5 二種混合

二種混合ワクチンの中には、「ジフテリア菌」、「破傷風菌」の2種類の菌が作る、それぞれの毒素が入っています。0.1mlの少量を接種します。
破傷風について
破傷風菌は、酸素を嫌う性質を持ち、土や泥の中に住んでいます。ヒトらヒトへと感染するのではなく、土や泥で汚れた傷口から感染します。菌そのものは、傷口の中で増えるだけですが、運動神経細胞をおかす、毒素を作り、この毒素が血液に混じって全身にばらまかれ激しい症状が起こります。運動神経が異常に興奮するため、口が開かなくなり、けいれんをおこし、最後には呼吸ができなくなり、約70%の方が死亡する恐ろしい病気です。破傷風は、現在の日本では年間約80人程度の届け出しかない病気ですが、怪我などにより、感染する機会は常にある病気ですから、きちんと予防しましょう。
〜ジフテリアについて〜
ジフテリア菌は、のどや鼻などの上気道に感染し、毒素を作ります。毒素は、感染を起こした部分の組織を死滅させ、偽膜と呼ばれる白い膜を形成します。偽膜が声帯のそばまでひろがると、強い気道狭窄を起こし、窒息をひき起こします。また、ジフテリア毒素が血流にのり心臓を攻撃し、心不全や不整脈を起こします。ジフテリアは、2000年の日本では、1名しか届け出のない病気です。ロシアでは、1990年よりジフテリアの大流行が起こっています。この時は、流行初期に予防接種の対策が遅れ、旧ソ連に属した国全体に流行が拡大してしまいました。1990-1995 年の間に、約125,000 人の患者が発生し、4,000 人以上が死亡しています。
〜小学6年生の二種混合〜
副反応は接種部位の腫れです。腫れに気づいたら冷やして下さい。
これらの病気に対しては、生後5ヶ月から行う三種混合ワクチンによって「基礎免疫」をつけます。さらに、小学校6年生で、二種混合ワクチンを接種します。小学校6年生で、これまで三種混合を1回も接種したことがない方は今回,二種混合(U期)を接種することはできません。基礎免疫が不十分な場合(T期に三種混合を0〜2回接種もしくは,二種混合を0〜1回接種)今回,二種混合を1回接種しても,追加免疫の獲得は期待できません。基礎免疫をつけるためには,二種混合では0.5mlを3回接種する必要があります。しかし,10歳以上の方にジフテリア・破傷風ワクチンを0.5ml接種した場合,強い局所反応が生じる恐れがあります。破傷風単味であれば0.5mlの接種が可能ですので,破傷風単味の予防接種を規定回数(0.5ml×3回)接種し,破傷風に対する基礎免疫をつけることをお勧めします。6年生の漏れ者の接種は、当院で接種可能な場合がありますので元気館と相談されて下さい。