40 インフルエンザ桿菌(Hib)感染症

1 乳幼児の細菌性髄膜炎とHib(インフルエンザ桿菌b 型)

@ 髄膜炎とは脳や脊髄を包んでいる髄膜という膜に細菌やウイルスが感染する病気です。ウイルス性の軽い髄膜炎は風邪などに伴ってよく起こりますが、ほとんどは後遺症も残すことなく治ります。

A 一方で細菌性髄膜炎は危険な病気で治療の遅れが即、重大な後遺障害や死につながる恐ろしい病気です。しかも初期には発熱、不機嫌、嘔吐など風邪でもよく見られる症状のみの事も多く早期に診断するのは困難です。

B 小児細菌性髄膜炎でもっとも頻度が高い原因菌がHib です。Hib 髄膜炎は、生後3 ヶ月から2 歳までが特にかかりやすく、5 歳になるまでに2000 人に1 人が感染するとされています。1995 年の全国調査では年間患者数約600 人、てんかんや発育障害、聴力障害などの重大な神経後遺症を残す乳幼児100150人、死亡する乳幼児30 人という結果です。

C 一度Hib 髄膜炎になってしまうと、12 ヶ月入院して抗生物質を集中的に使用する必要がありますが、Hib には抗生物質が効きにくい菌が増えており、治療が難しくなっています。Hib は髄膜炎以外にも肺炎、敗血症(血液に乗って全身に菌が回る病気)、喉頭蓋のどがはれて呼吸困難になる病気)など重大な病気の原因菌でもあります。

D 従って、ワクチンによる予防が重要です。この細菌は冬に流行するインフルエンザウイルスとは全く別の病原体ですので通常のインフルエンザ予防接種では予防できません。また、乳幼児が一度感染しても免疫が出来ずに繰り返し感染することもあります。5 歳以降になると自然と免疫が出来ていて重症感染はまずありません。