05 小児用肺炎球菌ワクチンとはなんでしょう?

菌血症や細菌性髄膜炎を予防するための小児用肺炎球菌ワクチンを接種させていただいております。
菌血症は鼻の奥にいる細菌が血液に入った状態をいい、そこからさらに脳や脊髄を包んでいる髄膜に入り込んで増えると、髄膜炎を引き起こします。
日本では毎年少なくとも約1000人の子どもが髄膜炎にかかっているとみられ、死亡率は2〜8%、後遺症の割合は約20%に上ります。
子供にとってインフルエンザ脳症以上に怖い感染症です。
菌血症の原因菌の3分の2は肺炎球菌で、4分の1がインフルエンザ菌b型(Hib)です。
髄膜炎を起こすものはHibの方が多いものの、肺炎球菌の方が死亡率は高く後遺症の割合が多いとされています。
小児用肺炎球菌ワクチンは約90ある肺炎球菌のタイプのうち、重い症状を引き起こす、7タイプという肺炎球菌に効果があります。
髄膜炎の診断は難しく、ワクチン接種の意義は大きいと思われます。
2000年に、このワクチンが定期接種となった米国では肺炎球菌の感染による重症患者が激減。子供からの感染が減った事で65歳以上の高齢者の重症患者が減る効果もありました。
ワクチン接種対象は生後2ヶ月〜9歳で任意接種ですが、副作用が極めて少ないワクチンであり、Hibワクチンと共に定期接種になれば髄膜炎を日本で撲滅できる可能性があります。