原子力安全・保安院への質問書


2003年8月4日

 BWR原発立地地域及び電力消費地の市民団体(18団体)より,原子力安全・保安院に対し,国の定期検査結果の信頼性,超音波探傷試験の精度問題の経緯及び健全性評価の信頼性等について以下質問致します。8月22日までに文書で御回答下さるようお願いいたします。

 

1.国の定期検査結果の信頼性について

BWR原発のシュラウドと再循環系配管において,東電不正事件を受けての一斉点検で次々とひび割れが発見されている。特に柏崎刈羽原発1号機は顕著で,再循環系配管において,最近数年間に行われた「電力会社の自主点検」で発見された4箇所を含め,45箇所中26箇所と,実に6割に切迫する箇所でひび割れが見つかっている。再循環系配管は安全上最も重要な機器であり,そのために「国による定期検査」の対象になっていた。ところがこの定期検査については,同号機で運転開始以来17年間に行われた35箇所の検査結果はすべて「異常なし」であった。同様に,ひび割れが多数発見されている他の原子炉についてもこれまでの定期検査の結果はすべて「異常なし」であった。

なぜ国の定期検査ではひび割れが出ないのか。「原子力発電所における自主点検作業記録の不正等の問題についての中間報告」(2002年10月1日保安院)において保安院は,過去に,電力の自主点検と国の定期検査が全く同じ部位で行われ,自主点検ではひび割れが確認され,定期検査では「異常なし」であった事例が7例あることを明らかにした。12月にはこれを10例に訂正した。保安院は結果の差異について,国の定期検査と電力の自主点検では検査方法が違い,自主点検ではより感度の高い方法を用いていたからだと説明していた。

この説明に疑問を抱いた市民団体は電力会社に問い合わせ,その結果,例えば福島第二原発3号機の第5回の定期検査時に,国の定期検査において,自主点検と同じ方法で行った試験においてひび割れ指示を確認していながら,「異常なし」とされていた等の事実をつかんだ。

この理由を2003年6月10日に提出した保安院に対する資料請求で問い質すと,保安院は7月4日付「平成15年6月10日付け資料請求に対する回答」において,「定期検査においても斜角法による超音波探傷試験を実施しておりますが,当該検査は,原子力安全・保安院が定めた標準定期検査要領書に基づき,「軽水型原子力発電所用機器の供用期間中検査(JEAC4205-1996)」(以下,「JEAC4205」という。)に掲げる方法に準拠して行うこととしており,また,検査結果の判定に当たっては,同要領書に基づき,「電気工作物の溶接に関する技術基準を定める省令」(以下、「溶接省令」という。)及びその解説を判定基準としています。具体的には,試験結果において指示が検出された場合(当該指示が配管等の形状によるものと評価されるものは除かれます。)について,溶接省令及びその解説において定める判定基準にしたがい,@DAC100%を超える指示が検出されない場合,又はADAC100%を超える指示の長さが,当該設備の板厚に応じて定められた一定の値以下である場合には「異常なし」と判定されます。」と説明した。

国の定期検査における再循環系配管のひび割れの検査は,超音波探傷試験の「斜角法」で行われ,ひび割れの長さだけが評価される。評価はDAC20%とDAC100%の2通りで行われ,比較的小さいエコーでもひび割れ指示とみなすDAC20%に対し,比較的大きいエコーだけをひび割れと評価するDAC100%は値がより短く出る。保安院の回答は,国の定期検査では,斜角法でDAC100%を超える指示があるものだけをひび割れとみなし,さらに,DAC100%を超える指示があった場合でも,板厚に応じて定められた一定の値以下である場合には「異常なし」と判定している,というものであった。定期検査要領書によると,板厚の3分の1以下の長さであれば,「異常なし」とされ,板厚40o程度の再循環系配管の母管であれば,10数o程度以下の長さでは「異常なし」となってしまう。

ところが保安院は,2003年7月16日の北川れん子議員による内閣委員会での質問に対して佐々木保安院院長が行った答弁において,上記の再度の説明とも異なる説明を行った。答弁によると,福島第二原発3号機の第5回定期検査の超音波探傷試験で確認されたエコーは,ひび割れによるものではないと判定しており,エコーの位置は第8回定期検査時の自主点検で見つかったひび割れとは異なっていたという。

超音波探傷試験でエコーが出た場合,それを建設時の超音波探傷試験の記録と付き合わせる作業を行い,同じ部位の同じ位置で出たエコーについては,建設時の加工や形状によるものと判定するという。

東京電力は2003年7月29日の市民との交渉の場で,自主点検と定期検査が同じ部位で行われていた事例のうち東京電力に関わる部分については,定期検査で確認されたエコーはすべて,溶接部の結晶や形状によるもので,ひび割れに起因するものではないと判定していた,と述べている。

一方で東京電力は,2003年6月26日の株主総会において,福島第二原発3号機の事例について「平成5年の定期検査時にあった微小な欠陥が時間の経過と共に進展し,平成9年に自主点検において検出されたとしても、適切な評価を行い、安全上問題がないことを確認しております。」と述べている。これは保安院院長の答弁と矛盾する。

実に迷走しているが,仮に保安院の最近の説明に従ったとしても,福島第二原発3号機の第5回定期検査結果には疑問がある。東京電力が7月29日に明らかにした他の事例の中にも同様なものがあり,さらには,定期検査と自主点検が同じ時期に同じ箇所で同じ検査会社が同じ方法で行われたにもかかわらず,試験の測定値やひび割れの有無の判定が異なるといった事例もある。これは実に不可解である。

定期検査記録の信頼性に関わる件につき,以下質問する。

 

(1) 自主点検でひび割れが発見された同じ部位で行われた定期検査の結果に関して

@ 東京電力と中部電力が自主点検によって発見していた再循環系配管のひび割れについて,同じ箇所で行った国の定期検査では「異常なし」となっていた件が過去に10例存在した件について,保安院からの回答,国会での答弁及び東京電力からの聞き取りから,自主点検の時期と測定結果,定期検査の時期と結果を下表に整理したがこれで間違いないか。また表中に「?」とある箇所を明らかにされたい。

 

「自主点検」でひび割れを確認した同じ部位で「定期検査」が行われた部位の結果一覧

 

号 機

部 位

種 別

時期

45°斜角法

端部エコー法

定期検査

の判定

DAC

20%

DAC

100%

UT深さ

()は実測

福島第一1号

A 1-W-02

自主点検

19回

22mm

 

定期検査

20回

25mm

 

柱状晶伝播エコー

福島第一3号

A FWRS-A-2

定期検査

13回

 

エコーなし

自主点検

14回

161mm

8mm

8.6mm

 

福島第一3号

B FWRS-B-2

定期検査

13回

513mm

4mm

 

柱状晶伝播エコー

自主点検

14回

657mm

11mm

6.9mm

 

福島第一4号

A 1-FW-13

定期検査

13回

1089o

 

柱状晶伝播エコー

自主点検

13回

13mm

6.5o

 

14回

26mm

7.5mm

 

中間停止

30mm

8.0mm

 

福島第一5号

B W-R5-B3-1

定期検査

15回

16mm

スポット

 

裏波エコー

自主点検

15回

16mm

スポット

2.0mm

 

福島第二3号

A 661-101-F05

定期検査

3回

25mm

 

裏波エコー

自主点検

11回

42mm

2.5mm

 

福島第二3号

B 661-B06-S02

定期検査

5回

全周

4mm

 

柱状晶伝播エコー

自主点検

8回

51mm

21mm

6.5mm

 

10回

69mm

45mm

6.0mm

 

11回

67mm

40mm

5.0mm

 

福島第二3号

B 661-101-F08

定期検査

5回

全周

52o

 

柱状晶伝播エコー

自主点検

11回

全周

229mm

4.0mm

 

浜岡3号

A 661-B01-S02

定期検査

5回

 

自主点検

10回

25mm

16mm

2.9mm

8.5mm)

 

浜岡3号

B 661-B06-S01

定期検査

6回

 

自主点検

6回

17mm

6mm

4.3mm

 

7回

17mm

6mm

2.1mm

4.7mm)

 

−:20%DAC及び100%DACを超えなかった

 

(2) 定期検査においてひび割れの存在を確認できなかった可能性について

「原子炉再循環系配管の健全性評価について(T)」平成15年2月18日保安院には,「45°斜角法による基本探傷及び二次クリーピング法により一定深さ以上の割れの存在は確認できていると評価される。」とあり,国の定期検査で用いられる斜角法においても,ひび割れの存在は確認できるとの見解を示している。しかしこれに疑いを抱かざるをえない事実が明らかになっている。

 

@ 自主点検によって発見していたひび割れが,国の定期検査では「異常なし」となっていた10例のうち,福島第二原発3号機で1993年に行われた第5回定期検査において,B系661-B06-S02で発見されたひび割れ(表のG)は,DAC20%で全周に及ぶものであり,DAC100%でも4mmが記録されていた。同じ部位では,3年間の運転後の第8回定期検査時に行われた自主点検において,深さ6.5oのひび割れが記録されていた。実際にはさらに深いひび割れであった可能性が高い。

  このひび割れについて,2003年7月16日の衆議院内閣委員会において,佐々木保安院院長は,第5回定期検査時の超音波探傷試験で認められたエコーは,ひび割れによるものではなく,形状によるものと判定されていた,DAC100%で4mmの指示は2箇所あったが,いずれも第8回にひび割れが確認されたものとは位置が異なっていた,第8回に確認されたものはひび割れであった,旨の答弁を行った。もしこれが事実であれば,1993年にはひび割れのなかった配管に,3年間の運転後に突如として深さ6.5oに及ぶひび割れが出現することになる。この事態は,以下のア〜ウに挙げる3つのいずれかと理解するしかないが,いずれであるかについて,根拠を挙げて説明されたい。

 

ア 1993年の第5回定期検査時には,ひび割れのなかった配管でひび割れが急成長し,3年後には深さ6.5oにまで至った。

 

この場合には,ひび割れの進展速度は,10年間につき1oという東北電力などが進展評価で用いていた数値とは著しく異なり,女川原発1号機で発見された最も深いひび割れによる10年間で6mmといった値をも大きく超えてしまう。応力腐食割れはゆっくり進むというこれまでの知見を根底から覆す事実を認めることになるのではないか。従来の検査頻度の見直しも迫られるのではないか。

 

イ 1993年の第5回定期検査時に行われた超音波探傷試験に問題があり,既に発生していたはずのひび割れを発見することができなかった。

 

  この場合には,定期検査で用いられていた従来の試験方法によってもひび割れの存在は確認できた,とする保安院の見解が覆ることを認めることになるのではないか。過去の記録に基づいて点検除外措置をとる根拠が失われるし,従来の検査頻度の見直しも迫られるのではないか。なぜひび割れが検出できなかったかについて,徹底した調査が必要となるのではないか。

 

ウ 1993年の第5回定期検査時に行われた超音波探傷試験において,ひび割れ指示を確認していた。ところがこれを意図的に形状エコーとしてしまった。

 

 当該部位は,応力腐食割れが決して起こらないはずのSUS316LC系材であり,当時他にこの材料でのひび割れ発生事例がなかったことから,ひび割れを隠蔽する動機は十分にあった。誰がどの段階で,どのような動機でひび割れ指示を隠蔽したのか,徹底的な調査が必要となるのではないか。

 

A @について,東京電力は市民との交渉の場で第8回の自主点検の深さの測定値に誤差がある可能性を指摘した。しかし,今明らかになっている超音波探傷試験における深さの測定誤差については,そのほとんどが実際に調べたらもっと深かったというものである。

さらに,前出の表から,

 

・ 福島第一原発3号機A系FWRS-A-2では,第13回定期検査時の「定期検査」において全くエコーが出なかったものが,次の第14回定期検査時の「自主点検」においては,深さ8.6oものひび割れを発見していた(表のB)。

 

・ 福島第一原発3号機B系FWRS-B-2では,第13回定期検査時の「定期検査」でエコーを確認し,これを溶接部の結晶による「柱状晶伝播エコー」とし,ひび割れによるエコーではないという判定をしていたが,次の第14回定期検査時の「自主点検」においては,深さ6.9oものひび割れを発見していた(表のC)。

 

といった事例があることから,やはり定期検査において,ひび割れが存在していながら,ひび割れエコーではないという判定がなされていたとみるしかないのではないか。なぜ定期検査ではエコーが出なかったのか,あるいは確認されたエコーをひび割れによるエコーと判定しなかったのか。それぞれの事例について,資料を提示した上で,合理的に説明していただきたい。

 

B 前出の表には下記の例のように,全く同じ時期に全く同じ箇所を同じ方法で測定したはずの値が,定期検査と自主点検で異なっていた事例や,自主点検でひび割れを確認しながら,定期検査記録では,「ひび割れなし」(「ひび割れはあるけど異常なし」ではない)としていた事例がある。

 

・ 福島第一原発4号機A系1-FW-13では,第13回定期検査時の「自主点検」では,深さ6.5oもののひび割れを検出していたが,同じ時期に同じ箇所で行われた「定期検査」では,確認したエコーを溶接部の結晶による「柱状晶伝播エコー」とし,ひび割れによるエコーではないという判定をしていた(表のD)。同じ方法で測定したひび割れの長さ(45°斜角法DAC20%)も「自主点検」が13mm,「定期検査」が1089mmと異なる。

 

・ 福島第一原発5号機B系W-R5-B3-1では,第15回定期検査時の「自主点検」では深さ2.0oのひび割れを検出していたが,同じ時期に同じ箇所で行われた「定期検査」では,確認したエコーを「裏波エコー」とし,ひび割れによるエコーではないという判定していた(表のE)。

 

検査は同じ検査会社の検査員が行っているということだが,なぜ同じ検査方法による値が異なるのか。なぜ,自主点検でひび割れ深さまで測定しているのに,定期検査では,ひび割れエコーではないと判定したのか。それぞれの事例について,資料を提示した上で,合理的に説明していただきたい。

 

C 浜岡原発3号機B系661-B06-S01では,第6回定期検査時の「自主点検」では,深さ4.3mmのひび割れを検出していたが,同じ時期に同じ箇所で行われた「定期検査」では「異常なし」としていた(表のI)。この「定期検査」ではエコーをひび割れによるものと判定していたのか,それとも形状エコーと判定していたのか。ひび割れエコーでないと判定していたのであれば,その理由は何か。なぜひび割れの深さまで測定していながら,定期検査では異常なしとなったのか。資料を提示した上で,合理的に説明していただきたい。

 

(3) 定期検査結果の信頼性について

@ 定期検査におけるひび割れの判定方法や判定基準についての資料は,健全評価小委員会には提出しているのか,議論の対象とされたのか。

 

A 過去の国による定期検査において,DAC20%でひび割れ指示がありながら「異常なし」としたもの,DAC100%でひび割れ指示がありながら,「一定の値以下」であるために「異常なし」としたものをすべて明らかにされたい。

 

B Aの事例は,健全性評価小委員会においても当然に議論の対象とすべきものと考えるが,資料は提出しているのか。

 

C 健全性評価小委員会に提出された「再循環系配管点検一覧」のうち「定期検査」についての記載はどれか。

 

D 過去の国による定期検査において,ひび割れが現に存在しながら,超音波探傷試験においてエコーを確認しなかった可能性はあるか。また,ひび割れが現に存在し,エコーを確認しても,ひび割れエコーではない別のエコーと判定された可能性はあるか。

 

E 今再開が問題になっている各原発では,再循環系配管の点検に際して,過去5年間に検査して異常がなかったものや,応力緩和措置をとっていたものについて,点検対象から除外する措置をとっているが,この除外した中に,A及びCの事例が含まれている可能性はあるか。

 

F 保安院2003年3月10日「中間とりまとめ」によると,今停止中の点検において再循環系配管において発見されたひび割れについては,超音波探傷試験の確証がされない限りは,これを放置しての運転は認められない。もし,今停止中の未点検箇所に,過去の定期検査においてひび割れ指示を確認しながら「異常なし」としていた箇所や,エコーを確認しなかった,あるいはひび割れエコーではない別のエコーであると判定しながら,実際にはひび割れが存在していた箇所が含まれているのであれば,許されないはずのひび割れ放置運転が,事実上行われてしまうことになるのではないか。

 

G 東京電力は,定期検査で実際にはひび割れエコーを確認しており,それを株主総会で「微小な欠陥」と述べているのではないか。ひび割れではないエコーと判定していたのは,許されないはずのひび割れ放置運転を行った事実を隠そうとしているのではないか。

 

(4) 定期検査における判定の妥当性について

 超音波探傷試験の精度について,保安院は,問題がひび割れの深さの測定で,長さについては従来の方法でも測定できるという見解だが,前述のように,定期検査で用いられている方法では,ひび割れの有無の判定すら誤っていた可能性がある。

また,現在ひび割れの長さについては,DAC100%ではなく,DAC20%で評価することが前提となっている。第6回健全性評価小委員会資料6-1「原子炉再循環系配管の健全性評価について(U)」平成15年2月26日保安院の「超音波探傷試験の検出精度」の項には,「超音波探傷によって測定したひび割れ長さと配管内面の浸透探傷検査(PT)によって測定した長さを比較したところ、45°斜角法による20%DAC指示長さ(以下、「超音波探傷長さ」という。)と実測長さはよく一致しているが,ひび割れ長さが100mmを超えるものは、大きなバラツキが認められた。」とあるし,今停止時の検査で,電力会社がひび割れの長さとして発表している数値は全てDAC20%の値である。

 

@ ひび割れの長さをDAC20%で評価することを前提とするようになったのはいつからか。それは誰による指示によってか。

 

A DAC100%の評価値しか問題にせず,さらに板厚の3分の1以下は異常なしとしてしまうやり方については検証,見直しが必要ではないか。例えば,柏崎刈羽原発1号機には,実測の深さが7.1oもあるのに,DAC100%では長さ8oしかないひび割れがあるが,従来の判定方法では,このようなひび割れがすべて「異常なし」とされてしまい,問題があるのではないか。

 

B 定期検査の従来の判定基準は,保安院「中間とりまとめ」で示された現時点での判定基準,すなわち,超音波探傷試験の確証がない以上は,ひび割れを放置しての運転はできないとする措置に矛盾するのではないか。

 

(5) 国の定期検査の実態について

保安院の7月4日付「平成15年6月10日付け資料請求に対する回答」に,「再循環系配管のひび割れに係る超音波探傷試験については、電気事業者からの依頼に基づき、検査会社が超音波探傷試験を実施し、(2)B及びCについての回答において述べた判定基準に照らして試験結果の評価を行います。また、当該試験が検査会社によって適切になされたかどうかについて、第三者機関である(財)発電技術検査協会が試験への立会い又は、試験記録及び評価記録の確認により行っています。これらの記録及び評価結果については、第三者機関及び電気事業者が保管しています。また、国の検査官は、第三者機関が適正と判定した結果については、第三者機関が作成した記録の確認を行い、試験結果についての評価が適切なものであったかどうかについての最終的な判定を行っています。国の検査官が確認した結果を記載した定期検査の記録については、国が規定に基づき原本を保管し、その写しを電気事業者が保管します。」とある件について,以下質問する。

 

@ 国の検査官が,第三者機関が作成した記録の確認を行うだけで,検査会社による直接の試験記録や評価記録の確認を行わないのはなぜか。

 

A 国の検査官が,検査会社による試験結果の評価に立ち会わないのはなぜか。あるいは,試験結果の評価を行わないのはなぜか。その能力を有しているのか。

 

B 定期検査の記録の国側の保管場所はどこで保管年数はいくらか。

 

C 国が保管している定期検査の記録には,「異常なし」と判定された場合でも,超音波探傷試験における指示エコーがある場合は,DAC20%及びDAC100%の評価の値やその扱いについての記載はあるのか。もしこれがないのであれば,定期検査要領書にある保存事項に違反するのではないか。

 

D 財団法人発電設備技術検査協会の社員に占める,旧科技庁,資源エネルギー庁,電力各社,原発メーカー出身者の割合はそれぞれどの程度か。これが「第三者機関」であることはどのように保証されるのか。

 

2.再循環系配管の自主点検記録の信頼性と未点検箇所の問題について

(1) 女川原発1号機における2003年7月15日付け測定及び実測結果について

東北電力の「女川原子力発電所1号機における原子炉再循環配管のひびに関する改良型超音波探傷試験による測定および実測結果について」(平成15年7月15日)によると,今回,改良型超音波探傷試験による測定及び実測を行ったひび割れの中に「前回(第14回)の定期検査時に実施した自主点検ではひびがないと判断した溶接継手」(別紙3溶接継手番号I※8)が含まれている。この継手(A系661-601-F04)に見つかった3つのひび割れの深さの実測値は,6.6o(30°付近),5.8o(60°付近),5.6o(210°付近)となっている。

この継手については,過去5年以内に行った自主点検において,ひび割れが見つかっていなかったことから,今停止時(第15回定期検査)の点検対象から除外される可能性もあったが,東北電力は点検対象から除外しなかった。この措置は,『異常が発見された場合にはさらに同数の箇所を検査する』という供用中検査指針JEAC4205にも従う措置である。そして点検の結果,ひび割れが見つかったために,改良型超音波探傷試験のサンプル対象の1つとされたという経緯がある。

この溶接継手の今停止時(第15回定期検査)の結果は健全性評価小委員会第8回資料「再循環系配管点検一覧」に記されているが,そこには,30°付近と60°付近の2箇所の値しかない。これは,210°付近の深さ5.6oのひび割れが,今停止時の点検でも見つからず,その後改良型超音波探傷試験をやってはじめて確認されたことを意味する。

上記の事実について以下質問する。

 

@ 継手(A系661-601-F04)の3つのひび割れが,第14回定期検査時に行われた自主点検で見つからなかったのはなぜか。ひび割れが1年余りで急成長を遂げたのか。あるいは,ひび割れが存在しながらそれを発見することができなかったのか。

 

A 継手(A系661-601-F04)の210°付近のひび割れが第15回定期検査において発見されなかったのはなぜか。この検査ではどのような方法を用いたのか。検査記録に基づいて説明されたい。このことは,今停止時の点検で,従来の方法で行われた点検・検査結果の信頼性に疑いがあるといわざるをえないのではないか。

 

B 上記事実は,過去5年以内に点検・検査が行われ,ひび割れが発見されなかった継手についても,実際にはひび割れが5年以上前から存在する可能性を示しているのではないか。よって,今停止中の再循環系配管の点検から,過去5年以内の点検・検査でひび割れが発見されなかった箇所を除外する措置は誤りであることは明らかではないか。

 

C 上記の事実から,定期検査が終了していない柏崎刈羽原発4号機については運転を直ちに止め,未点検箇所の点検を行うべきではないか。浜岡原発4号機についても,原子炉を起動しての検査を中断し,未点検箇所の点検を行うべきではないか。

 

(2) 浜岡原発3号機の第9回・第11回定検時の自主点検で見つかったひび割れについて

 後述のように,中部電力は,浜岡原発3号機の再循環系配管の第7回定期検査時の自主点検で,A系661-B02-S01で8箇所のひび割れの研削と実測を行っていたことの公表を避け続け,今年7月15日にようやく公表したが,この継手では,研削後の第9回定検時の自主点検でも別の位置にひび割れを発見し,第11回定検時に研削している。

 

@ 第11回の定検時には,ひび割れが6箇所から8箇所に増え,そのうちの1つの実測深さは4.5oであったが,第9回の自主点検では,このようなひび割れを見落としていたのではないか。

 

A この継手の5箇所については,「第7回定検時に行ったエリアに発生したひびのため,研削深さの測定困難」とあるが,これらのひびは研削後に生じたのか,それとも研削し残したのか。発生原因は何か。

 

(3) 指針の点検ルールの適用について

 運転再開が問題となっている東京電力の各原発は,過去5年間に検査済みとされる箇所は今停止中の点検対象から除外されている。

ところが,前述のように,東北電力は,女川原発1号機について,過去5年間に点検した箇所も対象にした結果,前回の定期検査時にひび割れがなかった箇所に深いひび割れを発見した。女川原発2号機については,ノズル部や計装配管を含めて全溶接部を点検対象としている。また,北陸電力志賀原発1号機は,電力が自主的に検査範囲を全溶接線としたが,その結果,2000年に点検しひび割れがなかった箇所にひび割れを発見している。中部電力も,過去5年間に検査済みの箇所も検査対象とし,そのうち,浜岡原発3号機で3箇所,浜岡原発4号機で1箇所の計4箇所でひび割れを発見している。これらは『異常が発見された場合にはさらに同数の箇所を検査する』という供用中検査指針JEAC4205のルールにも合致した措置である。

供用中検査指針JEAC4205のルールは,保安院の指示がなくとも守らなければならないものである。この同じルールを東京電力に適用した場合,柏崎刈羽4号機等でもひび割れが見つかっているので,点検は全溶接線を対象としなければならないはずである。なぜ東京電力だけがこの措置をとらないのか。柏崎市の市民団体がこの点を問いただすと,保安院は,東京電力だけが特別な措置をとっている旨の回答をしたという。

 

@ 保安院はなぜ,不正事件の当事者である東京電力だけが指針に従わないことを許すのか。

 

(4) シュラウドの点検範囲について

東京電力によると,福島第二原発2号機のシュラウドにおいて,溶接線から離れた位置にひび割れが見つかり,「溶接線から離れたひびの原因究明調査の一環として、H4溶接線内側の上下500mmの追加点検を実施したところ、これまでにお知らせ済みのものも含めて最終的に50ヶ所にひびが確認されました。超音波探傷検査の結果、35ヶ所にひびの深さが認められ、指示エコーから最大深さは約27mmでした。」(福島第二原子力発電所2号機におけるシュラウドの点検終了について:平成15年7月31日東京電力株式会社福島第二原子力発電所)という。

 

@ 上記の事実は,シュラウドのひび割れの点検が,溶接線の近傍だけでは不十分であることを示しているのではないか。他の溶接線についても他の号機についても,溶接線から離れた位置の点検が必要なのではないか。

 

(5) 再循環系配管の点検範囲について

@ 保安院2003年4月17日付けの「炉心シュラウド及び原子炉再循環系配管等のひび割れに関する点検について」における,再循環系配管のひび割れの点検指示について,点検対象を,SUS316L系材であって,応力緩和策をとっていない箇所に限定している理由は何か。SUS304材やSUS304L材の配管については,「全ての」溶接部で応力緩和策等が施されているのか。

 

3.超音波探傷試験の信頼性の問題の経緯について

 再循環系配管の超音波探傷試験における測定値と実測値と誤差が大きく,試験の信頼性に問題があることが一般に明らかにされたのは,東北電力が女川原発1号機の第15回定期検査時の超音波探傷試験の値を公表した2003年2月3日であった。これにより,2002年11月に公表していた実測値との比較が可能になった。ところが,東北電力はこの超音波探傷試験を昨年9月27,28,29日に実施していた。東北電力は遅くとも2002年11月の段階で,両者を比較し,問題を認識することができたはずである。

 2002年11月は,「維持基準」の導入を盛り込んだ改正電気事業法が国会でまさに審議されている時期であった。法案は12月11日に成立するが,もしこの時期に,超音波探傷試験の信頼性に問題があることが明らかになれば,ひび割れの正確な把握が前提となる「維持基準」の導入議論にブレーキがかかっていただろう。東北電力はこれを恐れて,9月に行っていた試験の結果公表を,年明けまで引き伸ばした疑いがある。

 2003年2月18日の健全性評価小委員会第5回会合において提出された資料「再循環配管点検結果一覧」により,中部電力が内面研削によるひび割れの深さの実測を行っていたこととその値がはじめて明らかになった。特に第11回定期検査時の実測値は,8.5oと深いものであり,前回の第10回定期検査時に行った超音波探傷試験との誤差が,事実上の基準である4mmを超える5.6mmとなるものであった。しかしこの実測の事実とその値は,この日まで明らかにされておらず(実測を行った時期についてはこの「一覧」でも明らかにされることはなかった),東北電力と同様に,「維持基準」の導入を盛り込んだ改正電気事業法の審議への影響を恐れて,公表が引き伸ばされた疑いがある。

 その上,2003年6月18日には,原子力発電を考える石巻市民の会から保安院への再三の問い合わせにより,中部電力が浜岡原発3号機の第7回定期検査時(1996年)にも研削していたことと,それに伴って実測を行っており,1箇所の継ぎ手の8例の実測データを持っていたにもかかわらず,当時国に報告していなかった事実が判明した。14例のうち8例もが「再循環系配管点検結果一覧」には記載されておらず,実測していないことを示す斜線が入っていた。ようやく明らかになったデータの中には,超音波探傷試験では測定不可とされたひび割れが,実測では深さ7〜8mmにも達していた3例も含まれていた。これにより,中部電力は遅くとも1996年には,SUS316L系材においても,ひび割れが深く進展する事実をつかみ,さらに超音波探傷試験の精度に問題があることを認識したことが明らかになった。

中部電力は1996年の時点でこれを直ちに公表し,SUS316L系材においてもひび割れが発生し,深く進展していた問題と,超音波探傷試験の信頼性に問題があることの2つの重要な情報を明らかにした上で,点検・調査を行うべきであった。そうすれば,今の事態は起こらずに済んだかもしれない。ところが,中部電力はこれを隠蔽した上に,東電不正事件が発覚した昨年8月29日にも,過去の自主点検で再循環系配管でのひび割れを検出していたことを中部電力が公開した昨年9月20日にも,「維持基準」を前提とした改正電気事業法の審議が行われていた2002年11,12月の段階でも,2003年1月に国が過去のひび割れのデータをすべて報告するよう求めても,東北電力女川原発1号機で,超音波探傷試験の精度に問題があることが明らかになった2003年1,2月の時点になっても,公表しなかった。石巻市民の会の指摘を受けた6月18日以降も,中部電力と市民との交渉の場で説明を行わず,7月15日になってようやく公表したのである。

 保安院はこの問題について,電力の報告を受けながら,電力と同様に公表を引き伸ばしていたのか,それとも,電力側の公表引き伸ばしを受けた側にあるのか。以下の質問に誠意をもって回答し,国側の事実経過を明らかにするとともに,両電力に対し,公表の引き伸ばしの経緯について調査されるよう要請する。

 

@ 2002年11月に公表された東北電力女川原発1号機の再循環系配管のひび割れの実測値と,そのとき既に一般に公表されていた1998年及び2001年の超音波探傷試験結果との乖離の要因について,保安院は2003年6月23日付けの「平成15年6月10日付け資料請求に対する回答」で,「その時点(2002年12月頃)では,超音波探傷試験の方が実測値よりもひび割れが大きく出ているものもあったこと,東北電力が実施した過去の超音波試験の実施状況やひび割れ深さの実測方法の詳細が明らかでなかったこと等から,測定値の乖離の要因については特定できませんでした」と述べている。「超音波探傷試験の方が実測値よりもひび割れが大きく出ているものもあった」とはいったいどのひび割れについてのものか。また,保安院が乖離の要因を特定したのはいつのことか。

 

A 中部電力が最後まで隠蔽し続けた浜岡原発3号機の第7回定期検査時の再循環系配管のひび割れの研削の事実とそれによって得られた8例の実測値について、保安院は9月21,22日の立入り検査の際,中部電力からはデータのコピーが提出されているはずであるが,これを確認し,実測の事実と実測値を把握したのはいつか。また,中部電力からの正式な報告はいつどのように受けたのか。

 

B Aの中には,実測では深さ7〜8mmにも達していたひび割れが,超音波探傷試験では測定不可とされた事例が含まれている。これは,SUS316L系材において1996年の段階で7〜8mmという深いひび割れが発見されていたという点においても,そのような深いひび割れが,超音波探傷試験では深さが測定不可であったという点においても,重大な事実であったと受け止めるべきと考えるが,保安院の見解はどのようであるか。

 

C 中部電力が当時,SUS316L系材にも深さ8mmにも及ぶ深いひび割れを生じていたことと,超音波探傷試験の精度に問題があることを認識したのは明らかではないか。中部電力は当時,直ちにこれら数値を公表し,調査,点検を行うべきだったのではないか。

 

D 問題のひび割れは,SUS316L系材の再循環系配管では日本ではじめて見つかった部類のものであり,保安院は,健全性評価小委員会に提出した資料や「中間とりまとめ」において,発見した当時,電力会社やメーカーは,ひび割れが応力腐食割れによるとの特定ができなかったと,その経緯を説明しているものである。保安院も関心をもって調査していた事例ではなかったのか。保安院はこのひび割れについて,どのような調査を行ったのか。中部電力からいつ,どのような説明を受けたのか。

 

E 中部電力がこのように重大な実測の事実と実測値を,2003年2月以降もずっと隠し続けた意図は何か。改正電気事業法の審議に影響を与えないためではなかったのか。中部電力がこのように安全上も極めて重要な情報を今年2月以降もずっと隠し続けたことについて、保安院は中部電力に対して、何らかの指導なり注意なりを行ったか。もし、行っていないとすれば、この情報隠しについての責任は誰にあるのか、保安院の見解を明かにされたい。

 

F 「維持基準」の導入を前提とした改正電気事業法の審議の過程から成立にいたる間,保安院は,超音波探傷試験の精度に問題があることを全く認識していなかったのか。

 

G 「維持基準」の導入は,超音波探傷試験の精度が確証されていることが前提ではないのか。

 

H 仮に超音波探傷試験の精度に問題があることが,2002年9月20日の時点で明らかになっていた場合,この事は,「維持基準」の導入を前提とした改正電気事業法の議論に影響を与えたのではないか。

 

I 中部電力は,遅くとも再循環系配管の自主点検で見つけていた「インディケーション」について発表した2002年9月20日には,再循環系配管の研削結果も公表すべきだったのではないか。その上で,超音波探傷試験の精度問題を改正電気事業法の審議に反映させるべきだったのではないか。

 

J 東北電力は,実測値を公表した昨年11月26日には,超音波探傷試験の結果も合わせて公表すべきだったのではないか。その上で,超音波探傷試験の精度問題を改正電気事業法の審議に反映させるべきだったのではないか。

 

4.健全性評価の信頼性について

(1) 材料の残留応力分布の信頼性について

ひび割れの進展評価を行う上で,材料の残留応力の分布状況の正確な把握は不可欠である。特にSUS316L系材の場合には,ひび割れの進展が,鋭敏化領域ではなく,内部の残留応力分布に従うとされていることからなおさらである。しかし,シュラウドのひび割れの進展評価において,残留応力分布を実験的に計測しているのは,1994年に福島第一原発2号機のひび割れについて行った1例しかない。材料は「SUS316L系材」ではなく,古い「SUS304材」のもので,表面の部分だけである。それも実機を模擬したモックアップを使ってのものであり,中性子照射の影響など,供用期間中の影響は考慮されていない。この点は,原子力安全委員会原子力発電施設安全性評価プロジェクトチーム第3回会合(2002年12月26日)でも問題となり,実測事例が1つしかないことが確認されている。

さらに,内部の残留応力分布については計算値を用いているが,その計算値と表面部分における実験での計測値が必ずしも合致していない。例えば,溶接部周りにおける残留応力分布(健全性評価小委員会第4回資料等)では,中間部リング上部40mmのあたりで計算値(FEM)と実測値のプラスとマイナスが異なっている,すなわち,圧縮応力か引張り応力かという,肝心なことが計算値と実測値で逆になっている。前出のプロジェクトチームの会合でも,委員の一人は「残留応力の実験と計算の比較というのは結構悪い。ご存じのようになかなか計算であわない,最も難しい問題です」などと発言している(速記録)。

 

@ 材料の残留応力を実測した事例が,福島第一原発2号機の一例しかなく,SUS304材のモックアップによる表面だけの値しかないというのは,進展評価で用いた計算値の信頼性を確認する上では,全く不十分ではないか。

 

A その一例についても,残留応力のプラスマイナス(圧縮応力か引張り応力か)が,実測値と計算値で逆転するような部分がみられる。このような計算値が正確に実機の状態を再現しているとはいえないのではないか。このような計算値を用いた進展評価結果を信頼することはできないのではないか。

 

(2) 東北電力等が行っていた再循環系配管の進展評価の誤りについて

東北電力は1998年に,女川原発1号機の再循環系配管で発見されたひび割れについての進展予測を行っていた。結果は,ひび割れはこれから40年かけて4o程度の進展する,つまり10年につき1oの割合で進展するというものであった。しかし2003年11月に測定されたひび割れの深さは,最大で「12.2ミリ以下」というものであった。2003年までの女川原発1号機の運転期間は約20年間であるから,運転開始後間もなくひび割れが生じたと仮定しても,進展の度合いは10年につき約6oということになる。東北電力以外にも,再循環系配管のひび割れを放置しての運転をこっそり行っていた東京電力や中部電力も,過去に進展評価を行っていたが,これらについても,東北電力と同様に,実際の状況を反映していなかった可能性がある。この点について,先の健全性評価小委員会への要請書に対し,保安院より,以下の回答があった。

 

東北電力鰍ヘ,1998年当時のひび割れの深さの進展予測は,ひび割れの兆候を発見した当時の知見に基づき,NRCと同様の進展評価手法に従ったものであるとしています。また,同電力は,ひび割れの進展予測による「10年につき約1_」とひび割れの実測値による「10年につき約6_」との差については,ひび割れの進展過程において着目している部分が異なるためであり単純比較は無意味であるとしています。つまり,ひび割れの進展過程は,残留応力分布により,始めは緩やかに進展し,その後比較的速くに進展した後再び緩やかに進展することから,「10年につき約1_」とは,主に速く進展した後の緩やかな進展部分を評価しているのに対し,「10年につき約6_」とは,速く進展する部分を含めて評価しているものであるとしています。なお,同電力は,今後の実機プラントの材料調査等から得られたデータを基に,ひび割れの進展に与える諸因子について評価・検討していく予定であるとしています。

 

@ 保安院の回答は,「速く進展する部分を含めて評価」しなかったために,東北電力の進展評価が誤っていたことを認める,ということか。

 

A 誤った原因は何か。なぜ東北電力は,速く進展部分を含めて評価しなかったのか。

 

B 東京電力や中部電力が行っていた進展評価も同様なものか。詳細を明らかにされたい。

 

C 電力が行っていた進展評価が誤っていたことから,電力が独自に評価を行い,ひび割れの存在を隠しながら,これを放置して運転を行っていたのは,安全性が保証されないもとでの運転だったのではないか。

 

(3) 再循環系配管のひび割れの進展速度について

@ ひび割れの急進展の可能性を示唆する以下の各事実について,どのような評価をしているのか。同様な事例は他にあるのか。

 

・福島第一3号A系FWRS-A-2 第13回定検時「なし」 第14回定検時「深さ8.6o」

・福島第一3号B系FWRS-B-2 第13回定検時「なし」 第14回定検時「深さ6.9o」

・福島第二3号B系661-B06-S02 第5回定検時「なし」 第8回定検時「深さ6.5mm」

・女川原発1号A系661-601-F04 第14回定検時「なし」 第15回定検時「深さ6.6mm」

・浜岡原発3号A系661-B02-S01 第9回定検時「なし」 第11回定検時「深さ4.5mm」

 

(4) 進展速度を求める関数を決める実測データについて

@ ひび割れの進展速度を求める関数は,実測データによって定めるが,溶接金属内のひび割れについての実測データは何例あって,それはどのようなデータか。例が少なく不十分なのではないか。

 

(5) シュラウドの健全性評価について

@ シュラウドで点検が物理的に不可能な箇所の健全性評価については,点検が可能な箇所で見つかったひび割れと同じ比率でひび割れが存在することを仮定して行っているが,このように行う根拠は何か。ほぼ全周にわたって,点検ができないような箇所については,どのように評価するのか,またそれが妥当である根拠は何か。

 

A ひび割れが存在するシュラウドにECCSの冷却水が注入された場合の熱衝撃の影響はどのように評価されているのか。また熱衝撃によってひび割れが生じる可能性についてはどのように評価されているのか。

 

以上

 

宮城県  原子力発電を考える石巻市民の会

みやぎ脱原発・風の会

福島県  脱原発福島ネットワーク

新潟県  柏崎原発反対地元三団体

 原発反対刈羽村を守る会

みどりと反プルサーマル新潟県連絡会

プルサーマルを考える柏崎刈羽市民ネットワーク

茨城県  脱原発東海塾

静岡県  浜岡原発を考える静岡ネットワーク

浜岡原発市民検討委員会

                     島根県  島根原発増設反対運動

                     愛知県  きのこの会

首都圏  原子力資料情報室

福島原発市民事故調査委員会

ストップ・ザ・もんじゅ東京

東京電力と共に脱原発をめざす会

核燃やめておいしいごはん

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 原子力資料情報室/伴 英幸


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