配管の6箇所の溶接継手部について、改良型超音波探傷試験によるひびの測定を行うとともに、その精度確認のため、当該配管を切断してひびの実測を行いました。

 その結果である「別紙3:女川原子力発電所1号機原子炉再循環配管のひびに関する改良型超音波探傷試験による測定および実測結果 一覧表(資料2」によると、従来の超音波探傷試験による深さの値よりも、実測の値の方が上回っている例が幾つもあり、前回の第14回定期検査(2001428日〜200189日)時の自主点検ではひびが無いと判断したが、第15回定期検査でひび割れを確認した溶接継手(661-601-F04)が含まれています

 そして、原子力発電設備の健全性評価等に関する小委員会(第8回)配付資料(資料3「参考8−8再循環系配管点検結果一覧」によると、溶接継手661-601-F04に確認された2箇所のひび割れの深さは、それぞれ2.0ミリと3.0ミリと測定されましたが、実測値はそれぞれ6.6ミリと5.8ミリもありました

 更に重要な点として、この2箇所のひび割れが確認されていた継手に、今回の改良型超音波探傷試験によって、新たに一箇所(指示位置210°付近)のひび割れが確認されたことです。しかも、その深さは実測値で5.6ミリとかなり深いものでした。つまり、従来の超音波探傷試験では5.6ミリもの深さがあるひび割れを、完全に見逃していたのです

 

3.     国の亀裂進展評価は間違っている

 原子力安全・保安院の「原子力発電設備の健全性評価について−中間とりまとめ−」

原子力発電設備の健全性評価等に関する小委員会(第7回)配付資料(H15.3.10) 資料7−3)の巻末に添付資料2「再循環系配管各部のき裂(ひび割れ)進展評価(資料4)」があります。

 この評価結果を根拠として再循環系配管の点検に関する考え方が決められています。評価の前提となる「初期のき裂深さ」を2ミリとしています。すなわち、2ミリより深いひび割れであれば従来の超音波探傷試験で見つけられるとみなしています。また、「き裂の進展速度」については、配管の太さによって違いますが、おおむね年間1ミリ以下程度としています。

 しかしながら、今回女川一号での実測結果にはこの国の評価は当てはまりません。5.6ミリもの深さのひび割れが、従来の超音波探傷試験で発見できませんでした。すなわち、2ミリより深いひび割れなら、従来の超音波探傷試験でも確認できるとの、国の見解は誤りということになります。

 そして、従来の超音波探傷試験で確認できたが、実測したらより深いひび割れだったことも、国の評価結果と矛盾する事実です。なぜなら、仮に第14回定期検査時の自主点検で、2ミリ深さのひび割れを見逃していたとしても、次の第15回定期検査までの一年少しの期間に、45ミリも深くなったことになるからです。

 結局、「実はこれまでの定期検査では深いひび割れを見逃していた」ということは確実ですし、「ひび割れの進み具合が実は相当に速いものである」としても、過去5年以内の定期検査で異常なしだった継手を、今回調べないことの妥当性は崩れることになります。

 よって、4号機の再循環系配管やノズル部の今回未点検箇所に、相当に深いひび割れを放置している可能性がある訳です。過去の定期検査の結果で異常なしでもその時点で、5.6ミリ以上の深さのひび割れを放置しているか、その後に入ったひび割れが急速に深くなっているかもしれないのです。

 

4.       東電電力の姿勢は安全軽視

 これまでの調査により、東北電力・中部電力・北陸電力の原発は、再循環系配管の全溶接継手を今回検査したか、ノズル部も含めて今回全部検査する予定です。しかも、過去5年以内の定期検査で異常なしの継手に、今回の検査でひび割れを見つけています。現時点でひび割れが確認された継手の数は、東北電力1・中部電力4・北陸電力1の計6箇所です。東京電力の原発の数の多さと古さから考えても、東京電力だけは問題無いとは考えにくい状況です。

 

5.       未だに役に立っていない保安院

 女川一号の実測結果は715日に保安院に届けられていることが、東北電力ホームページに公表されています。又、保安院の責任者に対して女川一号のひび割れについて、実測データの結果が相当深いひび割れなら、問題である事を既に指摘し同意されていました。

 その715日以降の、再循環系配管等に未点検箇所を残した、柏崎刈羽4号機の再稼動を保安院は許可していますが、今回の事が報告された715日以降すぐに、今回全部検査しないことの問題や、従来の超音波探傷試験の問題に気付いていて当然です。

 本来なら、従来の超音波探傷試験の結果を信用できない以上、4号機の再稼動に待ったをかけるべきでした。また、従来の超音波探傷試験に関する新たな問題について公表し、改良型の超音波探傷試験で全部調べ直すよう、関係原発全てに指示を出すのが当然でした。

 しかしながら、こうした動きの全く見えない現状のまま4号機は動き続けています。特に専門家でなくても気が付く問題を、未だに放置したままでいると思われる保安院は、安全規制や安全確保の役に立っていません。保安院の解体論議が出るのは当然と言えます。

 

6.       電力は十分に足りている

 東京の電力は7月の間については原発無しで全く困りませんでした。6500万キロワットの最大需要を想定していましたが、実際は4000万キロワット台で低迷し、5000万キロワットを超えたのは一日(711日)だけで、それでも5023万キロワット程度でした。

 もはや、実際に危険性がありうる原発を動かし続ける必然性はありません。ましてや、これ以上の原発を動かすなど危険なだけです。今問題になっている再循環系配管のひび割れは、国の想定する冷却水喪失事故を引き起こしうる損傷であり、重大な危険性を放置しながら、必要のない電力確保のために動かすことは完全に間違っていると思います。


今回の記者会見の報道記事リンク↓

柏崎刈羽4号機「徹底検査を」NIIGATA NIPPO NEWS

柏崎刈羽原発4号機「徹底検査を」 08/04 19:29 BSN新潟日報NEWS
 
 原子力発電所に反対する市民団体がきょう会見し、再循環系配管のひび割れを補修して運転を再開した東京電力の柏崎刈羽原発4号機について国と東京電力に、発電を再び停止し、点検するよう訴えました。
 原子力発電所に反対する市民団体「プルサーマルを考える柏崎刈羽市民ネットワーク」はきょう会見を開き、先月、運転を再開した東京電力の柏崎刈羽原発4号機にひび割れが残っている可能性があるとして、点検の必要を訴えました。
 市民ネットワークは、補修して運転を再開した東北電力・女川原子力発電所1号機の配管について、従来の超音波を使った点検で異常なしとされたにもかかわらず点検方法の改良によって深さ5・6ミリのひびが発見された事例を指摘しました。
 その上で柏崎刈羽原子力発電所4号機が過去5年の点検でひびがなかった配管を調べずに再稼動したことについて、「従来の点検ではひびを見逃した可能性がある。
 全配管を点検すべきだ」と訴えました。
 また、女川1号機について、従来の点検を信頼したとするとおよそ1年でひびが5・6ミリ進展したことになり、「年間おおむね1ミリ以下とする国の評価は間違っている」としました。
 

(資料1

※下記には従来の超音波探傷試験でひびの有無を確認できるとあるが、第15回定期検査で(資料2)の溶接継手番号Iの指示位置210°付近のひび割れを見落としていた。また、このひびの深さ測定については、改良型超音波探傷試験の、フェイズドアレイ法では測定出来なかった。

女川原子力発電所1号機における原子炉再循環配管のひびに関する
改良型超音波探傷試験による測定および実測結果について

平成15年7月15日

 当社、女川原子力発電所1号機(平成14年9月8日から第15回定期検査中)において、新たにひびの兆候が確認された原子炉再循環配管の6箇所の溶接継手部について、改良型超音波探傷試験(注)によるひびの測定を行うとともに、その精度確認のため、当該配管を切断してひびの実測を行いました。

(2月26日お知らせ済み)

 測定結果および実測結果について別紙のとおりまとまり、本日、原子力安全・保安院に報告しましたので、お知らせいたします。
 今回の結果から、当社としては、改良型超音波探傷試験により原子炉再循環配管のひびの有無を、従来の超音波探傷試験と同様に確認できること、加えて、ひびの深さ等について一定の精度で測定できると考えております。
 また、ひびの深さを実測した結果、全ての溶接継手部について必要厚さを満足していることを確認しております。
 なお、ひびの実測のために切断した配管は、全て新品に交換いたしました。

 今後、当社、東京電力および中部電力の3社で実施している改良型超音波探傷試験に関する調査結果は、国の原子力安全・保安部会「原子力発電設備の健全性評価等に関する小委員会」において評価される予定です。

以上

(注)改良型超音波探傷試験

(1)端部エコー法(横波斜角法および縦波斜角法による試験)
   横波斜角法は、横波の超音波速度が遅いため、小さい欠陥の検出に有効であり、縦波斜角法は、ひびの先端部分からの反射波の強度が大きくなるように、縦波の超音波を用いており、縦波の超音波は横波よりも減衰しにくいため、結晶粒が大きな溶接金属内にあるひびの検出に有効であるとされている。

(2)フェイズドアレイ法
   従来の超音波探傷試験は一個の超音波探触子を用いているが、フェイズドアレイ法では、複数の超音波探触子を用いており、超音波の角度を変えることにより、種々の形状のひびからの反射波を捉えることが出来る。

(3)2次クリーピング波法
   2次クリーピング波法は、配管の内表面に沿って超音波が伝搬するため、配管の内表面付近に開口部があるひびの検出に有効であるとされており、従来は、ひびの確認に用いられてきた。今回は、横波斜角法で確認されたひびについて、この2次クリーピング波法を用いてひびの長さを測定。

別紙1:女川原子力発電所1号機 原子炉再循環配管のひびに関する改良型超音波探傷試験による測定および実測結果について(概要)

別紙2:女川原子力発電所1号機 原子炉再循環配管 概要図

別紙3:女川原子力発電所1号機 原子炉再循環配管のひびに関する改良型超音波探傷試験による測定および実測結果 一覧表

参考:女川原子力発電所1号機 原子炉再循環配管のひびに関する改良型超音波探傷試験による測定および実測結果 一覧表
 


(資料2)※溶接継手番号Iが資料3溶接継手番号661-601-F04と同じ箇所で、前回ひび割れ無し


(資料3

    A系の上から3番目の溶接継手番号の溶接継手が661-601-F04で2つひび割れがある。ここは前回の検査でひび割れがなかった事を、東北電力に直接電話して確認していた。


(資料4



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