32 スポーツ外傷

スポーツ傷害と応急処置:スポーツによって体に悪い効果が現れると、"スポーツ傷害"と呼ぶます。スポーツ傷害は、"スポーツ外傷"と "スポーツ障害"との二つに分けることができますが、"スポーツ外傷"とは、1回または限られた回数の外力で生じたもので捻挫,骨折,筋挫傷 (肉ばなれ)などのことをさし。"スポーツ障害"とは、いつとはなしになんとなく調子が悪くなってきたもので慢性の腰痛,膝痛,野球肘,テニス肘などのことをさします。.いずれも急性期の安静を必要とする期間が過ぎるとリハビリテーションの必要な時期となります。
RICE(ライス)という処置の言葉があります。けがをしてから医師にみせるまでの現場で行うべき応急処置の事で、出血していない外傷(捻挫,打撲、肉ばなれなど)に対する応急処置の原則は"RICE処置"です。
Rest(安静)・Icing(氷冷)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)、の頭文字をとって覚えやすいように名づけられています。RICE処置をいつでもすぐに行えるように、競技や練習の時には必ず氷とバケツに入った水と伸縮包帯、テーピング、ガーゼなどを用意しておくことが必要です。
Rest(安静):どんな小さな外傷でも必ずプレイを休ませて様子をみること。
Icing(氷冷):患部を冷やすことで、氷,水,アイスパック,コ−ルドスプレーなどを用いて行ないます。これは冷やす事により患部の毛細血管を収縮させて出血を押さえて腫脹を防ぐ目的でおこない、また冷やす事により鎮痛,鎮痙作用を得られるので、筋肉痙攣のときも有効です。なお受傷後のリハビリテーション運動やスポーツ活動をした後に腫れてくる事が多いが、この場合も冷やすと効果的です。具体的には急性炎症時は寝ている時を除き、損傷程度にもよりますが24〜48時間は繰り返し氷冷を行います。1回の水冷の時間は20〜30分が安全で効果的であるとされています。氷冷の間隔は1時間を超えません。20分間の氷冷で、血行は1時間後には元の状態に戻ります。
Compression(圧迫):ー患部に包帯やテープを巻いて圧迫し内出血を押さえる。患部を中心に広く包帯やテープを巻いて圧迫する。強く圧迫しすぎると神経や太い血管を圧迫するので、患部より先の部分がしびれたり色が変わったり(白くなる、青くなる、赤くなる)しないかを確認し、これらの症状が見られたら圧迫をゆるめます。
Elevation(挙上):患部を心臓より高く挙げて血液の心臓への戻りをよくして患部の腫脹を防ぎます。具体的には、仰向けに寝て座布団やタオルを重ねてその上に患肢を乗せます。なお受傷後のリハビリテーション運動やスポーツ活動した後に腫れてくる場合も挙上するとよいです。