Q44 大人のアトピー性皮膚炎の治療で抗真菌剤の内服薬を使用するのはなぜですか?

A: ダニの関与が考えられるアトピー性皮膚炎があるからです。アトピー性皮膚炎の原因として、ダニ、食事、乾燥などの要因が指摘されていますが、いずれも決め手となる因子ではありません。乾燥肌は確かにアトピー性皮膚炎ではありますが、アトピー性皮膚炎の強く消長を繰り返す痒みを説明できません。近年この痒みの原因として注目されるのが胃腸に生息している細菌やカビの影響です。カンジダと呼ばれるカビの一種のほか胃炎や胃潰瘍の原因とされるピロリ菌も関与すると考えられます。これらの細菌は胃腸内において増殖し、胃腸粘膜を刺激して食物性蛋白質の吸収を促進する他、自ら菌体外毒素を産生し痒みなどの種々の炎症性反応を起こします。そのため痒みの強いアトピー性皮膚炎の治療として、ピロリ菌やカンジダの除菌が、皮膚科専門医によって行われ、有効例もあります。アンホテリシンBという抗真菌剤を使用しますが、腎臓への毒性が強い薬剤としてよく知られています。この薬剤を内服した場合には胃腸からはまったく血液中には吸収されないという特性も有しています。そのため胃腸の中に存在するカビの発育を抑制する効果でアトピー性皮膚炎の補助治療となります。この薬剤は近年アトピー性皮膚炎や乾癬・掌蹠膿疱症などのさまざまな皮膚病の治療薬として用いられ、有効例はあります。小児用のシロップも発売されてますが、小児のアトピー性皮膚炎の治療薬としては世間で認められる薬ではありません。