11 肛門周囲膿瘍とskin tagの女の子の肛門の上の襞

肛門周囲膿瘍は肛門のまわりにできるおできのことをいいます。男の子に多い病気です。下痢などの便汁が肛門の内側から肛門のまわりの皮膚にしみ出し、便汁に含まれる大腸菌や腸内細菌による細菌感染から炎症を起こします。生後半年ごろの赤ちゃんは、お母さんからもらった免疫も最低レベルに落ち込みます。特に、そのころ肛門内は細菌が繁殖しやすくなり、肛門周囲膿瘍になりやすいのです。症状は、肛門の周囲が赤くなり、はれてうみがたまったり、さわるだけでひどく痛がります。さらに細菌が繁殖すると、ピンポン玉大にまではれ上がり、その表面の一部が自然に破れてうみが出てくることもあります。排便とは関係なく、いつもズキズキと痛むので、赤ちゃんの場合、かなり不機嫌になりぐずります。うみが出ている場合は、指で押してうみを外に出すようにします。うみの出口がなかったり、はれあがっている場合は、小児科で切開してもらいます。うみを出してしまえば、1週間ほどで治ります。再発することもありますが、1才半ごろまでには自然に治ることがほとんどです。また中には抗生物質の飲み薬を処方する場合もあります。しかしこの病気は下痢をしているときに起こりやすく、抗生物質によってもともとやわらかい赤ちゃんの便がさらにやわらかくなり、症状を悪くするという結果になることもあります。家庭では、下痢にならないように注意しながら、肛門を清潔にすることを心がけます。おしりはおむつ交換のたびにあたたかいお湯でよく洗ってあげましょう。また、この病気は肛門の内側に膿瘍ができているので、外側から軟膏をつけてもそれほど意味ありません。とにかく清潔にするということが、何よりの治療法といえるのです。
十全大補湯の漢方薬も有効です。
膿瘍切開法の工夫として、膿瘍直上の皮膚を放射状に米粒大の大きさに切除し、同時に皮下組織も切除して、膿瘍腔を開窓いたします。切開創面の処置として、ガーゼは全く貼付せず、汚れた創はそのつど清拭・消毒し、リンデロンVG軟膏またはアクアチムクリームを塗布して、直接おむつを当てます。頻回の坐浴・入浴を励行し、局所の清潔維持を第一とします。膿の絞り出しと切開創癒合の防止として、時々`にきび`を押し出すように切開創を強く摘み膿をしぼりだします。創が癒合してきたと思われる時には爪楊枝などを用いて癒合した切開創面を再び開くようにします。膿瘍圧迫による膿の排出を、それでも切開創が癒合し閉鎖したときには、膿瘍の直上で膿瘍腔を坐骨に向かって押しつけるように圧迫し、内に溜まっている膿を肛門管内に排出するようにします。時に切開・排膿を繰り返しても完全治癒が得られず、瘻管が形成されて皮下に固い索状物を触知するに至れば、手術的処置が必要となります。
初めに外科の先生にコンサルトするのもベストであります。
肛門周囲膿瘍は男の子に多いのですが、女の子は、肛門と膣の間に、
skin tag という突起物がある子がいます。また便秘気味の女の子では見はりいぼという、ひだ状の盛り上がりができる事があります。 肛門の12時の方向に皮膚が垂れ下がったように見える、突起です。便秘気味の子どもに多く、便による刺激が繰り返されることによって増殖することが原因です。痔と間違われることがありますが、痔ではなく年齢とともに目立たなくなります。