Q49:アトピー性皮膚炎の発症メカニズム

A: アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患でありますが、最も根本的な原因は皮膚の乾燥にあります。いわゆる乾燥肌・ドライスキンと呼ばれる肌です。下の図のように、遺伝的にアトピー素因と呼ばれるアレルギー体質または乾燥肌体質の人が、アレルギー機序や皮膚のバリア障害などで、アトピー性皮膚炎が発症します。正常な皮膚の場合、皮脂に覆われ、外からの細菌や、アレルゲンと呼ばれる種々のアレルギーをおこす物質から皮膚を守ります。しかし、乾燥肌になると皮膚のバリア機能が失われ、細菌やアレルゲンが容易に皮膚内に進入します。アトピー性皮膚炎の子どもに、とびひや水イボが出来やすいのもそのためです。
皮膚内に進入した細菌やアレルゲンを身体が除去しようと炎症反応を起こし、このために痒みが生じたり、赤くなります。かゆいためにさらにその部位を掻爬することによって、皮膚に傷を付けますますバリア機能が失われ、炎症部位が拡大します。

アトピー性皮膚炎の症状の推移とは、年齢により症状が異なるのが特徴です。

乳児期

(1歳未満)

口の周り・ほっぺ・首の浸潤性(じゅくじゅくした病変)

頭部・体幹の浸潤性病変

幼児期

(2歳まで)

顔面・体の紅色丘疹(赤色のぶつぶつ)

体幹の鳥肌様丘疹(ざらざらした乾いた皮膚)

耳切れ

肘のくぼみ・腋の下の、じゅくじゅく

小児期

(12歳まで)

顔面の白く日焼けしない部位

体幹の鳥肌様丘疹

体幹・四肢の貨幣状(お金のような大きさのかさかさした)湿疹

肘のくぼみ・腋の下の苔癬化病巣(皮膚がごわごわに厚くなる)

思春期

成 人

顔面の丘疹と苔癬化病巣(皮膚がごわごわに厚くなる)

体幹・四肢の貨幣状湿疹

体幹・四肢の結節

肘窩・腋窩の苔癬化病巣

顔面の紅潮