14 A型肝炎

A型肝炎は、途上国では一般に存在する感染症です。汚染された飲食物を介して感染し、発熱、全身倦怠感や黄疸がみられ、重症化すると著しく衰弱し、数週間から1ヶ月以上も休養が必要になることがあります。なお慢性化したり死に至ることは極めてまれです。1992年に安全で効果の高いA型肝炎ワクチンが開発され、日本では、1995年から予防接種が実施されています。予防効果の高いワクチンなので、途上国などへ渡航される方は、接種をお勧めします。感染はA型肝炎ウイルスが、糞便に汚染された水や氷、野菜や果物、またカキなどの魚介類を介して、経口的に感染します。肝機能検査を実施しなければ気付かない程度の軽症も多くみられます。潜伏期間は15〜50日、平均28日で、38度以上の急激な発熱から発症し、全身倦怠感、食欲不振、悪心嘔吐、黄疸などがみられます。重症例では、1ヶ月以上の休養が必要なことがあります。一般に小児が感染した場合、成人に比べて全身症状が軽いと言われています。特異的療法はありません。安静と食事療法が基本です。
A型肝炎ワクチンの予防接種は A型肝炎ワクチンを2〜4週間間隔で、2回接種します。さらに約半年後に1回追加接種すると5年間は効果が得られるようです。

現在、日本でA型肝炎予防接種の可能な最低年齢は16歳以上です。諸外国では若年から接種しています。

充分加熱調理された飲食物の摂取

感染源は主に生水、氷、生の魚介類、生野菜などです。

A型肝炎ウイルスは85度1分の加熱で不活化するので、十分加熱調理してあるものを食べましょう。途上国では、瓶入りミネラルウォーターや、一度沸騰させたものを飲用しましょう。