肩周辺疾患1(構造)

肩関節は通常イメージされる関節とはイメージが異なり、骨同士で食いつき合っている関節ではなく

骨と骨(肩関節の場合は上腕骨と肩甲骨)が筋肉や腱、靱帯でつり下げられている関節です。

肩の骨の連結上面から (図1a)

世の中一般に肩関節と呼ばれているのは左の図で書いてある肩甲上腕関節のことだけだと思います。しかしながら我々整形外科医が考える肩関節とは、図1に図示してある部分全体を言うのです。この範囲を念頭に置いて診断を考えてゆかないと、肩の部分の痛み、運動制限、その他の疾患の判断が付かないからです。肋骨の作る鳥かごのような構造の上に肩甲骨という板が置かれていますが、肩甲骨と肋骨は直接は繋がっておらず筋肉でのみ繋がっています。ゆえに腕 肩を動かすときには肋骨の作るかごの上で肩甲骨は大幅に自由に動き上肢に自由な動きを与える一つの要素になっているのです。

肩の骨の連結前面から(図1b)

図1a 図2b両方を見てもらうとおわかりいただけると思いますが、実は上肢は体幹(体本体)との関係としては胸骨から胸鎖関節 鎖骨 肩鎖関節をたどるルートで直接骨同士が繋がっているのみで、その他の部分は筋肉や腱で繋がっており、概念的には操り人形のように宙づりになっているようなものなのです。
その唯一骨どうして接続されているところを支点として肩甲骨は動きます。そしてその肩甲骨についている上腕骨は、肩甲骨の動きに更に追加して上腕肩甲関節の動きで大きく動き、全体として肩の動きになります。上腕肩甲関節は一般に肩関節と呼ばれる部分で別名肩第一関節。肩峰下関節は別名第二関節と呼ばれ、知られていないわりには重要な役目を持っています。


肩鎖関節と靱帯(図2)

肩鎖関節には肩鎖靱帯が存在して、肩の動きに応じて鎖骨と肩甲骨の間に可動性を持たせています。鎖骨と肩甲骨は肩鎖靱帯以外に菱形靱帯、円鎚靱帯という普段は二つまとめて烏口鎖骨靱帯と呼ばれる強靱な靱帯で情報に跳ね上がるのを予防されています。
肩岬とカラスのくちばしみたいな形故に烏口突起と呼ばれる部分を結ぶ烏口上腕靱帯は上腕骨の頭が肩甲上腕関節において前上方に外れるのを防ぎます。肩岬は上腕骨頭が後上方にに外れるのを防ぎます。上腕ニ頭筋長頭腱は図4にも書いて有るとおり関節内に入り込み関節唇に潜り込んで上腕骨頭を肩甲骨に押しつける役目と、前方に外れないようにする役目と二つの仕事をしています。

肩峰下関節の構造(図3)

肩関節で上腕骨頭が上方に外れないようにする構造は図2のところで説明しましたが、下方に外れないようにする構造は図4に書いてある関節唇も重要ですが三角筋、それと腱板(肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋と4つの筋肉から出る腱成分が関節包と一緒になったもの)とが緊張を保つことによって成り立っています。つまり筋肉によってぶら下げられているのです。
図3では便宜上、、腱板を作っている筋肉は棘上筋しか書きませんでした。

関節内部の基本構造(図4)

これが上腕肩甲関節の上腕骨頭を取り除いた受け皿の部分をのぞき込んだところです。軟骨で出来た関節唇が有り、そこの上部に上腕ニ頭筋長頭腱が入り込んでいます。この部分の損傷が俗に言う投球障害で起こりやすいのです。
腱板と一体になっている関節包の内面前方に上、中、下、肩甲上腕靱帯が有って、上腕骨が外側に捻れすぎないように押さえています。関節包と一体となって上腕骨頭を包み込むように腱板は存在して、肩の安定性と動きについてとても重要な役割を果たしています。


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