39 RSウイルス感染症

RSウイルス感染症は冬に流行する風邪のひとつですが、迅速検査で診断が可能です。

パラミクソウイルス科に属する病原体で、綿棒で鼻をこすってウイルスを検査できます。風邪のウイルスの中では診断できるウイルスです。

しかし、インフルエンザウイルスのような予防ワクチンや、タミフルのような効果的な治療薬がありません。実際には、予防の抗体注射があるのですが、小さく生まれた赤ちゃんにしか保険適応はありません。
RSウイルスに罹患すると2割は喘息になるのでは、と考えられています。
重症になった場合は、酸素療法のため入院される事が1割弱あります。

2歳位になると、感染しても「鼻かぜ」程度ですむことがほとんどですが、兄弟がいて上から明らかにうつった赤ちゃんや、保育園に行き始めた方は、殆ど感染し、予防しようがありません。

RSウイルスは、感染力が非常に強いです。
赤ちゃんが風邪を引いたら、顔色や呼吸などの症状の変化に注意してください。
おっぱいを与えても、むせて飲めなかったり、呼吸が速く、浅くなる前に受診されて下さい。

3歳未満の乳幼児は重症化する恐れがあります。ほぼ全ての赤ちゃんが出生後2回目の冬までに感染し、生涯に何度も感染しますが、3歳未満の子供が感染すると3%前後が重症化し、入院患者の約1%が死亡します。特に早産児や心疾患のある子は重症化しやすくなります。症状は咳、鼻、熱。重症化すると気管支に炎症を起こして「ゼイゼイ」と呼吸が苦しくなり、呼吸障害がでた方は、以後の風邪でも呼吸が苦しくなります。
感染経路は咳からの飛沫感染の他、ウイルスが付着したものに触れた手を介して接触感染する例もあります。ワクチンは早産児で重症となる赤ちゃんのみ保険対象となり、接種されてもかかります。
正確にはワクチンではありません。専用の治療薬はなく、炎症を抑えるステロイド剤の投与や酸素吸入、痰吸入など対症療法が中心となります。入院の平均年齢は1歳で1週間ほどの入院となりますが、心筋炎など重症になる方がおられます。