11 B型肝炎母子感染以外にも

肝硬変や肝臓がんを引き起こすB型肝炎も、予防接種で防げる病気です。世界的にはB型肝炎予防接種は、グローバルスタンダードのワクチンで生後2ヶ月から開始してなんら問題がないワクチンです。

B型肝炎の一例です。発疹と発熱の女の子で血液検査を受けると肝機能の数値に異常がみられ、入院して詳しく調べると、B型肝炎ウイルスに感染していることがわかりました。発疹は、ウイルスによるものでした。

B型肝炎ウイルスは、母親から感染することが多く、妊婦健診で妊婦が感染していることがわかれば、生まれてから2〜5か月の間に、B型肝炎ワクチンを3回接種するなどの感染防止策が行われています。

だが、母親は感染者ではありませんでした。なぜ感染したのか全くわからず、ショックでした。母親が感染者でない場合、子どもにワクチンを接種させるかどうかは、保護者の判断に委ねられています。次女の感染経路を調べるため、家族全員が血液検査を受けたところ、長男が感染していました。

B型肝炎ウイルスは、唾液や汗、涙などから見つかることもあります。長男の感染経路は不明だが、保育園などで感染し、その後、次女にうつった可能性が考えられました。

母親以外からB型肝炎ウイルスに感染する人が最近目立つようになりました。

B型肝炎ウイルスに感染した子ども57人の感染経路を調べたところ、母親からは65%で、残りは父子感染などでした。

また近年、これまで国内になく欧米に多いタイプのB型肝炎ウイルスに感染する人が増えて、海外との交流が盛んになったことが主な要因です。

このタイプは急性肝炎を起こして、持続感染者(キャリアー)になるケースが少なくなく、仮に発症していなくても、他人に感染させる危険性があります。

3歳未満でB型肝炎ウイルスに感染すると、持続感染者になりやすい。母親の感染の有無にかかわらず、ワクチンを接種できる生後2か月になったら、ぜひB型肝炎の予防接種を受けるようにしていただきたく、これも世界では標準のワクチンです。