東京電力は8月10日、地震発生当時のプラント状況を示す主要なデータを公開しましたが、 内容に不明な点が多いため発電所に詳細を確認しております。  以下はこれまでの問い合わせ内容と回答内容です。(8月23日作成、9月11日更新) 8月14日質問、8月15日回答、8月20日確認分(※以下の内容は8月20日に再質問・確認した内容) Q.「柏崎刈羽原発2号機のECCS手動操作について」8/11の毎日新聞記事だけでは、 正しく理解できないので説明をお願いしたい(東電はその記事の内容に抗議したとのことなので)。 A.操作上のプロセス @ 地震直前のプラントの状態は、原子炉起動中で炉内は約33気圧、発生した蒸気は、 タービン入口前の主蒸気止め弁(MSV)まで入っていた。 この時、原子炉水位は電動駆動給水ポンプと復水ポンプからの給水で維持されていた。 A 地震発生に伴い原子炉が自動スクラムし、全制御棒全挿入を確認した。次に「冷やす」ことが重要なため、 “原子炉水位の維持、炉水位が沸騰しない状態まで冷やす(冷温停止、炉圧はゼロ)”操作が必要となる。 その直後、炉内の余剰水を排出して原子炉水位を制御できる原子炉冷却浄化系(CUW)ポンプが停止したため、 炉水が排出されず原子炉水位が上昇傾向となった。 ※CUWが停止したのは、ポンプの給水口のストレーナーの状態を監視しているセンサーが、 ストレーナーの前後での差圧が大きくなったため(ストレーナーが詰まった場合などにそうなる)、 停止信号が出てポンプが停止したとのことですが、詳しい原因は(調査中とのことなので)後日回答願います。 (9月3日の追加説明) ストレーナーの詰まりを除去するため、ポンプを逆向きに回転させる洗浄動作を2度行ったが、 問題は解決されなかった。 (9月5日の追加説明) 復水ポンプは3台あるが2台動けば十分なので2台動いていた。しかし、地震の影響で電気系統の問題が発生し、 復水ポンプが1台停止してしまったため、動かしていなかった復水ポンプが自動起動した。 B 原子炉水位の上昇により、 復水ポンプと配管で繋がっている電動駆動給水ポンプが水位抑制のため自動停止となったが、 上昇は続いていた。上昇の理由は、制御棒(CR)を挿入状態に保つために、 制御棒駆動機構(CRD)に水を注入し続ける必要があり、 リセット(※CRDのバルブを閉めること)しない限り炉内に補給状態となる。 C 炉内圧を減少させるため、タービンバイパス弁を開にして復水器へ蒸気を逃がしたので、 水位は更に上昇した。 ※減圧沸騰によりボイド(蒸気の泡)が増加して、見かけ上水位が上昇したということか? (9月3日の回答)はい D タービン機器への影響を防ぐため、主蒸気隔離弁(MSIV)を全閉にし、 蒸気を炉内に封じ込めたので、水位は一時的に下降した。 ※減圧沸騰が抑制されてボイドが減少したために、見かけ上水位が下降したとういうことか? (9月3日の回答)はい E その後、炉水は再度上昇傾向になった。主蒸気逃し安全弁(SRV)の開閉操作による減圧操作過程において、 復水ポンプ、制御棒駆動ポンプに加えて低圧炉心スプレイ系(手動操作)も用いて炉内へ冷却水を補給した。 (9月3日の補足説明) 低圧炉心スプレイ系を優先して使ったのは、それらが耐震強度の高い原子炉格納容器内の設備で、 原子炉の下部にある圧力抑制プールの水を使うことができるため(余震で支障が出にくい方法と判断した)。 (9月5日の補足説明) 高圧炉心スプレイ系を使う必要のある炉内圧力でないし、大量の冷却水を必要とするほどの温度でもなかった。 F この時の炉内水位は、非常用炉心冷却系(ECCS)として要求される水位L3(-3,7m)より4mも上であり、 緊急性を要求される状態ではなかった。 ※通常は水面下に無い炉内の構造物が水没しても問題ないとのことだが、 水位が上昇し過ぎて炉内が完全に水没すると、水圧駆動による制御棒の挿入に支障が出ないのか? (炉内の水位が上昇し過ぎることによる問題は何一つ発生しないのか?) (8月28日の回答) 水位あがっても制御棒は100気圧くらいで押し込むから押し込める、 制御棒の駆動水は少ないので水没まで余裕ある。 ※なお、(8月20日の説明で発電所広報担当者が使用した)8月10日の記者会見時の記者との質疑応答内容のメモは、 2号機の上記説明の参考になる内容などがあるので、8月20日に説明を受けた際に公開を要請しています。  また、CUWの停止による水位上昇の問題解決のために、 あたふたと対応を検討しながらなんとか対処したようなので、 CUWという重要ポンプの突然の停止を想定した、 対応マニュアルがあり訓練していなかったのか?、説明を求めました。 (9月3日の回答) 記者との質疑応答内容のメモは公開できない。通常運転時におけるCUWの停止は想定していたが、 今回のように起動中の停止は想定外であったので、現場で対処方法を考えながらの対応となった。 1.略語集について @ TBVについて なぜ、号機によって容量にこれほど差があるのか?  100%あった方が良いということではないのか? A:タービンバイパス弁にはタイプが少し小型と少し大型の2種類ある。  1号機は少し小型のタイプで25%容量で5台  2,5号機は少し大型のタイプで100%容量で8台  3,4号機は2,5号タイプを流用し37,5%で3台  6,7号機は2,5号タイプを流用し33%で3台  タービンバイパス容量は25%あれば、問題なく原子炉の起動・停止及び通常運転ができる。  100%容量は発電所のブラックアウト(停電)を防ぐために、所内単独運転をするために、 発電所には必要となるが全号機を100%容量にする必要はない。 (9月3日の追加質問) タービンバイパス弁で、2か5が使えれば全号機大丈夫か、2と5が使えなければ全号機だめなのか? (9月5日の回答) 2か5が使えれば全号機の電力を確保できるが、2と5の両方が使えなければ電力を確保できない A D/Wの説明にあるS/Cとは「サプレッションチェンバー」のことか? はい B CRとCRDの説明においてRPSという略語が出てくるが、 「Reactor Protection System 原子炉の安全性を損なうおそれのある過渡変化や事故が生じた場合に、 原子炉の安全性を維持するために原子炉の緊急停止(制御棒の緊急挿入)を行う設備。 安全保護系のうちの一設備。」のことか? はい 2.計算機の打ち出しについて @ まず、そもそも公開されている打ち出しはどのような範囲なのか?なぜこの部分だけを公開したのか? A:今回のスクラム前後のALARM(警報)発生を示すデータ (9月3日の補足説明) 計算機打ち出しの範囲は、「スクラムに至った要因(地震加速度大)、自動スクラム信号、全制御棒全挿入、 タービントリップ、発電機トリップ又は保護継電器トリップ」の、 自動スクラムが順調に予定通りになされたことを確認するために、 必要不可欠な最重要基本5項目の印字が確認できる範囲である。 そして打ち出しに手書きした☆印は、それら5項目が印字された部分を示している。      A 2号機の打ち出しの右上端にある頁番号(3427とか)や、 3号機の打ち出しの真ん中上にある頁番号(135とか)はどういう意味か?なぜ他の号機では頁番号がないのか? A:2号機(3427)は、今までの累積数字を示すが、深い意味はない。  3号機(135)は用紙に記載の通り、バックアップデータを出力したもので、 プロセスコンピューター内に残してあるデータのため。7号機は、ご指摘の通りロール紙のため頁はない。 B 2、3、4号機では一枚毎の紙に打ち出され、7号機ではロール紙に打ち出されているのか? A:Aで回答 C 2号機では「表紙を含め全71枚」、4号機では「全103枚」といった表記があるが、 この全71枚なり103枚とはどのようなまとまりのことなのか? A:一日のALARM(警報)発生を示すデータで、号機によって異なる。 D 3、7号機ではCのような表記が無いが、まとめ方が違うのか? それとも同じようなまとめ方をしているのか? その場合は、3、7号機はそれぞれ全部で何枚あるのか? A:3号機は紙詰まりのため。  7号機はロール紙のため。 D 4、7号機は秒単位で打ち出されており、他は分単位の打ち出しのようだが、 秒単位の打ち出しの方が良いのではないか?なぜ分単位の打ち出しのままだったのか? A:製造メーカーによって異なる。  4、7号機は、東芝で秒単位、他は日立で分単位となる。  E 分単位であれ秒単位であれ打ち出した順番が、その信号(警報)が計算機に届いた順番ということか?  はい (9月3日の回答で修正) 印字された分や秒単位の記載内容の記載順は、必ずしも信号の発生順序を示してはいない。 F 時間の左側に*、#が印字されているが何の意味か?、また手書きで☆が記載されているが何の意味か? A:「☆」は、“地震過速度大、自動スクラム等”今回のスクラムに伴う必要なアラームを示す。 (9月3日の回答、9月7日の東電側の希望で記載内容を一部削除) 印字の脇にある*と#は、打ち出しする信号の内より重要なもので、 制御室の警報盤の内、赤色の警報に相当する印字内容を示す記号である。 G 2号機だが、アラームタイパ欠測がある。なぜこのような重要部分が欠測したのか? データのバックアップ措置もしていないとういことか? こういった問題は今後も起き得るのか?対策はとったのか? A:今回のスクラム前後のALARM(警報)発生を示すデータ (9月3日の回答、9月7日の回答で一部補足修正) 2号機の計算機打ち出しの欠測だが、計算機が地震による影響でビット化けがおこって初期化した。 処理能力の超過が原因ではない。そのため、計算機は自動で初期化(イニシャライズ)したが、 そうなると復帰に2分間かかりその間欠測した(初期化中の2分間に関する信号は完全に欠落)。 さらに、復帰後もバッチ処理(読み出した信号をまとまりで処理する)して情報をある程度まとめて印字する仕組みで、 計算機が信号の有無を読み出しにいく時間もあるので、実際は初期化に必要な2分間以上の時間、 打ち出し機能の回復に時間がかかっている。そのため、正確に印字されているのは1019以降。 2号機の計算機が現状では一番古く、次の定期検査時に更新予定だった。 6と7号機は最初から新しい計算機で、1と5号機のはすでに更新していた。2号機の計算機は早急に更新する。 H また、Fの後に「以下時間ずれあり」とあるが、どの程度の時間のずれがあるのか? なぜ時間のずれが生じたのか?対策はとったのか? A:上記Gの回答参照 I 2号機だが、「1015 コンソールCRT2,3,4,6,7故障」とあるが、 コンソールCRTは幾つありどのような装置なのか?なぜ故障したのか? この故障によりどのような支障が出たのか?いつ直ったのか? A:コンソールCRTは操作台付ブラウン管のことで、TVモニターと同様のもの。  運転監視用の各種パラメータや系統を表示できる装置で、中央制御室に12台設置されている。 地震でこのCPUが故障したため警報として表示されたが、特段支障はなかった。 (9月3日の補足説明) コンソールCRTはメンテナンス用のもので、中央制御室の下の計算機室にあり通常時は使われない。 (※上記内容の未回答部分や回答不足部分は後日回答予定)→9月3日に補足説明や修正に部分回答あり (以下は8月28日新規質問への9月3日回答、9月7日の回答で一部修正) 質問;3号機の計算機打ち出しに特に多く印字されていた「制御棒ドリフト」について 回答;制御棒は15cm刻みに00〜48ポジションあり、 偶数ポジションの位置にないと制御棒ドリフトとみなすことを、 東芝、日立のメーカー側からの提案を東電が了承して決めている (他の電力会社でも同じと思われる)。 そして、制御棒の位置をスキャン(確認)したときに、 制御棒が偶数ポジションにないと、制御棒ドリフトと印字する仕組みになっている。 3号機で制御棒ドリフトが特に多発したわけではなく、今回公開した打ち出しの範囲において、 特に3号機が多かっただけであり、他の号機の打ち出しの未公開部分には、 同様(3号機の打ち出しと同じくらい多く)の制御棒ドリフトが印字されている。 以上