日本ぐるっと一周海交流<西回り>

航 海 日 誌

2004.7.21(水) 

長門の人たちの深い優しさ

今日もまたまた快晴。 抜けるような青空です。
風は、ここ何日もずっと安定した南西の風。 しかし、今日は少し風が強め。
 
深夜、驚くほどの強風に目が覚め、外へ出てみると、
満点の星空なのに強風という変わった状況でした。
 
もう1つ月があるのかと思うほど大きな星も目に飛び込み、
しばし空を見上げていると、流れ星も見えました。
こんなにはっきりと流れ星を見たのは何年ぶりだろう・・・と、
風に起こされたことを少し嬉しく思った吉川艇長でした。
 
(今はみずがめ座デルタ流星群が見えると書いたでしょ? by.広報担当者)
 
もう一度眠りにつき、朝起きてみると やはり風が強く、
ひゅうひゅうと音を立てていました。
 
 
室津マリーナを 8:15に出港。
6〜10mの風が吹き、今日は久しぶりに波もありました。(2m位)
追い波でオートパイロットが利かない場面もあり、
30度程ヒールしたかと思うと急に戻されたりと、ずいぶん振られたりもしました。
 
追い風なのが救いで、6〜8ノットで航行。
9時半過ぎには半島をかわすため一時的にアビームで走り、
11:40から10分間ほどは、恒例となりつつあるFMピッカラ(地元FM局)生出演をしたり・・・。
 
長門へは、14:10に到着しました。
 
 
後半の航海は、地域交流センターの担当者さんが過労に倒れて急に担当が代わったり、
その代わった担当者さんも過労で何日か連絡が取れなかったり・・・と、
スケジュール調整ができないままで、前日の夕方から当日に連絡を取りながらの
限りなく行き当たりばったりに近い状況。
寄港先の方々にも、急なことでご迷惑をおかけしているかと思います。
(後半が始まるギリギリになるまで何もできていなかったのは、たぶん
担当者の方も他に抱えている仕事があり、手が回らなかったのでしょう。)
 
長門では、そんな中での寄港にも関わらず、市長の松林さんが岸壁まで出向いてくださり、
親書をお渡しし、フラグにサインをいただくことができました。
市の広報の方も見えて、次回の広報誌に載せてくださるというお話でした。
 
市長さんからは、お土産に特産品のかまぼこを1箱いただきました。
夜、早速いただいてみたら、とてもおいしくて驚きました。
 
西日本では、山口県の「焼きぬきかまぼこ」が有名なのだそうです。
全国的に多い 蒸して作るかまぼことはひと味違います。
昔、炭火で焼いた製法から付いた名前で、魚の鮮度が良くないとできないことからも、
長門のかまぼこに使われている魚が鮮度の良いものであることを証明できると思われます。
(現在は、炭火の代わりに遠赤外線で焼き上げているようです。)
 
また、商工観光課長の藤野さんが車で案内してくださり、
市の観光課が管理しているという湯本温泉に連れて行ってもらいました。
 
湯本温泉は、『恩湯(おんとう)』という旧館と、『礼湯(れいとう)』という新館とがあり、
恩湯は源泉39度のぬるめのお湯で、礼湯は41度あるそうです。
今日は、恩湯にゆっくりと浸かって来ました。
 
ここは共同浴場で、日本一安いのではないかと思われる温泉です。
一般の人が140円。 65歳以上は50円で入浴できます。
温泉に、こんな金額で入れるとは驚きました。
 
建物の下には、温泉のお湯で洗濯をする場所もあり、
川には鮎のような川魚も泳いでいました。 (実際は何の魚かわかりません。)
 
 
お夕飯には、地元の方おすすめの『よし松』という魚料理店へ行き、
土用の丑の日なので、うなぎの蒲焼を食べました。
メニューには、初めて目にする とこぶしのお刺身があり、これも試してみました。
とこぶしは柏崎にもありますが、お刺身で食べるなどとは聞いたことがなく、
おそるおそる口へ運びましたが、おいしくてびっくり。 これは新たな発見です。
 
 
今日は、長門の深川漁港の漁協さんの目の前に係留させてもらっています。
 
深川港からは、青海大橋をくぐると隣の仙崎港へすぐに行けるのですが、
残念ながらヨットはマストが高いので、この橋をくぐれません。
(橋をくぐらずに青海島をぐるぐるっと回ると、3時間位かかります。)
 
仙崎といえば、まず思い浮かぶのが童謡詩人の金子みすゞさんではないでしょうか。
 とても深い優しさを感じられる内容の詩が多く、心に染み入る気がします。
 
長門では、古くから鯨を捕っていました。
(仙崎の辺りが日本の捕鯨発祥の地だという話です。)
 
しかし、むやみに殺したのではなく、迷い込んだ鯨を捕まえて無駄にすることなく大切に
食したり、様々なものを作ったりと、感謝しながら利用してきたのです。
 
親子連れの鯨は、親がいなくなると子どもの鯨も生きていけないため、
仕方なく子どもの鯨も一緒に捕まえたそうですが、
子どもの鯨には戒名をつけて埋葬し、毎年欠かすことなく今でも供養をしているそうです。
そんな長門の人たちの優しさは、金子みすゞさんの詩とも重なる部分があるように感じました。
 
 
今、ちょうど 国際捕鯨委員会(IWC)の総会も開かれていますね。
 
捕鯨問題に関しては、それぞれの意見もあり、
乱獲で絶滅の心配がある種の保存は大切なことだと思いますが、
鯨にも種類がたくさんありますし、一概には言えないことです。
 
大量に捕るわけではなく、生活の糧として必要最小限の鯨を捕ることは、
そんなに非難されるようなことでしょうか。
(そういうのは、ちゃんと認められていることなのに、
やみくもに反対や非難をする人も多いように感じます。)
 
牛、豚、鳥・・・とさまざまな肉を食していること、
他の海の生き物も大量に捕っていることなどから考えても、
鯨だけを特別に扱うことの方が不自然にも思えてきます。
 
「あんなにおとなしい鯨を捕まえて食べるなんてかわいそう」などと言う人たちは、
他の生き物を食すことに抵抗はないのでしょうか。
一方的な見方で意見するのではなく、長門へ来て鯨の供養などを見て、
その土地ごとにある長い歴史等も知った上で、もう一度考えて欲しいと思います。
 
 

市長さんへ親書をお渡ししているところ。
 

漁協の市場(セリが行われる所)で、
箱の裏を机代わりにサインしていただく図。

市長さんと、商工観光課長さん(左)と
一緒にフラグを持って記念撮影。
 

湯本温泉(恩湯)へ案内していただきました。

左の写真の建物の下は、
温泉のお湯で洗濯をする場所でした。
 
 
吉川艇長が、驚くほど大きな星が見えたと言っていたのは「火星かな?」と話していましたが、
もしも見たのが明け方(2時位から)ならば、
先日(15日に)−4.5等級の最大光度となったばかりの金星かもしれません。
夜明け前の東の空に、かなり明るく見えるはずなので。
(なんでも今は、望遠鏡で見ると三日月のように欠けた金星が見えるらしいですよ。)
 
 
さて、風の方ですが、ここのところずっと安定した追い風(南西の風)が吹いているのは、
停滞している梅雨前線へ向かって、高気圧の温かい空気が吹き込んでいるからです。
 
高気圧の規模が小さかったり、移動が早ければ、風が巻き込んだりして向きが変わったりもしますが、
バルーンのように巨大に膨れ上がった状態の高気圧が、ほとんど動かない状態で居座っているため、
何日もずっと安定して同じ向きの風が吹き続けているわけです。
 
これでは、雨が降る地域では、温かく湿った空気がどんどん送り込まれて豪雨を降らす前線が
同じくずっと居座るわけですから、たまったものではないでしょう。(北からの低気圧の影響もありますし。)
そして、それが関東などでは連日の酷暑となっているわけなんですね。
 
今日はまた梅雨前線が少し南へ下がり、新潟にも雨の心配が出てきています。
夕方には、北関東辺りまで雨を降らせる可能性が高いようです。
 
『いそしぎ』のいる辺りは、雨の心配はないようですが、
昨夜から強く吹いている風が少し心配。
今のところ、警報も注意報も出ていないですが、気をつけて航行してください。
 
海上警報は気象庁のサイトで一目瞭然ですが、注意報はないのかしら?
あと、雨などの情報はかなりリアルタイムなのに対し、風はいつも情報が遅いと感じています。
かなり強く吹いて危険を感じた数時間後に、注意報や警報が出るパターンが多いのは困ります。
(その辺りはなんとかならないのでしょうか? > 気象庁&気象関係者様)
 
 

大正末期に現れた童謡詩人 金子みすゞさん。
年々ファンが増えているように感じています。
 
広報担当者も金子みすゞさんのファンのひとりで、詩集などの本も5冊持っています。
(もう1冊あったのですが、それは訳あって千葉にいる友人にプレゼントしてしまいました。)
 
人・動物・植物・空・海・土・・・と、自然のすべてに対して、
とても深い優しさを持って書かれた詩の数々は、
どれもこれも心の奥深いところまで届く不思議な力を感じさせる言葉で綴られています。
 
決して幸せなとは言えないかもしれない人生・・・
つらいこともたくさんあり、自ら26歳という若さでこの世を去ったわけですが、
きっと他の人とは違う たくさんの幸せを感じることのできた人生
だったのではないかと広報担当者は思っています。
 
事あるごとに読み返してみては、みすゞさんの感じたことは
こうだったのかもしれない・・・と考えるのが好きです。
何かに行き詰った時の気分転換にみすゞさんの詩集を開くこともあります。
これからも、そんな風に少しずつ、何度でも、そして時間をかけて、
512編の作品全てを自分なりに消化していきたいと考えています。
(いつかは、『金子みすゞ記念館』にも行ってみたいです。)
 
みすゞさんについて語り始めたら、ただでさえ文章を長く書く癖のある広報担当者が、
ますます長〜く書き続けてしまいます。 思うことがたくさんあるのでキリがありません。
 
みすゞさんの作品の中で好きなものを挙げようと思っても、多すぎて絞り込めませんが、
ファンとなるいちばんのきっかけとなった作品は、『大漁』です。
 
「朝焼け小焼だ 大漁だ 大羽鰮の大漁だ。
浜は祭りのようだけど 海のなかでは 何万の 鰮のとむらいするだろう」
 
こんな短い詩なのに、インパクトは特大です。
人とは違う みすゞさんやさしい目を通してみた大漁の風景に深く感動しました。
 
他にも驚かされる視点で書かれた作品がたくさんあります。
 
庭に咲く花に蜜をもらいに来た蜂の気持ちを思いやったかと思えば、
その小さな蜂の中に神さま(宇宙)を見てしまうという、
ホーキング博士も真っ青の科学者並の内容があったり、
人一倍夢見がちで乙女ちっくな部分もあるかと思えば、
誰も目を向けない、気づきもしないものにまで、目と心を向けるやさしさに満ちていて・・・。
そうかと思えば、残酷さを感じるほど 生や死に対して決して目を背けないストレートさがあったり。
 
どんどん惹かれていき、多くの作品を知れば知るほど、
今度は、自分が思ったり感じたりした経験があることを、
短い言葉で上手に表現している詩がいくつも出てきて嬉しくなったり・・・。
 
そんな作品の中に、海やお魚などが多く出てくるのは、
やはり仙崎という純粋な漁村に生まれ育ったからなのでしょうね。
みすゞさんの生きた時代とはずいぶん変わったのでしょうが、
みすゞさんのあの感性を育てた仙崎という地には、ぜひ一度足を運びたいです。
 
みすゞさんの詩で、思わず笑ってしまったものが1つあります。
それは、『帆』という作品。
まったく同じことを広報担当者も思ったことがあったのですが、
実は、この航海が始まって『いそしぎ』の姿を見て、
その詩を思い浮かべたこともありました。
 
機会があれば読んでみてください。
たぶん、「なるほど」と笑ってもらえると思います。
 
 
九州を回っている『あさかぜ』情報です。
 
今朝、潮の状況を計算して平戸を出港したのですが、
地元の方から聞いた話が違っていたのか、聞き違いがあったのか、
海にはっきりと段差が出来ているほどの向かい潮で、とても通過することができず、
しばらくうろついて様子を見たものの、潮が引きそうにない為、
急遽、潮待ちのために近くの小さな港へ入港。
 
潮汐を確認したところ、3時間違っていたそうです。
ハウステンボスへ入る予定でしたが、そのままそこで1泊することにしたとのことでした。