10 ポリオ不活化の当院の対応 |
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ポリオの予防接種には、病原性を弱めたポリオウイルスをシロップに混ぜて飲む生ワクチンと、死んだウイルスを含む溶液を注射する不活化ワクチンの2種類があります。生ワクチンは弱いながらもウイルスが生きているので、まれに接種後にポリオを発症し、まひが残ることがあります。 これに対し不活化ワクチンはその心配がありませんが、ワクチンですから何万人かに一人は副反応もあります。世界では不活化ワクチンが標準ですが、日本は生ワクチンを定期接種(公費負担)に使っています。これは昭和30年代にポリオが流行した際、当時共産圏であったソ連から生ワクチンのポリオを緊急輸入した経緯もあるからです。 不活化ワクチンを接種する場合、現状では公費負担にはなりません。海外から取り寄せている医療機関を探すしかなく、計4回の接種で約2万円の自己負担が必要になります。しかも健康被害が起きても、国の補償はありません。哀しい事に医療機関に対して訴訟を起こし、それから輸入代行会社と保障の提案を受ける事になります。 万が一、まひが起こると怖いと考え、不活化ワクチンの接種を決める人もいますが、副反応の対応もよくお考えになり決めてください。 早く、全国どこでも不活化ワクチンを安心して接種できるようになってほしいのですが、平成24年秋を目標に準備をしています。 国産の不活化ワクチンは製薬企業が開発中で、近日中にも承認申請し、厚生労働省は審査を急ぎ、導入は次の秋の見込みです。安全性や有効性の確認をおろそかにできないのは当然の事です。 患者団体は承認までの間、海外の不活化ワクチンの緊急輸入を要望していまする。厚生労働省は「緊急輸入は病気が流行して防ぐ手段がない時の特例措置。ポリオは流行しておらず、生ワクチンの予防効果も高い」と応じない考えは当然です。緊急輸入をすれば、どこかの国が困るであろうという発想がまったくないのは困ったものです。 まひへの恐れから今春の全国の生ワクチン接種率は昨春より18%も落ちています。自費で不活化ワクチンを接種した人と、導入を待つ人の両方がいるとみられていますが、現在中国でポリオが流行し、死者が3名おります。免疫のない子どもが増えるのは危険です。不活化ワクチン導入までは生ワクチンの接種をしてほしいと思います。 日本小児科学会は「何も接種しない選択が最も良くない」とし、生か不活化のいずれかのワクチン接種を勧める声明を出しています。
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