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高機能画像処理フリーソフト “Gimp2” 覚書

このページは、入門書ではない。私がヘルプや解説サイトで調べた覚書。詳しく手順を書いているところもあれば、手順を書いてないところもある。理解が進んでいないところは粗っぽくなる。Gimpを使い始める人に役立つかどうか。

Gimpについて基本事項は、別ページの Gimp2の基本事項 にまとめてある。ここでは写真の加工(フォトレタッチ)をまとめた。

足らないところに気が付いたら書き加える。

「Gimp2」写真の加工(フォトレタッチ)

作業用のフォルダ・ファイルを作る

カメラで撮影したオリジナルファイルに対して直接作業するのは、誤って大事なデーターを失う危険があるので、必ず作業用のファイルを作る。

画像ファイルを開く前に他の作業用フォルダにコピーして、コピーした画像ファイルを開いて作業をする。ファイル名は変更し元のファイル(オリジナルファイル)名に文字を追加して区別できるようにした方が間違いが少ない。

メニューバーの[ファイル][コピーを保存]を使って保存することも出来るが、保存後も開かれているファイルは元のオリジナルファイルになっている。作業をするには間違わないように、オリジナルファイルを閉じてコピーファイルを開き直さなければならない。

また、オリジナルファイル(jpg)を開いてから、メニューバーの[ファイル][名前を付けて保存]で他のフォルダに保存するのは、さらに圧縮するので繰り返すと画質を低下させる。

文字を書き込むなどレイヤーを使った画像は、完成するまではGIMP独自のファイル形式(XCF)で保存する。そのため、[名前を付けて保存]の[ファイルタイプを選択]で[GIMP XCF画像]を選び、拡張子の[.xcf]を確認して保存する。

サイズ変更

ここでの「サイズ」は、紙にプリントした写真の大きさやパソコンのディスプレイ上に表示する大きさではない。「ファイルサイズ」を指す。

デジタルカメラで撮影した画像のファイルサイズは大きいので、処理や転送に時間がかかり、場合によってはトラブルの原因になる。目的に応じたファイルサイズに変更するが、拡大することはなく殆どの場合縮小することになる。

  1. メニューバーの[画像][画像の拡大・縮小]をクリック。
  2. [画像の拡大・縮小]ダイアログボックスで、現在の画像サイズを[画像サイズ]の[幅][高さ]のコンボボックスで確認しておく。(単位は右のリストボックスに表示されている。初期値ピクセル)
  3. [幅][高さ]のコンボボックスと単位のリストボックスの間にある[鎖]が接続されていることを確認する。(鎖をクリックすると接続・切断が切り替わる)接続されていると縦横比が固定されている。
  4. 縦横比が固定されている状態で、幅か高さのどちらかのコンボボックスのスピンボタン(上下向きの三角のボタン)をクリックするか、ボックスにピクセル数を入力すると、他のボックスの値が変化する。
  5. [品質]は、サイズ変更に伴い画素の追加・削除が行われ、画質が低下するので補間方法の選択ができます。補間方法の説明は[ヘルプ]ボタンをクリックすると表示されます。処理時間が気にならないときは初期値の[キューピック]のままにしておく。

水平解像度・垂直解像度については、今のところ判らない。

トリミング

カメラのシヤッターを押したときの撮影範囲が狙い通りの構図であれば最良だが、不要な部分を排除し撮影した範囲のうちの一部分を切り取って強調表現したい時が多くある。撮影したときよりディスプレイで見た時の方が、ゆっくり構図を考える事ができる。また、カメラの望遠機能が足らない場合、高い解像度で撮影して、思い通りの構図に一部分を切り取ることで間に合わせることができる。トリミングは画像ファイルを作る重要な作業の一つ。

  1. ツールボックスの[切り抜き]ツール(カッターのアイコン)を選択(クリック)。
  2. 画像の縦横比を維持するには、ツールオプションの[値を固定 縦横比]のチェックボックスにチェックを入れておく。
  3. イメージウインドウの画像の切り抜き部分の左上端をクリックして、右下までドラッグ。
    失敗したら[Escキー]で取り消し出来る。

    左上端をクリックすると、イメージウインドウの下のステータスバーに[矩形:0 X 0]と表示され、ドラッグすると[矩形:xxx X yyy (z.zzz : 1)]と変化する。これを利用してプリントする用紙の縦横比に合わせてトリミングすることができると思う。

  4. 矩形の範囲が選択されているのを確認して、[Enterキー]を押す。
    矩形の範囲はEnterキーを押す前に、範囲を変更出来る。
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傾きの修正

シャッターを押す力が大きいのか、撮影場所が傾斜していたのか、写真の中の水平線(それに相当するもの)が傾斜してしまうことがある。水平のものが傾斜して見えるのは、意図的に行ったとき以外は不安定な感じになり修正したくなる。

  1. 画像全体が点線に囲まれていることを確認する。(画面全体がアクティブになっている状態)
  2. 水平または垂直のルーラーを画面の水平または垂直線の部分ににドラッグ&ドロップして、ガイド線を引く。
  3. ツールボックスの[回転]ツールを選択。(またはメニューバーの[ツール][変換ツール][回転])
  4. イメージウインドウ内をクリックすると、[回転]ダイアログが出る。
  5. ダイアログの[角度]のスライドバーを左右にドラッグすると、画面がそれに合わせ傾斜する。
  6. ガイド選に合わせ修正位置が決まったら[回転]ボタンをクリック。
  7. 画面の隅にずれた余白が出来るので、前項のトリミングの手法で矩形に切り取る。

明るさとコントラストの調整

逆光とか撮影条件の影響とカメラの設定の失敗や機能の限界などで、撮影した写真に明るさとコントラストについて手を加えたくなることが多い。

写真全体の明るさとコントラスト

メニューバーの[色][明るさーコントラスト](または、[ツール][色ツール][明るさーコントラスト])で、明るさーコントラストダイアログが表示される。

[プレビュー]のチェックボックスにチェックが入っていると、調整の値が画面に反映される。

[明るさ][コントラスト]のスライドバーのスライドを左(マイナス)、右(プラス)にドラッグすると、画面全体の明るさとコントラストを調整できる。(画面上をマウスで縦にドラッグすると[明るさ]、横にドラッグすると[コントラスト]を調整できる。決定はダイアログの[OK]ボタン。)

光量不足の写真を明るくするとコントラストが落ちるので、コントラストを少し高くする。簡便な方法だが画面全体を調整するのできめ細かな調整はできない。

[この設定をレベルで調整]ボタンは、以下のヒストグラムを操作する。

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ヒストグラム

GIMPの[レベル]は、ヒストグラムを操作する。

ヒストグラム(度数分布図、Histogram)は、バラツキの分布状態を柱状グラフに表したものだが、デジタル画像では横軸に画像の中のシャドーからハイライトまで輝度(明るさ)で0(真黒)から255(純白)を表し、縦軸にその明るさ(輝度)の画素(ドット、ピクセル)数を柱状グラフに示したもの、どの位の明るさの点が、どの位有るかがわかる。画素の分布がシャドーまたはハイライトに偏っていないか?メリハリのない眠い画面になっていないか?などを点検できる。

GIMPでは、メニューバーの[色][レベル]で[レベル]ダイアログが開く。この中の[入力レベル]のグラフがヒストグラム。

[ウインドウ][ドッキング可能なダイアログ][ヒストグラム]のダイアログでは、レベルで調整した結果のヒストグラムを見ることができる。

ヒストグラムはデジタルデータを解析して表示し、慣れるとカメラで撮影したときにどんな写真か確認できるという。また明度だけでなく色のチャンネルでも調整できるそうだ。

参考サイトプロカメラマンの写真講座25 ヒストグラムのすすめ

暗いところ(シャドー)を明るく

[レベル]ダイアログで入力レベルの分布図で、横軸の左端の輝度が0(黒)の近くに画素が多くあると、暗い黒がつぶれている画像になっている。図表では右側(ハイライト側)には画素が無い部分が広くある。

調整するには、図表の下の右端にある[ハイライトスライダ](白抜き三角ー半分だけ見える)を左へ画素の山が始まる位置近くまでドラッグする。

明るいところ(ハイライト)を暗く

[レベル]ダイアログで入力レベルの分布図で、横軸の右端の輝度が255(黒)の近くに画素が多くあると、明るすぎて全体が白っぽい画像になっている。図表では左側(シャドー側)には画素が無い部分が広くある。

調整するには、図表の下の左端にある[シャドースライダ](黒三角ー半分だけ見える)を右へ画素の山が始まる位置近くまでドラッグする。

中間色の調整

[レベル]ダイアログで入力レベルの分布図で、画素が両端に多くあり、中央の[中間色]が少ない(または無い)場合の画面は、極端に暗いところと明るいところに偏っている。逆光で撮影した写真によくある。

調整するには図表下の中央にある[中間色スライダ](三角)を左右にドラッグする。これは、ハイライト・シャドウの部分を変えないで、画面の明るさを変化させられる。[ガンマ補正]と言っているアプリケーションがある。

[レベル]ダイアログで入力レベルの分布図で、両端のハイライト・シャドウの部分に画素が無く、中央に画素の大きな山が出来ている場合は、メリハリのない眠い感じの画面になっている。

調整するには、シャドウスライダを右へ、ハイライトスライダを左へ画素の山の端まで移動させる。

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トーンカーブ

[レベル]ダイアログの中に[この設定をトーンカーブで調整]というボタンがある。クリックすると[カーブ]ダイアログが開く。[カーブ]ダイアログを開く他の方法として、メニューバーの[色][トーンカーブ]、[ツール][色ツール][トーンカーブ]がある。

ヒストグラムと同様に明度だけでなくRGBの各チャンネル毎に補正できる。暗いところ(シャドウ)、明るいところ(ハイライト)などアンカーの数を多くしてきめ細かく補正できる。

図表の横軸に修正前の輝度(入力値)、縦軸に修正後の輝度(出力値)を0〜255で表して、画像ファイルを開いた修正前は、左下の0 0〜右上の255 255の間に直線が引かれている。[カーブの種類]が[滑らか]になっている時に、直線上をクリックして任意のところへドラッグすると、直線が曲線(色カーブ)になりクリックした個所の輝度を変える事が出来る。[プレビュー]にチェックが入っていると画面(キャンバス)に反映される。また、[ウィンドウ][ドッキング可能なダイアログ][ヒストグラム]で変更後のヒストグラムを見る事ができる。

チャンネル

明度(初期値)、赤、緑、青、アルファの5つのチャンネルを切り替え、それぞれのチャンネル毎に調整することができる。

[明度]チャンネルが画像全体の明るさを表す。

[赤、緑、青]の各色のチャンネルは、その色の量を表し、「暗い」は量が少ないこと、「明るい」は量が多いことを表す。

[アルファ]チャンネルは画素の透明度を表し、「暗い」は透明度が高いこと、「明るい」は不透明度が高いことを表し、その画像に透明度を表すアルファチャンネルが無ければ使えない。

露光過不足の改善

露出が足らなく暗い写真や反対に明るすぎる写真は、色カーブ(最初は斜線)の中央を上(暗すぎるとき)・下(明るすぎるとき)にドラッグすると改善できる。(ヒストグラムの中間色の操作と同じか?)

暗い部分だけを明るく(暗く)したい時は、色カーブの暗い部分(中央と左(下)端の間の中央あたり)を上下に動かす。明るい部分だけを暗く(明るく)したい時も同じように出来る。

コントラストの改善

色カーブを垂直に近くするほどコントラストを強く出来る。反対に水平に近づけるほどコントラストが下がりフラットな画像になる。

具体的には、色カーブ(最初は斜線)の中央は固定して、上(右)部の中ほどを上へ、下(左)部の中央を下へ動かして、色カーブはS字状になりコントラストが高くなる。逆に上(右)部の中ほどを下へ、下(左)部の中央を上へ動かすと色カーブの中ほどが最初の斜線より傾斜が緩くなり、コントラストが低くなる。

参考サイトプロカメラマンの写真講座26 トーンカーブのすすめ

ホワイトバランス

写真は被写体に反射した光を記録するので光源の影響を受ける。フイルム写真ではフイルムの種類を選びレンズの前にフィルターを付けて調整する。デジタルカメラでは、ホワイトバランスで調整する。

光源の影響を受ける被写体の色温度を、白い色を白く表現することで補正する。

撮影環境に合わないホワイトバランスを使うと、特定の色に偏った色調になる。これを「色かぶり」という。

晴天の日中の太陽光の下でも、ビルの日陰などが青味を帯びるなど色かぶりが起きる。逆に紅葉の赤みを強調するために電球等の色温度に下げて撮影する事も出来る。

デジタルカメラの場合は、撮影が終わってからフォトレタッチソフトで補正することができる。

カメラでの補正

オートホワイトバランス(AWB)
デジタルカメラでは殆どの場合ホワイトバランスを「オート」に設定しておけば、自動的にカメラが撮影環境にあった白い色を白く色温度に設定される事になっているが、カメラごとに基準が異なりクセがある。また至近距離・単一な色の被写体・特殊な光源など撮影環境によっては意図しない色調になってしまう事がある。
高級なデジタルカメラでは撮影したままのRAWデーターを保存できるが、パソコンによる現像処理の段階でホワイトバランスなどの調整ができる。
プリセットホワイトバランス
晴天・曇天・白熱電球・蛍光灯・ストロボ・水中など光源に合わせて予めカメラに設定されている色温度を状況に合わせて選択する。
マニュアルホワイトバランス
撮影条件で白い紙や布などの白色をカメラに記憶させ、ホワイトバランス設定する。手順はカメラごとに違うのでカメラのマニュアルで調べる。
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白いものを白に

GIMPで色補正する方法はいろいろあるが、純粋に白い点、逆に純粋に黒い点がある画像はホワイトバランスで補正できる。

  1. GPMPで画像を開く。
  2. メニューバーの[色][レベル]をクリック。
  3. レベルダイアログの[全チャンネル]の[白点を設定](白いスポイト)をクリック。(マウスポインタが点眼器になる)
  4. 画面の最も白く表現したい色をクリック。
  5. 失敗したらダイアログの[リセット]ボタン、完了なら[OK]ボタンをクリック。

色合いの改善

「色合い」とは何とも曖昧な表現。カメラで撮影して、パソコンのディスプレイで見て、プリントして……、「どうも色が変だ」というときがある。ディスプレイやプリンターが、画像ファイルの色を忠実に表現しているかどうかという問題があり、それを調整する方法もある。それ以外にも画像ファイルの「色」にはいろいろな問題がある。少し調べた事をまとめたのがある。よかったら私のブログ「パソコンの「色」について覚書」を参照。

撮影後画像ファイルに手を加えて、色合いを調整するには、今まで出てきた[ヒストグラム][トーンカーブ][ホワイトバランス]のダイアログにある[チャンネル]で R,G,B 各色を選択して調整する方法がある。

自動調整

最も簡単な方法。メニューバーの[色][自動調整]をクリック、以下のサブメニューを選択する。色々試して画像と自分の意図に合ったものを選ぶ。

レベルの自動調整
メニューバーの[色][レベル]でダイアログの[自動調整]ボタンとその右の3個の点眼器(スポイト)で半自動で色と明るさを程よく調整できる。
平滑化
1箇所でも(純)白または(純)黒があると効果がない。露出不足の時に効果がある。画像全体を均等に調整する。ヒストグラムはバーコード状に隙間が開く。
正規化
処理に時間がかかるが、範囲いっぱいに均等に色のコントラストを強める。
色強化
色の明るさや色相を変化させないで、彩度だけ強調する。彩度のないグレースケール画像には効果がない。
コントラスト伸長
RGBの各チャンネルを個別に均等化する。明るい色はいっそう明るく、暗い色はさらに暗く強調。純白・純黒になるべきところにある別の色を取り除く。
HSV 伸長
HSV(色3属性 色相・明度・コントラスト)の各属性について個別に均等化する。
ホワイトバランス
RGBの各チャンネルごとにあまり使われてない色を削除して分布を拡張する。ヒストグラムはバーコード状に隙間が開く
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色ツール

メニューバーの[ツール][色ツール]のサブメニューに次の項目があり、それぞれのダイアログで画像の色合いを調整することが出来る。

カラーバランス
メニューバーの[色][カラーバランス]と同じ。変化を加える範囲を[ハイライト][中間調][シャドウ]の中から選び、R,G,Bと補色関係のC,M,Yの間をスライダーで色レベルを調整する。
[輝度を保持]にチェックが入っていると、色レベルを変えても選択された範囲の輝度は変わらない。
[プレビュー]にチェックが入っていると、イメージウインドウの画像に直ちに反映される。
[範囲のリセット]では色レベルの変更が元に戻り、下の[リセット]ボタンをクリックすれば変更が取り消されて元の画像に戻るので、色々試すことができる。
色相-彩度
メニューバーの[色][色相-彩度]と同じ。調整する基準色(R,G,Bと補色関係のC,M,Yまたはすべてのマスター)を選択して、色相・輝度・彩度をスライダーで調整する。
ここでの変更は、トーンカーブ・レベルのようにシャドウ・中間調・ハイライトなどの限定した範囲にのみでなく、画像の中の選択した基準色全体に対して行われる。
[プレビュー]にチェックが入っていると、イメージウインドウの画像に直ちに反映される。
[色のリセット]では選択した色の調整が元に戻り、下の[リセット]ボタンをクリックすれば変更が取り消されて元の画像に戻るので、色々試すことができる。
着色
メニューバーの[色][着色]と同じ。「着色」という言葉の印象とは外れるが、グレースケール画像として描くためのもので、セピア調の画像にするなどの時に使用する。色相・彩度・輝度のスライダー動かして目的の色に調整する。
[プレビュー]にチェックが入っていると、イメージウインドウの画像に直ちに反映される。
明るさ-コントラスト
起動する方法は、メニューバーの[色][明るさ-コントラスト]と同じ。前掲の[明るさとコントラストの調整]参照。
しきい(閾)値
起動する方法は、メニューバーの[色][しきい値]と同じ。白黒だけの画像に変換する。しきい値の範囲内の画素は白に、しきい値の範囲外の画素は黒になる。白と黒の2値の画像(イメージスキャナで取り込んだ文字など)を強調したり、選択マスクを作る時などに利用する。
レベル
起動する方法は、メニューバーの[色][レベル]と同じ。前掲の[ヒストグラム]を参照
トーンカーブ
起動する方法は、メニューバーの[色][トーンカーブ]と同じ。前掲の[トーンカーブ]を参照
ポスタリゼーション
起動方法はメニューバーの[色][ポスタリゼーション]でも同じ。元の画像の特徴を維持して画素の色数を減らすツール。ポスタリゼーション・レベルのスライダーで入力する数字(2〜256)により、色数が決まる。[ヒストグラム]ダイアログを表示しておいて操作すると変化がわかる。
脱色
起動方法はメニューバーの[色][脱色]でも同じ。全部の画素をモノクロ(灰色の濃淡)に変える。
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明瞭度の補正

手ブレかピンボケか、撮影した写真の主体がハッキリしないことがある。反対にコンパクトデジカメは背景をボカして主体を強調するのが難しい。撮影時の条件が大きく影響して大きな修正は難しいが、ある程度はGIMPで修正できる。

アンシャープマスク

直訳は「非明晰化マスク」(略称 USM)で名称からは逆の「ボカすマスク」のように受け取られるが、シャープにするマスク。

メニューバーの[フィルター][強調][アンシャープマスク]でダイアログが開く。[半径][量][しきい値]のスライダーで調整出来るが、数値を高くすると失敗する。殆どの場合初期値のままでよい結果が得られる。

シャープ化の際に色の歪みが起こるのを防ぐため、画像をHSVにチャンネル分解して、明度Vチャンネル上にだけフィルタをかけ、そのあとまたHSV画像に合成するとよい結果が得られる。

その画像を使用する解像度で補正する。

半径
シャープにする輪郭周辺の画素数を決める 0.1 〜 120.0 の値。解像度が高ければ大きい値を設定できる。(初期値0.1)
シャープ化の強度を 0.00〜5.00 の間で設定する。(初期値1.50)
しきい値
輪郭がシャープ化を受け入れる画素の値の最小差異を 0〜255の間に設定できる。(初期値0)
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シャープフィルタ

メニューバーの[フィルター][強調][シャープ]でダイアログが開く。調整はスライダーを動かすだけ。プレビューのスクロールバーで(或い縦横のスクロールバーの交点の十字の矢印をドラッグして)チェック箇所を表示してスライダーを動かす。

イメージウインドウへは[OK]ボタンをクリックしないと反映されない。シャープ度を高くすると画像が荒くなりノイズが目立つ。前項のアンシャープマスクの方がよい結果を得られる。

ぼかし/シャープツール

部分的にシャープにしたい時ツールボックスの[ぼかし/シャープツール]を使う方法がある。ツールボックスの水滴のようなアイコンをクリックするか、メニューバーの[ツール][描画ツール][ぼかし/シャープ]をクリックすると、ツールオプションが[ぼかし/シャープ]になる。

[色混ぜの種類]を[シャープ]にして、[割合]を適当なレベルにし、マウスでシャープにする部分をドラッグする。(必要に応じブラシの太さなどの設定をする)

重ねて使うとノイズが増えるなど不都合があり控えめに使う。レイヤで範囲を限定して、アンシャープマスクを使う方がよい結果が得られる。

ざらつき対策

光の量が足らない時、露光時間が短すぎた時、データー不足でざらついた写真になることがある。ざらつきを取り除く2つの方法。

選択的ガウシアンぼかしフィルタ
ざらつきの程度が強くない時は、メニューバーの[フィルター][ぼかし][選択的ガウシアンぼかし]で、[ぼかし半径]を小さく(1〜2 ピクセル)して、[最大デルタ]を適当に設定して、適用させることが出来る。最大デルタは付近の画素との差が設定された範囲を超えるとぼかしの対象にならない。
ノイズ除去フィルタ
[フィルター][強調][ノイズ除去]でダイアログが出る。ノイズを除去する範囲をあらかじめ選択しておく。[半径]は動作する大きさ、[黒レベル]は設定したレベルより暗い画素から色を除去、[白レベル]は設定レベルより明るい画素から色を除去する。
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赤目の修整

カメラの方を見ている人物にレンズを向けフラッシュを使うと、目の虹彩が光を受け赤くなる(赤目)ことがある。拡大して赤い箇所を塗りつぶせばよいのだが、GIMPにはフィルタが用意されてある。

  1. あらかじめ選択ツール(自由選択か楕円選択など)で赤目の部分を選択しておく。
  2. メニューバーの[フィルター][強調][赤目除去]をクリックするとダイアログが開く。
  3. プレビューにチェックを入れ、拡大ボタンで瞳を確認できるようにする。
  4. 必要があれば、[しきい値]のスライダを調整して赤目を取り除く。

変形と歪みの修正

写真を極端に変えてしまうことは、写真と言えないのかもしれないが、必要により利用できる機能がある。

鏡像変形

上下・左右に反転させる機能。

  1. 普通左側にある[ツールボックス]の[鏡像反転]ツールをクリックするか、メニューバーの[ツール][変換ツール][鏡像反転]をクリックする。
  2. [ツールオプション](ツールボックスの下)が、[鏡像反転]に変わっているので、[反転の向き]の水平・垂直の何れかを選ぶ。(Ctrlキー押し下げても変わる)
  3. 画面上のマウスポインタに縦・横の矢印がつくので、画面上をクリックすると反転する。

または[画像][変換][垂直反転・水平反転]でも同じ事が出来る。

剪断変形

剪(せん)断変形とは、たとえば四角形の場合上の辺を左へずらし。下の辺を逆の右へずらす(平行四辺形が出来る)変形をいう。当然画像はゆがんだものになる。写真では特殊な場合使われるのだろう。

  1. 普通左側にある[ツールボックス]の[剪断変形]ツールをクリックするか、メニューバーの[ツール][変換ツール][剪断変形]をクリックする。
  2. [ツールオプション](ツールボックスの下)が、[剪断変形]に変わり、画面上のマウスポインタに四角が平行四辺形に変わる図がついている。
  3. 画面上をクリックすると剪断変形のダイアログが出る。
  4. 変形率を決めて、剪断変形ボタンをクリックする。
    変形率(X)は水平方向、変形率(Y)は垂直方向ずらす量。単位は半ピクセル。正の値は時計方向、マイナスは時計逆方向。

用途にもよるが、ゆがんだ画像を全部使う場合は、はみ出す分キャンバスの大きさを大きくしておかないと、ずらした部分の画像が失われる。逆にずれた部分はキャンバスが現れるので、四角形で画像を使う場合トリミングする必要がある。

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遠近法

人の目やカメラのレンズは遠くのものが近くのものより小さく見える。絵画も遠近感を出すには位置により大きさや色を工夫する。GIMPの遠近法ツールは、例えば画面の下辺をもとのままにして、上辺を短くくして画面を歪ませて遠近感を出す。高さを小さくした方が効果があるかもしれない。逆に、高い建物を下から仰ぎ見て撮影すると、建物の上の方が極端に小さく映るのを広げて補正することができる。四隅を引っ張って歪ませるツール。

  1. あらかじめ画面の上・左にある定規からドラッグして目安になるガイドを作っておく。
  2. 普通左側にある[ツールボックス]の[遠近法]ツールをクリックするか、メニューバーの[ツール][変換ツール][遠近法]をクリックする。
  3. [ツールオプション](ツールボックスの下)が、[遠近法]に変わり、画面上のマウスポインタが変わり台形の図がついている。
  4. 画面上をクリックすると変換情報行列という数字が並んだ遠近法のダイアログが出る。(数字の意味はわからない)
  5. 画像の四隅にあるハンドルの一つをドラッグするとその隅の位置が移動して画面がゆがむ。一度に一つの隅だけしかドラッグできないので、順にドラッグする。
  6. 確定はダイアログの[変換]ボタンをクリックする。

レンズの歪み補正

レンズの焦点距離が短いカメラで四角いものを撮影すると、極端な場合樽型に写る。GIMPにはレンズの歪みを補正する機能がある。

  1. あらかじめ画面の上・左にある定規からドラッグして目安になるガイドを作っておく。
  2. メニューバーの[フィルタ][変形][レンズ補正]をクリック。レンズ補正ダイアログが開く。
  3. レンズ補正の6つのオプションをスライダか数値で調整する。すべてを設定しなくてもよい。
  4. [メイン]オプションで調整してから、必要なら[周辺部]オプションを調整する。
  5. 各オプションは、-100.0〜100.0の間調整できるが、マイナス(-)は凹形に補正し、プラスは凸形に補正する。
  6. プレビューは拡大できるが確認しにくいので、OKボタンでイメージウインドウに反映させて確認する。失敗なら[Ctrl+Z]で元の戻し、レンズ補正フィルタを呼び出す。
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不要部分の除去

撮影した写真に実際には無かったゴミのようなものが映っていることがあったり、実際にあったものだが写真として見えなくした方がよいものが映っていることがある。画面を拡大して周囲の色でドットの一つずつを塗りつぶしていく気の遠くなることをやってみたことがあるが、GIMPにはこれらを取り除く方法がある。

ノイズ除去

ゴミやレンズの汚れを取り除くフィルタ。

  1. 画像の中の一部のノイズを除去する時は、範囲を選択しておく。
  2. メニューバーの[フィルタ][強調][ノイズ除去]をクリック。ノイズ除去ダイアログが出る。
  3. ノイズ除去ダイアログの中央値は、[適応的]をチェックしておく。(初期値のまま、「半径]を決めるより滑らかになる。)
  4. フィルタの適応を繰り返す時は[再帰的]をチェック。
  5. [黒レベル]を設定する。設定した値(-1〜255)より暗い画素から色を取り除く。
  6. [白レベル]を設定する。設定した値(0〜256)より明るい画素から色を取り除く。
  7. プレビューで確認しながら作業をし、[OK]ボタンでイメージウインドウに反映させる。
  8. 失敗したら、メニューバーの[編集][ノイズ除去を元に戻す](またはCtrl+Zキー)で元に戻すことができる。

中央値に[適応的]をチェックすると[半径]のスライダの値は無効になる。半径はノイズ除去を作業する窓の大きさ。

スタンプツール

このツールは写真の修整だけでなく色々な用途があるようが、ここでは撮影した写真の中の一部分を見えなくするのに用いる。

  1. 小さいものを除去する場合は、画面を[ズーム]ツールで拡大しておいた方が作業が楽。
  2. ツールボックスの[スタンプで描画]ツールをクリック。(またはメニューバーの[ツール][描画ツール][スタンプで描画])
  3. ツールオプションの[ブラシ](初期値黒丸)をクリックして、除去する部分の大きさにあったブラシ(形・大きさ)を選択。
  4. ツールオプションの[スタンプソース]で[画像から]を選択。
  5. イメージウインドウの画像の中の取り除く画像の周辺の部分をCtrlキーを押しながらクリックする。(取り除く部分を塗りつぶす色の始点を登録。)
  6. 取り除く部分をクリックする。同じ色で広い範囲の場合は繰り返す。ドラッグすると5.でクリックした個所を始点とした画像で塗りつぶす。

6.でクリックの時は、5.で登録したところが動かないので、何回クリックしても同じ色で塗りつぶされる。
6.でドラッグすると、5.で登録したところが関連して移動するので、ドラッグしたところは最初の色とは違う。(ブラシの幅で5.で登録したところを始点とする画像がコピー貼り付けされる。大きくドラッグすると思わない結果になる。)
作業は少しずつ行い、時々原寸画面で確かめながら進めるとよい。

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修復ブラシ

使い方は前項の[スタンプで描画]ツールに似ているが、単なるコピー&貼り付けではなく、塗りつぶす部分の周辺の画素との関係を考慮した色で塗りつぶす。「肌のシミを取り除く」などの時に効果がある。

  1. 小さいものを除去する場合は、画面を[ズーム]ツールで拡大しておいた方が作業が楽。
  2. ツールボックスの[修復ブラシ]ツールをクリック。(またはメニューバーの[ツール][描画ツール][修復ブラシ])
  3. ツールオプションの[ブラシ](初期値黒丸)をクリックして、除去する部分の大きさにあったブラシ(形・大きさ)を選択。
  4. イメージウインドウの画像の中の取り除く画像の周辺の部分をCtrlキーを押しながらクリックする。(取り除く部分を塗りつぶす色の始点を登録。)
  5. 取り除く部分をクリックする。同じ色で広い範囲の場合は繰り返す。ドラッグすると5.でクリックした個所を始点とした画像で塗りつぶす。Shiftキーを押しながらクリックすると、前回クリックした点との間の直線が現れ、もう一度クリックすると直線に登録元の画像を埋める。

前項の[スタンプで描画]ツールと結果が違う。極端に違う色で修復することはできない。
ブラシの大きさは小さくし、ドラッグするときは短くした方がよい結果が得られる。

修復した箇所が周辺と違和感があるときは、範囲を[自由選択]ツールなどで選択して、メニューバーの[フィルタ][ぼかし][選択的ガウシアンぼかし]でぼかして目立たなくする方法がある。

文字の書き入れ

写真の中に文字を入れる事が出来る。写真の雰囲気を壊さないようにするのは感性の問題。出来ることなら写真はそのまま見ていただき、コメントなど必要な時は画像外で用意したいもの。

ここではスライドショーなどで使う「どうしても写真の中にテキストを」という場合のため、画像の中にテキストを書き込む。作業途中でファイルに保存する時は、必ずレイヤー情報を保存できるGIMP特有のファイル形式[*.xcf]で保存する。

  1. ツールボックスの[テキスト]ツールをクリック。
  2. ツールオプションで文字のフォント、色(背景とのコントラストなどに注意)フォントサイズなどを設定。(あとで変更可能)
  3. イメージウインドウの画像の上をクリック。
  4. 現れた[テキストエディタ]に書き込むテキストを入力。テキストレイヤーが作られ画面に文字が表示される。
  5. 画面上でテキストの位置を移動するには、該当のテキストレイヤーがアクティブであることをレイヤーダイアログで確認し、ツールボックスの[移動]アイコンをクリック、マウスポインタが変わってから目的の位置へドラッグする。

テキストエディタで入力した文章が一つのテキストレイヤーになる。違う書式を使うには、別のテキストレイヤーを作る。
フォントの選択については次項を参照
文字の配置を変化させるには、ツールオプションの下の[パスに沿ってテキストを配置][テキストからパスを生成]ボタンを使う。
GIMP本体では縦書きには今のところ対応していない。プラグインやスクリプトで対応したものがあるそうだ。

テキストのツールオプション

ツールボックスの下のオプションで、テキスト入力についてのいろいろな設定が出来る。

フォント
[Aa]または[永]と表示されたボタンをクリックすると、フォント選択ウインドウが開く。(ボタンの右の文字は現在選択されているフォント名、英字のファイル名なので分かり難い。)
フォント選択ウインドウでシステムにインストールされているフォント(環境設定でフォルダを指定しておく)やGIMPのユーザーフォルダーにインストールされてあるフォントを選ぶことができる。
大きさ
スピンボタンでフォントのサイズを設定できる。右のボックスでサイズの単位(初期値はpx、ポイントのPtがわかりやすい?)を設定できる。
ヒント情報、自動ヒント強制
文字を綺麗に見せるようにする機能。
アンチエイリアス
文字の曲線の部分のギザギザを目立たないようにぼかしたりして、滑らかに見えるようにする。
初期値は黒。ここをクリックすると[文字色]ダイアログが出て、文字の色を設定できる。
揃え位置
左揃え、右揃え、中央揃え、均等揃えの4つのボタンがあり、さらにインデント、行間隔、文字間隔を数値(単位はピクセル)を入れて設定できる。
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背景の処理

コンパクトデジタルカメラは、被写界深度が深いので背景にもピントが合ってしまい、ボケ味を出すことが難しい。主体を強調するために背景をぼかすことが必要な時がある。

また、商品見本のような時は、背景を出来るだけ目立たない、主体を浮き出させる色にしたい時がある。

作業途中でファイルに保存する時は、必ずレイヤー情報を保存できるGIMP特有のファイル形式[*.xcf]で保存する。

背景をぼかす

主体を選択しコピー&貼り付けで前景の新しいレイヤーを作り、背景全体をぼかす。

  1. 背景をぼかしたい画像の主体になる部分を電脳はさみツールなどで選択範囲にする。これが前景部分になる。
  2. メニューバーの[編集][コピー](キーボードの Ctrl+C でも可)でクリップボードにコピー。
  3. 続いてメニューバーの[編集][貼り付け](キーボードの Ctrl+V でも可)をクリック。レイヤーダイアログに[フローティング選択範囲(貼り付けられたレイヤー)]という新しい仮のレイヤーが出来る。
  4. レイヤーダイアログの左下のアイコン[新しいレイヤーを画像に追加します]をクリックする。レイヤーの名前が[貼り付けられたレイヤー]となる。(このレイヤーを選択して右クリックして[レイヤーの名前変更]で「前景」など適当な名前に変更できる。)
  5. レイヤーダイアログで背景レイヤー(元の画像)を選択してアクティブにする。
  6. メニューバーの[フィルタ][ぼかし][ガウシアンぼかし]をクリック。
  7. ガウシアンぼかしダイアログで、[ぼかしの種類]は写真の場合は[IIR]を選択、[ぼかし半径]は水平・垂直とも7.0PXくらいにして[OK]ボタンをクリックする。

アクティブのレイヤーを確認して作業を進める。
ぼかしの半径を大きくすると不自然な画像になるので控え目にしておく。
選択方法はどの選択ツールでもよいので、選択しやすいツールを使う。

背景を単純化する

背景をぼかすだけではなく、適当な色で単純化してしまえば、主体だけの画像になる。少し乱暴な手法だが、背景色を選んだりグラデーションを工夫したりすれば良い結果が得られるかもしれない。

  1. 前項の 1.〜4. で主体(前景)のレイヤーを作る。
  2. レイヤーダイアログで背景レイヤー(元の画像)を選択してアクティブにする。
  3. ツールボックスで背景にする描画色を選び、[塗りつぶし]ツールをクリックする。
  4. [塗りつぶし方法]は、[描画色塗り]が初期値だが、[パターン塗り]を選ぶ方法もある。
  5. ツールオプションで[しきい値]を適当な値にして画面の背景の部分をクリックする。

塗りつぶしツールではなく、[ブレンド]ツールを使うと、グラデーションで塗りつぶすこともできる。

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写真の合成

画像の一部を選択してコピーし、別のところか画像へ貼り付ければ、合成写真が出来る。選択ツール・レイヤー、フィルタをを使えば現実にあり得ない情景を作り出すこともできる。また、GIMPにプラグインを追加すればいろいろな機能を追加して作業を簡便に出来るそうだ。

ここではすでにインストール済みでGIMPに用意してあるプラグイン(だと思う)[合成フィルタ][深度統合]について調べてみる。

  1. 深度統合フィルタは、2つの同じサイズの画像を使い、それぞれの画像の一部(違う部分)を組み合わせ1枚の画像に統合して表示する。[深度マップ]というグレースケールのグラデーション画像(元画像とサイズが同じ)を[ブレンド]ツールで2枚(グラデーションが逆になったもの)作成して、これを元に統合する。
  2. GIMPを起動して4枚の画像(統合する画像と深度マップ画像)を開いてから、メニューバーの[フィルタ][合成][深度統合]をクリック。
  3. [深度統合]ダイアログで、[画像源1][画像源2]に統合する画像をそれぞれ選択。
  4. [画像源1][画像源2]に対応する[深度マップ]をそれぞれ選択。深度マップの暗い(黒)の部分に相当する画像源の部分が表示され、明るい(白)部分に相当するところが見えなくなる。
  5. プレビューを見ながら、[重なり][オフセット][スケール1][スケール2]を調整する。
  6. OKボタンをクリックするとダイアログを閉じ、深度マップに統合された画像が表示されるので、名前を付けて保存する。

[深度統合]ダイアログで調整する要素の意味は次の通り。

重なり
合成する2枚の元画像をつなげる度合い。スライダを右に動かすと、境界が柔らかな変化になる。
オフセット
2枚の画像の境目の位置の調整。
スケール
画像源それぞれ別個にオフセットより強く反応する。

この深度合成を使うポイントは、合成する画像元のファイルの選定と、深度マップの作成にある。
心霊写真のようなものも作ることが出来るが、いずれにしても合成写真は事実を表したものではないので用途を誤らないようにしたい。

フィルタの使用

今までもフィルタを使った手法が取り上げられていたが、GIMPには最初から多くのフィルタが用意されている。メニューバーの[フィルタ]には、ぼかし、強調、変形、照明と投影、ノイズ、輪郭抽出、汎用、芸術的効果…と15個のメニューがあり、それぞれにサブメニューがある。このフィルタはGIMPの機能を拡張するプラグインで作られている。さらにインターネット上には世界中のユーザーが提供している「プラグイン」がたくさんある。そして腕と時間があれば、必要なプラグインを自作する道もある。

ここでは、いくつかの例を取り上げる。

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写真の角を丸める

写真の四隅を丸めて必要により影を付けるフィルタ。

  1. メニューバーの[フィルタ][装飾][角丸め]で、[角丸め]ダイアログが出る。ダイアログのタイトルによれば、このフィルタはFu-Scriput(GIMPのスクリプト)で作られているようだ。
  2. [縁取り半径]は、角を丸める半径をピクセルで設定する。画像のサイズに比してこの半径が小さいと角の丸みが目立たない。極端な場合だが正方形の画像の場合一辺の半分の長さを半径とすると、画像は円形になる。
  3. [影を落す]にチェックを入れると、写真の右側・下側に影が出来る。影の分画像のサイズが大きくなる。
  4. [影Xオフセット][影Yオフセット]は、影がはみ出る大きさをピクセル単位で設定する。マイナス[-]の値を入れると写真の左側・上側に影を作る。
  5. [ぼかし半径]影のぼかしの程度を設定する。ガウシアンぼかしを使っている。
  6. [背景追加]初期値が有効になっている。影のレイヤーを作る。
  7. [コピーで作業する]チェックを入れると、元の画像のコピーを作りこのフィルタを適用するので、元の画像にはこのフィルタは影響しない。

ぼかした縁をつける

写真の縁(四辺)を曖昧な不揃いの幅で縁を取りぼかすフィルタ。

  1. メニューバーの[フィルタ][装飾][ファジー縁取り]で、[ファジー縁取り]ダイアログが出る。
  2. [色]は縁取りの色の設定で初期値は「白」。枠の白いところをクリックすると色を指定できる。
  3. [枠の大きさ]は、縁の大きさ。300ピクセルまで設定できる。この幅の曖昧な範囲が縁になる。
  4. [枠をぼかす]にチェックが入る(初期値)と、縁をぼかす。
  5. [粒状度]は縁の曖昧さの程度を1〜16の範囲で設定する。(初期値は4)
  6. [影を付ける]にチェックが入ると縁に影を付ける。(初期値は無効)[影の濃さ]は影の透明度を設定する。
  7. [コピーで作業をする]チェックを入れると、元の画像のコピーを作りこのフィルタを適用するので、元の画像にはこのフィルタは影響しない。(初期値は有効)
  8. [画像を統合]にチェックが入っていると、縁取りで出来たレイヤーを統合する。(初期値は有効)

写真を白黒コピー

写真の輪郭を残し白黒のコピーをしたような画像にするフィルタ。

マスク半径で定めた大きさで周囲の平均よりも暗いと測定された部分を黒く残し、それ以外の画素を白くしている。

着色する下絵にしたり、追加レイヤーで画像の輪郭を強調したりすることが出来そうだ?。

  1. メニューバーの[フィルタ][芸術的効果][写真コピー]で、[写真コピー]ダイアログが出る。
  2. [プレビュー]にチェックを入れておく(初期値)。画像の左上隅が表示されているので、スクロールバーか十字の矢印をドラッグして効果を確認する場所を表示させる。
  3. [マスク半径]で設定した範囲の画素と周囲の画素の平均濃度と比較し、黒くするかどうかを判断する。3.00〜50.00ピクセルの範囲で設定。この値を大きくすると黒い部分が大きくなる。
  4. [シャープ度]は、フィルタをかけた画像の鮮明さを調整する。0.000〜1.000の間で決める。
  5. [黒パーセント]黒い部分の比率。0.000〜1.000の間で決める。値を小さくすると線が細く滑らかな変化になる。値を大きくすると黒い線が太くなり、最大にするとギザギザが目立つ。
  6. [白パーセント]白い部分の比率。。0.000〜1.000の間で決める。
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プラグインの利用

GIMPには機能を拡張するプラグインが数十個も最初にインストールしたときから提供されている。その中の殆どが[フィルタ]メニューにある。GIMPに同梱されているプラグインにはヘルプがあり使用方法が理解しやすいし、検証されているので動作が安定している。

また、GIMPには、Script-Fu という MS Office のマクロのようなインタープリタ言語(コンパイルしないプログラム)があり、多数使われている。スクリプトはGIMPの中でプラグインとは別の場所に置かれている。Windows Vastaの例
プラグイン C:\Program Files\GIMP-2.0\lib\gimp\2.0\plug-ins\*.exe(C:\Users\(User name)\.gimp-2.6\plug-ins\*.exe)
スクリプト C:\Program Files\GIMP-2.0\share\gimp\2.0\scripts\*.scm(C:\Users\(User name)\.gimp-2.6\scripts\*.scm)

GIMPの同梱されたものは、ヘルプで説明されているが、Webで提供されているプラグインなどは英文のものが多く、ダイアログが日本語化されていなかったり、日本語の説明がなく使い方がわかりにくいものがある。また、新しいバージョンのGIMPにはすでに取り入れられているものや、検証が十分されていないものがWebに提供されていることがあるので、導入には注意が必要。

RAW現像プラグイン「UFRaw」

最近の高度なコンパクト・デジタルカメラでは、撮影した写真のデーターをJPGなどの圧縮ファイルにしないで、生のデータのままファイルにして、後の処理をコンピュータに任せる事が出来る。RAW 「ロウ」と読み、[生、料理していない]という意味。

RAW形式の画像ファイルは、CCDやCMOSセンサーなどの撮像素子からの信号をそのままデジタル化したもので、文字通り「生」のデータ。RAWファイルはそのままでは一部を除きビュワーや画像処理フォフトで写真を見ることができない。

カメラに付属するソフトなどで「現像」という作業をする必要がある。RAW現像とは、RAWファイルのパラメーターを調整して、JPGやTIFFなどのファイル形式に変換することをいう。現像の段階では画質が劣化することはない。カメラの中で現像処理されJPGなど圧縮されたファイルより、自由度の大きい自分好みの現像が出来る。

[FURaw]は独立したフリーのアプリケーションだが、GIMPのプラグインとしてインストールしておくと、GIMPからRawファイルを開くとFuRawを起動してRawファイルを開くことが出来る。またUFRawからGIMPへ現像したファイルを渡すことが出来る。

参考サイトプロカメラマンの写真講座17 RAW画像現像のすすめ デジタル現像

ダウンロード・インストール

「gimpを使おう」のページの「Tips」にあるリンクからRAW現像プラグイン「UFRaw」に移り説明を読み、ダウンロードのリンクで日本語対応のufraw-0.15-setup.exe (1.55MB)をダウンロードする。

インストールは、ダウンロードしたufraw-0.15-setup.exeをダブルクリックすると、GIMPがインストールされているフォルダを探して、インストールする。

途中スタート(プログラム)メニューのGIMPフォルダとデスクトップにショートカットを置くことと、クイック起動バー(タスクバーのスタートボタンの右)にアイコンを置く設定があり、確認画面が出る。

UFRawの起動方法

次の方法で起動出来る。

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UFRawで扱えるファイル形式

Raw形式の画像ファイルといってもRawに標準仕様が無く、拡張子が[*.raw]というファイルがあるのではない。今のところカメラメーカーごとに拡張子が違う。キヤノン「CRW,CR2」、ニコン「NEF」、ソニー「ARW,SR2」、ペンタックス「PEF」、富士「RAF」そしてコダック「DCR」。だからカメラに付いてくるRaw現像ソフトが他のメーカーのカメラのファイルを現像できるかどうかは判らない。 しかし、Adobe社が長い間提唱していた画像フォーマットDigital Negative(DNG)の標準化が受け入れられ、殆どのカメラメーカーのRawファイルが対応されているので、DNGに対応しているUFRawでは大丈夫ということらしい。参考:UFRaw本家のサポートページ(英文)

現像した写真を保存する形式は、[PPM][TIFF][JPEG][PNG]の4種類。だが、UFRawの画面の右下の[Send image to Gimp]ボタンをクリック(またはAlt+Gキー)すると、GIMPを起動してその画像を読み込むので、GIMPが保存できる画像ファイル形式で保存が可能ということになる。

UFRawの画面

起動したときのUFRawの画面はRawファイルを読み込む画面で、左側にフォルダツリーがあり、フォルダの内容が右の広い所に表示される。右下のリストボックスのスピンボタン(▼)をクリックし[すべてのファイル]を選択すると、*.JPGなどの画像ファイルを表示できるが、選択して[開く]ボタンをクリックしても、[nosuppoted fijeformat]と表示され開くことが出来ない。このリストボックスは初期値の[Raw画像]としておく。(RawIDファイルなどについては判らない。)

Rawファイルが手元にない時は、提供されているサンプルファイルファイルをダウンロードできる。KODAKのサイト解像度が3000X45000位でファイルサイズが10MBを超えダウンロードに時間がかかる。

Rawファイルを読み込むと、2つのグラフと読み込んだ画像が表示され、調整のためのボタンやスライドバーが並んでいる。日本語表記と英文のままと入り混じっている。それぞれのところでマウスポインタを載せると説明が出るところがある。UFRawはもともとLinuxのソフトなのでWindows風のレイアウトになっていない。ヘルプがなくUFRawの本家WebページのUser Guide(英文)に概略の説明があるが機械翻訳してみても専門用語がたくさん出て要領を得ない。判り易く説明された日本語のWebページをさがしたら「春夏秋冬」(ブログ)を見つけた。いろいろ説明があるが、結局のところ自分で手探りで動かしてみて確かめるしかない。

上のヒストグラムは[Raw histogram]で、すぐ下の露出の調整で露出の値を変えると、左下から伸びているRGBのグラフが大きく変わる。右の矢印のボタン[露出をデフォルトに戻す]をクリックするとEV補償が0.00に戻る。その左の[自動露出補正]をクリックすると右の画面上をクリックするとそのスポットの値をグラフの下に表示する。EV:露光値(露出値)exposure value 撮影するときの露光量をあらわす。値が大きくなるほど露光量は隙なくなる。Ev=Av+Tv

参考サイト:一眼レフカメラ入門 Ev値(=Av+Tv)って何?

露出の下には[タブ]で切り替えられる。[ホワイトバランス(WB)][グレースケール(黒白)][ベースカーブ(基本曲線、トーンカーブ)][カラーマネジメント(色の管理)][輝度・彩度][トリミング・回転][保存(Save)][EXIF]のタブがありそれぞれ設定事項がある。Exif:イグジフもしくはエグジフ(Exchangeable Image File Format)カメラの機種や撮影時の条件情報を画像に埋め込んでいる。JPEG、TIFFなどが対応

画面左下の動的ヒストグラムは、英文では[live histogram]で、画面右のプレビュー画像のヒストグラムで、設定を変えると動的に更新される。ヒストグラム上では調整できない。

右側プレビュー画面の下にズーム各種、[オプション][削除][キャンセル][保存][GIMPへ送るボタン]が並んでいる。

UFRawの使い方

UFRawにヘルプは無い。従って本当の使い方はわからない。Web上にある情報は断片的で全体を通した使い方を解説しているものは見つからない。「それほど奥の深いものなんだ」と納得するしかない。

前項の「UFRawの画面」にある、露光量の調整、ホワイトバランス、トーンカーブ、色の管理などはいろいろ試してみるとGIMPでフォトレタッチしたものと大体似たものなので、自分の納得できる画像に辿りつけるようだ。

保存

ファイルの保存の設定がWindowsのアプリケーションと勝手が違う。

[Save]タグをクリックして、[Path][Failename]とファイルの種類を[PPM][TIFF][JPEG][PNG]の4種類の中から選択して(JPEGの場合圧縮率を設定、初期値は85%)、右側プレビュー画面の下の[保存]をクリックする。「保存しています」と緑色の帯が伸びて、定められた場所に保存される。

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first upload:2010-8-10   御連絡はメールでお願いします。