37 熱中症と紫外線から子供を守る

高温環境下での激しい運動時に、水分や塩分の補給がない場合に生じます。また、過度の高温多湿環境下、無風下では、特に何もせずに一定時間以上過ごすだけでも発症します。
症状は熱けいれんでは、短時間の間欠的な痛みを伴った
筋肉のけいれんがあります。多くは腓腹筋に起こります(こむら返り)が、腹部の筋肉痛まで出現することがあります。日射病は血液の循環が破綻した状態で、いわゆる起立性低血圧症と同じ症状(ふらつき・低血圧)があります。熱疲労の症状は多彩で、脱力感・嘔吐・めまい・筋肉痛などが出現します。時に軽い意識障害も認められます。
熱射病は41〜42℃以上の高体温・発汗停止・中枢神経症状(興奮・せん妄・けいれん・意識障害)が3大症状です。
多くの臓器が障害されますが、中枢神経・血液の凝固・肝臓と腎臓の障害が主です。
熱中症や日射病は
かぜの症状と区別が出来ないときもあり風邪の特有の所見、咳きやのどの痛みがない時や外出から帰ってから、気分がおかしいというようなときは疑いましょう。例えば「スーパーに買い物に行き、子供が眠そうなので車中に残し20分後に買い物からもどった。帰宅後1時間ほど昼寝し、目が覚めたら38度の熱があってぐずっていた。」といった症状です。気温は20度でも車中は40度以上になります。熱中症を心配したときには、暑い環境にいたことをはっきり言いましょう。そうでないと、過呼吸症候群・頭部外傷などと誤られることがあります。治療の第一歩は正しい診断です。
熱けいれん:涼しい場所に身を置き安静を図ります。水分補給に努める。電解質と糖分を含んだものがよい。筋肉のけいれんが続く場合は点滴を行う。
熱疲労:体温が高い場合は冷水で清拭して、体温を下げる。輸液する。
熱射病:重症と考える。厳重な全身管理のため集中治療が行える施設に搬送する。重要なことは
(1)積極的な体温低下を図る。
(2)不足した水分・電解質の徹底した補給。
(3)障害
されている各臓器への早期の正確な対応である。

「小児は熱中症になりやすい」は本当?本当です。小児では体温調整能力が十分でないためです。それには次のような理由があります。(1)体表面積が成人に比し大きく、体重あたりの熱の出入りが激しい。(2)発汗をうながす能力が成人より未熟。(3)単位体積当たりの熱産生量が成人より多い。(4)深部から体表への血流による熱運搬能力が弱い。(5)体重当たりの水分の占める比率が成人より大きく、水分の不足は成人より影響が大きい。(6)腎臓の働きが未熟である。

スポーツの時などはあまり無理をしないこと、また上に立つ指導者は、下級生・弱い人・肥満のある人などには気を使ってあげるべきかと思います。また、赤ちゃんとともに外出するときは特に気をつけましょう。

熱中症を引き起こす、そもそもの根底には、ヒトの体温を調節するメカニズムがあります。熱中症のメカニズムを体温調節の仕組みから見てみましょう。

1. 皮膚の表面から空気中へ熱を放出する
2. 汗をかき、その汗が蒸発するときに熱を奪うはたらき(気化熱)を利用する


体温よりも気温が低ければ、皮膚から空気中へ熱が移りやすく、体温の上昇を抑えることができるます。また、湿度が低ければ汗をかくことで熱が奪われ、体温を上手にコントロールすることができます。

しかし、気温が体温より高くなると、空気中への熱の放出が難しくなるため、体温調節は発汗だけに頼ることになります。ところが真夏日によくあるように、気温が高いばかりでなく、湿度も75%以上になると、汗をかいても流れ落ちるばかりでほとんどほとんど蒸発しなくなり、そのため、発汗による体温調節すら事実上できなくなってしまいます

また、体温が37℃を超えると皮膚の血管が拡張し、皮膚の血液量を増やして熱を放出しようとします。しかし、このとき体温がさらに上昇し、発汗などによって体の水分量が極端に減ると、今度は心臓や脳を守るために血管が収縮しはじめます。つまり、ここでも熱が放出できなくなってしまいます。

熱中症は、こうして体温を調整する機能がコントロールを失い、体温がグングン上昇してしまう機能障害です。実は、炎天下ばかりでなく、室内で静かに過ごしていても起こり得ます

紫外線から子供を守る事も重要です。肌へのダメージが大きい紫外線(UV)への対策も大事です。子供たちをUVから守りましょう。
日焼けは紫外線による火傷です。ダメージを受けた皮膚の細胞は傷ついたDNAを修復しようとしますが、長年浴び続きますと修復が狂って腫瘍の原因となりえます。
特に成長期の子供は細胞分裂が盛んで影響を受けやすいです。
紫外線のダメージは目に見えない形で何十年と長く蓄積され、免疫機能の低下や白内障の原因とされます。