8 便に血が混じる

便に血が混じる は心配な症状と思います。
腸管リンパ濾胞拡張症という病気があります。満期産で出生で新生児期は異常なく、1ヶ月健診の翌週に、便に血が混じるということ来院しました。 おむつについた便を見ますと、鮮血に近い色で粘液様のものが便に少量混ざっていました。潜血反応は陽性でした。 ビタミンK不足を考え、HPTを測定しましたが正常で、CBCも正常。他に出血傾向も無く、全身状態良好。 便培もしましたが病原菌(−)。経過観察していたところ、徐々に減り生後7週目は出なくなっていたのですが、8週目にまた少量出ています。 栄養は母乳のみで体重増加は良好。機嫌も良く嘔吐もありません。
便は1日に10回程度で、水様顆粒便です。大体2回に1回、粘液様血液がまざります。肛門に裂傷はなく、粘液様ですので直腸あたりからの出血かと思うのですが、このまま、経過観察でも良いでしょうか?
 という質問がありました。2ヶ月ころから6ヶ月くらいまでの乳児で、4ヶ月検診のときに相談されることも時々あります。母乳栄養児に多いような印象はあります。年に数例から10例程度で、結構見受けられますのでそんなに珍しくはないのでしょうか。私はK2だけとりあえず飲んでみることにしていますが、元気であればこのような状態のようですよと説明して経過観察としています。再診する子はほとんどないので6ヶ月頃までに症状は消えています。別名大腸粘膜リンパ濾胞増殖症と 乳児良性直腸出血の病名は、便性は通常。便に少量の新鮮血が筋状ないし点状に付着。 全身状態良好・体重増加良好。発症は6ヶ月未満。

便性から乳児直腸出血と考えられた19例で検討
  発症年齢 平均2ヶ月
  79%が母乳栄養
  末梢血好酸球増多(>400/mcl)         47%
  食物抗原に対する特異的IgE陽性        42%
  内視鏡で結節性リンパ濾胞過形成        84%
  生検で粘膜固有層に好酸球>6/強拡大視野 95%

リンパ濾胞の過形成は、乳児良性直腸出血の1面であって、アレルギー性直腸炎の1形態と捉えます。

新生児期・乳児期に発症するミルクアレルギーは乳児期後期に発症して皮膚症状が生じるミルクアレルギーとは異なる
疾患として新生児乳児消化管アレルギー(FPIES)と言います。ミルク成分のカゼインに対して抗原特異的リンパ球刺激試験ALSTが陽性で確定診断になります。