13 インフルエンザ

2014年-15年度のインフルエンザワクチンは,多くを占めたA型で,子供の入院を半分以下に減らしたとする調査結果が出ています.予防接種の効果は年度により異なりますが昨シーズンでは重症化を防ぐ一定の効果があった事が示されています.慶応大学の発表ですが,14年11月から15年3月に38度以上の熱や咳などで受診された生後6ヵ月から15歳の3752人についてワクチン接種の有無とインフルエンザの発症や重症化との関係を調べたところA型インフルエンザの発症者で見るとワクチンを接種していた子供で重症化して入院したのは100人あたり7人弱.未接種の場合に比べて重症化するケースを55%減らせた計算になった.A型の発症も接種により37%減っていた.ただ年齢で見ると6〜11カ月と13〜15歳で効果ははっきりしませんでした.一般的に30〜50%の発症予防効果があれば接種した方がよいと言われて,2年続けてA型で効果が裏付けられているので乳児や中学生の効果については検討が必要だが,全体では重症化や発症を防ぐ効果がある事が示されたので小児は積極的に接種すべきです.
ワクチン効果の本音を言うと、どうも1回接種ですと小児は厳しいと思います。赤ちゃんにインフルエンザウイルスのワクチンを行い、小さな子で本当に免疫が出来るの?との御質問に対して、乳幼児のインフルエンザワクチン接種の抗体価の推移の データ-は次の2件があります。いずれも1999-2000年の古いデータです。
・ 乳幼児のインフルエンザワクチンの抗体獲得に関する研究
乳児および幼児期早期のインフルエンザワクチン接種は、日本ではまだ 一般的に行われているとはいえない。しかし、脳炎脳症の予防にワクチンが有 効であろうという思いから、近年、接種を積極的にすすめる小児科医、接種を希望する保護者が増えてきた。前年度にワクチン接種歴の無い0才児8名、1才児22名を対象に して、1999〜2000年シーズンに、ワクチン2回接種後のHI抗体価を測定し た。その結果、これら低年齢児であっても、抗体獲得は十分良好であり、少な くとも低年齢で抗体獲得に不安があることを理由に接種を見合わせる必要はな いことがわかった。乳幼児がワクチン接種によって抗体を獲得して、年長児と同程度に感染およ び発症の予防が期待できるかどうかは疑問があるが、一応年長児以上で感染防御のレベルと考えられているHI抗体価128倍以上を獲得した児は、30名中、 A(H1N1)型 21名、A(H3N2)型 28名、B型 18名であった。なお、同じA型で、一 見A(H1N1)型の抗体獲得がA(H3N2)型に比して悪いようにもとれるが、今シーズ ンのワクチンの成分比が、A(H1N1):A(H3N2)=200:350であったことや、1998〜 1999年シーズンにA(H3N2)型が流行したので、1才児の中に感染歴のあった者が いる可能性もあることを考えると、抗体獲得について差があるとは考えにくい と思われる。
・ 乳幼児へのインフルエンザワクチン接種(予防接種研究班報告 平成12年3月 p.85〜86)乳児(生後5カ月〜11カ月)8例及び、幼児(1歳2カ月〜2歳)19例に対し化血研製インフルエンザワクチンを皮下に2回接種後、HI抗体価を測定している。 32倍以上を陽性、それ未満を陰性とした。 Aソ連型:(乳児)全例陰性→87.5%が128倍以上、(幼児)全例が陰性→94.7% が32倍以上 A香港型:(乳児)6/8が陰性→陰性だった6例は全例256倍以上、(幼児)1/19が陰性→接種前陽性の18例中11例が抗体価4〜16倍の上昇。 B型:(乳児)全例が陰性→75%が128倍以上、 (幼児)10/19が陰性→接種前陰性の10例は全例128倍以上。
・ 上越市で2000年2月にインフルエンザワクチンを2回接種したにもかかわらず、お亡くなりになった方がいたそうですが、ボルタレン座薬の副作用の可能性もありえると思います。
・ 2003年1月見附市のお子さん6歳のお子さんが脳炎でお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
詳細は、6歳男児,1月7日元気に保育所へ登園するもその夜発熱,1月8日見附市の小児科医院を午前受診し,ラピッドビュー迅速検査で
陽性で抗ウイルス薬のタミフル処方,その晩、痙攣を起こし、救急車で長岡日赤へ入院し熱性痙攣予防のダイアップ座薬投与してそのまま、入院しました。痙攣は1分程度で本人は元気で受け答えも通常。その後もトイレに自分で歩いていったそうです。1月9日の午前6:00突然の意識消失とともに心肺停止,蘇生を試みたが反応せず,そのまま永眠されたそうです。感染ルートは1月4日に弟がラピッドビュー迅速検査で陽性で本人の通う保育所では年末よりインフル流行。インフルエンザワクチン接種はされていなかったそうです。