38 ヒトメタニューモウイルス感染症

毎年春と初夏の時期になると、咳と鼻汁が先行して高熱が遷延するかぜ症候群の乳幼児(3、4歳まで)の原因病原体が不明となります。インフルエンザはほとんどいなくなり、RSVも極一部からしか検出されなり、ヒトメタニューモウイルスが出現して来るためです。2月よりヒトメタニューモウイルスが、しばしば検出されています。 5月は、咳が先行し水様性鼻汁を伴い、39℃〜40℃の高熱が遷延するかぜ症候群のかなりの乳幼児(3、4歳まで?)は、このウイルスによると思われます。多くは胸部聴診所見に異常はないのですが、一部は局在性の湿性ラ音(急性気管支炎)や、肺全体びまん性の乾生、湿性ラ音を聴取する(喘息様気管支炎)こともあります。RSV感染症より下気道への浸潤の程度は軽いと考えられています。しばしば中耳炎を合併します。ウイルス感染症ですから、時には発熱は1週間近く遷延します。このウイルスに対する迅速診断キットはありますが保険はききません。高熱が続けば細菌による二次感染(肺炎)も否定せしなければならないので、血液検査(CRP,CBC)や胸部X線撮影も行わなければならないので、なかなかやっかいです。プライマリーケアで診る本感染症のほとんどは入院適応は無いと考えています。このヒトメタニューモウイルスを数年間追跡していますが、流行は2月〜7月です。9月〜1月にはほとんどいなくなります。
以下の写真は迅速検査陽性例で薄い写真ですが、Sに縦に紫の線が入り陽性です。