2 インフルエンザ

インフルエンザには、A香港型・Aソ連型・B型・新型インフルエンザがあります。インフルエンザは最初に患者さんや動物からウイルスを分離するのに成功した研究所のある場所、最初にウイルスが取れた国や地域名をつけるのが習慣です。ですからA香港型というのは香港で、Aソ連型は旧ソ連の研究所で発見されたということです。A型のインフルエンザの姿形が小さく変わることが多いので、大きい分類でA香港型でも細分化してシドニーとか福島とかという名前がつきます。 B型は動物の関与が少なく必ず人間が間に入ると言われています。この春から突然新型インフルエンザの流行が始まりました。当初新型とは極めて重症化する鳥インフルエンザが人間のインフルエンザと交わり重症かするという想定とは異なり、強い毒性はないのですが、人類に免疫がないため、重症の特に肺炎になりやすいと言われています。インフルエンザは元々脳炎の要素があり、 自分の手をハムだ、ポテトだと言ってかじりついた(oral tendency)。ついていないテレビを見て、猫がくる、お花畑がたくさんあると口走る(大脳基底核・辺縁系の異常の可能性)、咳をした後、枕に頭を打ち付けて、キャーキャー叫んだ。(脳基底核を含む大脳辺縁系の異常の可能性)
その他の異常な言動で、突然、赤ちゃんのような喋り方で訳の判らないことを言う、知っている言葉を取りとめもなく喋るなどあります。新型インフルエンザでは特に肺炎や心筋炎の重症な症状が出ることもあり、SPO2の簡単な検査でスクリーニングいたします。

インフルエンザの喉ですが、 赤みがありますが、あまり特徴がありません。喉の奥のリンパ節が腫れることが季節型ではありますが新型ではほとんど腫れず診断は難しい病気です。

その後のインフルエンザ脳症情報
発熱から神経症状(痙攣・意識障害・熱せん妄)が出るまでの時間は8割で数時間から1日と極めて短く、いったん発病すると死亡率は約30%(特に2〜3歳が高い)25%に神経後遺症(学習障害、難治性痙攣等)が残る重篤な疾患です。原因として炎症性サイトカインの高値や血管内細胞の障害等の特徴が明らかで全身の諸臓器で急速に進行する細胞死の存在があります。治療として、大量ガンマグロブリン療法、メチルプレドニゾロンーパルス療法、低体温療法等で3年間で死亡率が約16%にまで改善しています。
解熱剤の影響としてはジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸の使用が予後を悪化させます。
インフルエンザワクチンの脳症予防効果については、ワクチンはインフルエンザ自体の発症を25〜40%予防でき重症化も防げるが必ずしも予防できるとはいえないとされていますが、ワクチンそのものが脳炎を起す事は考えられないとされています。
インフルエンザの治療はA型、B型に有効なタミフル・リレンザのお薬があります。1歳以下では、タミフルは製薬会社から投薬は問題があるとも見解がありますが、日本小児科学会の医師は問題なく使用できると考えています。タミフルに対して耐性ウイルスの存在が指摘されておりますが、現在のところ、このタミフル耐性ウイルスの感染力や増殖力は弱いとされています。
インフルエンザで熱が下がってどれくらいで登園できるかという問題点ですが、できるかぎり3日ほど休んで下さい。熱が下がって2日たってもウイルスが40%程度生存しているからです。タミフルで早く解熱しますが、ウイルス排出は同様とお考え下さい。
小学生以上では、症状が少なければ、診断日翌日から1週間のお休みで登校も可能の見解となりました。