The Trend of 新潟の地酒

新潟清酒に関する情報を独断と偏見で、但し、なるべく他の人の迷惑にならない様に、お知らせ するコーナーです。
★越乃寒梅の意見広告...新潟日報(98.5.28)
極めるということ。
頑であるということ。
「越乃寒梅」であり続けること。
石本酒造株式会社 代表取締役 石本龍一

私たちの蔵は、新潟市の郊外、阿賀野川の豊かな伏流水に恵まれた北山という静かな里にあります。 創業は、明治40年。この蔵で生まれた「越乃寒梅」は、”淡麗辛口でありながら、水のように切れ のよい味”という日本酒本来の味を昔から追い求め、精進してまいりました。 幸いにして、今日皆さまがたよりご愛顧いただき、感謝しております。

さて、この度「越乃寒梅」の類似品が出回り、また一部には適正価格にて販売されていない状況を私 たちはとても憂慮し、残念に思うのです。 確かに、生産量をふやせばと言う声も聞こえます。しかし、私たちの蔵のもっともこだわり続ける 「造り手が、目の届く範囲で仕上げる」という創業当初からの精神は、そのまま”蔵の財産”でも あるということをご理解いただきたいのです。 米と水と人にこだわること。そして創業当初からのこの精神とともに、これからも皆さまの気持ちに こたえてまいりたいと思います。 私たちにできること。それは、「越乃寒梅」の味に頑であり続けること、なのですから。

<私の考え>
以上の文面に加え、県内の取扱店と、商品価格が掲載されておりました。今年2月の偽寒梅事件の 裁判の結果をみての蔵元さんの意見広告であり、大変評価されることと思います。新潟の地酒は、多くの 蔵が大変努力され、今では、個性のある、良心的な美味しい酒が、幾つもあります。しかし、これらの目標 となったのは、やはり寒梅と雪中梅であると思います。それだけ影響力のある寒梅さんは、今迄あまり 語ることはなく、特に、流通に関しては、(個々の問い合わせに関しては、丁寧にお応え下さるものの) これだけ情報を公開し、販売価格に指導力を発揮されたことは、意味あることとおもいます。これを機に 、不景気の中、まじめに頑張っている銘柄が認められるよう願い、流通業者である私も頑張らなくては と思います。

★高野酒造の「白露」3位...関東信越酒類鑑評会...新潟日報(98.4.10)
第66回関東信越国税局酒類鑑評会にて、県内の醸造場は94場が出品し、同局管内6県で最多の35 場が入賞、上位5位までに2場が入った。第一位は協和醗酵工業土浦工場(茨城県)の「雪乃花」。県 内酒は昨秋、五位以内の入賞はなかったが、今回は高野酒造(新潟市)の「白露」が第三位、妙高酒造 (上越市)の「妙高山」が四位に入った。県内の他の入賞蔵は次の通り。 越の華、越乃寒梅、日本海、鶴の友、阿賀錦、菅名岳、誉麒麟、花越路、王紋、菊水、越乃あじわい 、ふじの井、越乃八豊、宝山、峰乃白梅、越長陵、お福正宗、群亀、米百俵、越の鶴、越乃景虎、福扇 、朝日山、和楽互尊、鶴齢、松乃井、越の誉、スキー正宗、能鷹、越の若竹、加茂乃井、雪中梅

★巻のエチゴビールがビア五輪で銅賞...新潟日報(7/19)
ビール業界のオリンピックともいえる「ワールドビアカップ」で西蒲原巻町のエチゴビール(上原誠一 郎社長)がスタウト部門第3位の銅賞を受賞。ワールドビアカップは全米ブルーワー(醸造者)協会の 主催するコンテスト。米国コロラド州で先月開催された。25カ国から250社余りの醸造所が参加し 、エントリーされたビールは600種を超えた。国内初の地ビールとして平成6年12月に醸造所を開 いたエチゴビールは日本から唯一の出場。英国風の黒ビール「スタウト」、吟醸酒(清酒)の酵母を使 った「吟醸ビール」、苦みに特色のある「ぺールエール」を出品し、このうちスタウトが同部門の70 種を超える応募の中から3位を射止めた。会見で上原社長は「参加する意義を考えていた。受賞を聞い たときは宝くじに当たったような驚きで、ただただ喜びの笑みが浮かんだ」と語り、ブルーマスター( 醸造責任者)のバワ.デムヤコ氏は「もっと頑張り、よりおいしいビールを作って銀賞、金賞を目指す 」と意欲を見せた。

★バイオ使い新醸造法研究(県醸造試験場)...日経新聞(7/16)
県醸造試験場(月岡本場長)はバイオテクノロジーを活用した新しい醸造法の研究.開発に乗り出す。 酵母の遺伝子構造などを調べる専用設備を97年3月までに順次導入し、特色ある味や香りを生み出す 酵母や麹の機能性を把握する。県産酒の品質向上につなげるのが狙い。5年をメドに基礎研究を終え、 成果は酒造業界に普及させていく考えだ。
杜氏の経験に頼る部分も多い酒造りに化学的な分析手法を取り入れることを目指す。酒造りには糖化酵 素を出す麹菌や、アルコール醗酵させる酵母など醸造用微生物を利用するが、その他の有用な機能の有 無や、組み合わせた際の効果などを調べる。
新たに導入するのは清酒中の細菌や酵母数をリアルタイムで計測したり、微生物から得た極微量の遺伝 子を増幅して解析する機器など。たんぱく質などの構造や分子量を画像処理を通じて解析するシステム のほか、遺伝子関連の実験に必要な高純度の水の製造装置なども整備する計画だ。
同試験場では醸造用微生物の特性をきめ細かく把握することで、新しい酵母や麹菌を採用して酒造りに 生かす方策なども探る。...(略)
県醸造試験場は1930年に設立され、最近では酒造好適米である「一本〆(いっぽんじめ)」や色付き の清酒「あかい酒」などの開発成果をあげている。

★新潟清酒に基準導入...日経新聞(5/30)
ブランド維持狙う...5項目の条件提示
新潟県酒造組合が今年から、全国でも初めてという清酒の産地呼称制度を導入する。原料や 醸造方法などに基準を設け、基準を満たさないと「新潟清酒」の呼称は認めない、という内容。 人気の高い県産清酒の品質を守り、他産地との違いを強調していくのが狙いだが、一部では ”時代遅れの発想”と指摘する蔵元もあり、今後の成り行きが注目される。
「新潟清酒の評価を更に高く維持するため、新潟という産地のイメージを正確に自覚し、そ れを人々にわかりやすく周知していくことを提唱する。」(「新潟清酒産地呼称協会規約(案) 」の前文より)。
その中の柱が@醸造地A原料米B原料水C醸造法D品質−−の5項目からなる「産地呼称の 条件」だ。例えば原料米は100%県産米とし、酒の命とされる水も食品衛生法や県醸造試験 場の基準をクリアした県内の水に限定する。醸造場所は精米から瓶詰までの全工程が県内で 行われなければならず、醸造法として精米歩合60%以下まで磨き込む必要がある、などの 案が盛り込まれている。
旗振り役であり、麒麟山酒造社長でもある斎藤会長は「新潟清酒がブームと言っても、あぐら をかいていれば産地間競争に勝ち残れない。品質向上とブランドイメージの維持は業界全体 で取り組むべき課題」と力説する。
ブランドイメージを脅かす便乗商法の存在も無視できない。新潟清酒にあやかろうと、他県の 酒造業界が他県産や韓国産とのブレンド酒を「新潟産」「越の〇〇」などと称して販売する ケースが増えているという。.......以下、略

<私の考え>
本来の目的は、新潟の品質維持と解釈しているが、兵庫産山田錦を多く使う越乃寒梅や、製法 にこだわる雪中梅は新潟清酒を名乗れないことになる。雪中梅は普通酒に糖類を入れているが 、麹は大吟醸なみに丁寧に造っている。千代の光のレギュラー然り。雪中梅や千代の光、鮎正 宗..といった上越地区の蔵は、あくまで地元の晩酌市場を大切にしており、”新潟”という 呼称には、あまりこだわっていないと思う。精米歩合のことを言えば、朝日山、菊水、吉乃川 、越の誉..といった、県内大手の蔵も相当量が新潟清酒と名乗れなくなる訳で、更に、兵庫 県産山田錦をつかう鑑評会出品酒はどうなるのか。新潟の蔵が鑑評会で賞をとる酒は、新潟清酒 でなくなる...。一つの新しいことを成すには、多くの意見がでてくるものですが、より良い ものを造ろうという蔵の努力が報われる、制度になってくれればと思います。


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