11 おたふく風邪(ムンプス)

おたふく風邪(正式には流行性耳下腺炎)は、潜伏期は約14日〜21日、空気感染でうつりますが、感染力が弱いので、不顕性感染(かかっても症状が出ない)の率も多く、30〜40%の方は症状が出ないと言われています。年齢は1歳以下の乳児には少なく、2〜9歳に多いのですが、1歳以下では、かかっても症状が出ない場合があります。耳の下(耳下腺)から、あごの下(顎下腺)が腫れる事が多く、大きな子供は高熱が出ます。合併症としては、髄膜炎や睾丸炎がよく知られています。髄膜炎の発症は、男児に多く、自然感染では3〜10%と高い率ですが、通常は後遺症もなく治ります。しかし難聴の合併症は、聴力が戻る事はないと考えられています。
おたふくは2度かかる?:本物のおたふくかぜは、一度しかかかりません。ただし、おたふくかぜと同じように、耳下腺部がはれるウイルスや細菌がいくつかあり、それらに感染した時におたふくと診断されることがあります。したがって、まわりに流行がない時におたふくかぜと診断されたような場合は、違う感染症の可能性があります。また、反復性耳下腺炎といって、何度も耳下腺がはれる病気もあります。耳下腺が腫れて直ちに血液検査をして、おたふくウイルスIgM抗体の上昇があれば、血液検査で、おたふくと診断できます。
男の子は、おたふくかぜワクチンを早く接種した方がいい?:おたふくかぜの合併症として睾丸炎や副睾丸炎があります。これらは、思春期以降の男子に高率に合併します。(20〜35%)痛みはかなり強く、高熱も伴いますが、不妊の原因になることはまれです。ただ成人の女性にも、5〜7%の頻度で卵巣炎が起こります。また男の子の方が、女の子より3〜5倍、髄膜炎になりやすいと言われています。
接種時期:1歳を過ぎれば接種できます。任意接種でありいつでも可能です。また、麻疹や水ぼうそうでは、接触後すぐに予防接種や、ガンマグロブリンの注射をすることで症状の出現を防ぐことがある程度可能ですが、おたふくかぜの場合あまり有効ではないようですが、症状が出ることは防げないが、軽く済ませることはできます。
副反応:一番、問題となるのはワクチン接種後の髄膜炎です。0.1%の頻度で生じ、自然にかかった場合の3〜10%よりは低い率です。また後遺症を残すことは、ほとんどありません。
予防接種の効果と必要性:おたふくかぜのワクチンの予防効果は、約90%程度と考えられています。逆に言えば、10%は、注射をしていても軽症ですが、おたふくにかかる可能性があります。おたふくかぜの予防接種は、任意接種(有料)ですが、おぎた小児科医院での接種をお勧めします。