お酒インフォメーション

ここは日本酒に関する各種情報を独断と偏見で、at random に掲載し、楽しむコーナーです。
●アメリカのSake事情
(貝沼禎介氏..日本醸造協会誌 Vol 91.2)
日本酒は、国際化の進展のなかで、Rice Wine から Sake と呼ばれるようになってきた。現在、 アメリカにおいて Sake は6工場で製造されているという。また、アメリカでは、ハードリカー は販売免許取得が困難であり、酒税については州ごとに異なり、表示の規定や広告の規制も強い といわれている。−−−(略)
アメリカにおける年間の消費量については、公の数値がないが、約6700klと推定している。 そのうち、約80%は全米に3000店強あるといわれている日本食レストランで、20%は家 庭で消費されていると思われる。アメリカ人は、レストランでこそ寿司、刺身を食べ Sake を飲 んでいるが、家庭で食中酒として定着するまでにはかなりの時間を要するであろう。もし、その ようなときが到来したら日本の約2倍の人口を持つ国なので、消費量も相当なものになると期待 される。この傾向は、日本における紹興酒の消費状態によく似ている。すなわち、我々は中華料 理店でこそ紹興酒を飲むが家庭で飲むまでには至っていない。
Sake は日本人や日系人を中心に消費されていると思われがちであるが、我々の分析では約90% はアメリカ人である。レストランのメニューにHot Sake とあるためか徳利を素手で持てない程の 熱燗で、Sake の味が変わってしまうことがある。各社は、ワイン感覚で飲めるように脱燗酒を啓 蒙し、吟醸酒や生酒の販売に力を入れ市場の拡大に務めている。
1980年代前半は、日本食ブームが起きSake の消費量も著しく伸びた時期であった。これは、 日本食が低カロリー、低脂肪で健康指向の強いアメリカ人に受けたことによると考えられる。し かし、当時の消費レベルは、現在もあまり変わっていないと思われる。日本食レストランの数が 伸び悩んでいる原因の一つは、食材の一部を日本から輸入することもあって、他の種類のレスト ランに比べて値が張るということである。アメリカ人は、日本人よりはるかに金銭感覚が鋭いた めに、頻繁に足を運ぶことを躊躇すると思う。このような環境の中で、レストランでは和洋折衷 的メニューを作ったり、アメリカ人向けの味付けをしたりして非常な努力がなされていることも 事実である。
ここで、酒類の販売免許について少し触れてみたい。Sake の販売経路は、生産者→卸→小売店で 、日本と異なる点は、レストランにも店内消費販売免許がいるということである。免許は、大別 してハードリカー.ライセンスとソフトリカー.ライセンスになる。前者はウィスキーやスピリ ッツ等のライセンスであり、後者はワイン、ビールやSake 等のライセンスである。酒類の販売に ついては、州政府が直接販売を管理している場合と、州政府と民間が並行して販売している場合 がある。販売に時間や地域制限があったりして、禁酒法時代の名残りが尾を引いている。
テキサス州には、Dry Area(酒類の販売が禁止されている地域)と Wet Area(酒類の販売が許可 されている地域)がある。ダラス地区では、75%がDry Area であり、何年かに一度は住民投票 が行われ、地域が拡大することもある。Dry Area 内のレストランは、一般の消費者同様にWet Area のリカーショップで自ら購入する必要がある。この地区では客がレストランで酒類を飲む場合には、 Universal Card (3ドル、1年間有効)を購入する必要があり、このCard は全レストラン共通の ものなので提示を求められることもある。...略
ハードリカーの税金が高い理由の一つとして、アルコール依存症という社会問題を反映している のではないかと考えられる。従って、ハードリカーの免許取得は非常に困難であることも想像でき る。アメリカ政府は、健康問題を理由にアルコール飲料については厳しい対応をしている。 Government Warning を容器の大小にかかわらず1989年11月18日以降に製造されるものの ラベルに表示することを義務づけた。字の大きさや、見出しの書体まで規定されており、違反した 場合多額の罰金を課すという通達が流れた。そのために既に印刷済のラベルを相当数廃棄せざるを えなかった。カリフォルニア州は警告文をレストランやメーカーの試飲室等、不特定多数の人が飲 酒する場所には掲示するよう定めた。この警告文は、州が作り必要とする所では、各自購入するも のである。広告についても規制があり、TVコマーシャルでは飲酒場面はダメ、スポーツ番組のス ポンサーはダメ、野球場や公共の交通機関への広告はダメ等である。


ホームページへ戻る