肩周辺疾患2


このページに記述してある内容は南光堂 肩関節の外科を引用、参考にしました

先天性疾患

疾患名

疾患の内容.簡単な治療法.予後の説明

先天性肩甲骨高位症(Sprengel変形)

一側の肩甲骨が先天的に高い位置に存在するものです。
肩甲骨は発生するときには首の高さに現れて少しずつ正常の背中のところに下がってきて、赤ちゃんとして生まれるときは通常の位置になっています。これが下がりきらないものがSprengel変形です。遺伝性は認められていません。機能的に障害を起こすことは少ないので5才までに美容的な目的で手術を行うのが望ましいといわれています。

1.鎖骨頭蓋骨異形成症(Cleidocranial dysostosis)
2.先天性鎖骨偽関節(Congenital pseudoarthrosis of the clavicle)

1.鎖骨が部分的、もしくは全体的に欠損しており、頭蓋骨の縫合閉鎖遅延によって頭が横に大きくなっている、まれな常染色体優生遺伝を示す疾患です。筋力が弱くなることも有りますが、機能障害は軽度なので特に治療を必要としません。
2.鎖骨のほぼ中央が生まれつきくっついていないものです。治療は自家骨移植しての骨接合手術です。

烏口鎖骨偽関節(Coracoclavicular abnormalities)

図2に書いてある烏口鎖骨靱帯が靱帯でなく骨によって連続しているか、関節になっているものです。鎖骨の動きが制限されるので腕の動きが少々制限されます。治療は骨の部分の切除が行われます。

先天性胸鎖関節亜脱臼(Congenital subluxation of the sternoclavicular joint)

関節窩形成不全(Congenital flattening of glenoid fossa)

非外傷性の肩関節不安定性の原因となります。定型的な治療法は有りません。

上腕骨頭内反変形(Humerus varus)

上腕二等筋腱溝形成不全(Abnormal development of biceptal groove)

先天性大胸筋欠損症(Congenital absence of the pectoral muscles)

肩の周囲の筋肉欠損で一番目立つものです。特に治療の必要はありません。

三角筋拘縮症(Contracture of the deltoid muscles)

注射等による、後天性のものがほとんどで先天性のものは珍しい。

分娩障害
 1.上腕骨近位骨端線解離
 2.鎖骨骨折
 3.腕神経叢麻痺 上位型 下位型

1.2.分娩時における鎖骨や上腕骨の骨折です。骨折だけであるならば2〜4週間で特に大げさな治療を行わなくても、十分骨癒合をし、変形も残りません。
3.首から肩に掛けて腕をコントロールする神経の大きなターミナルが存在し、そのことを腕神経叢と呼んでいます。分娩時に肩を下げて肩と反対側に首が曲がれば上位型、強く万歳するような形を強制されれば下位型となる。

神経.筋由来の疾患

疾患名

疾患の内容.簡単な治療法.予後の説明

三角筋麻痺(頸髄損傷.腋窩神経麻痺)

頸髄損傷ではC5の損傷で三角筋麻痺は出現します。頚椎症性脊髄症や頚椎症性神経根症、キーガンタイプ麻痺といった疾患が原因として考えられます。いずれも保存的に薬で治ることもありますが、手術的治療を要することも有ります。
腋窩神経麻痺は脇の下後面から出てくる腋窩神経がQuadrilateral spaceという筋肉の隙間から出てくるところで圧迫されるために起こることが多いです。これもほとんど薬や注射で改善することが多いです。

棘上筋麻痺(肩甲上神経麻痺)

肩甲上神経は棘上筋と棘下筋を支配している神経で、肩甲骨の上の方にある肩甲切痕という骨の溝をすり抜けるようにして筋肉に到達しています。その部分の走行に無理があるので肩甲切痕部で圧迫を受けて麻痺を起こすことが有ります。症状は肩後面のはっきりしない痛みと、筋肉のやせです。

棘下筋麻痺(肩甲上神経麻痺)

原因としてはバレーボール、水球、テニスの選手など肩に振り回す頻回な力が掛かる人に多く発生しているようです。治療は肩甲切痕部へのステロイドと局所麻酔の注射です。それの無効例は肩甲切痕を広げてやる手術を必要とすることもあります。どちらにしても回復までには6ヶ月から1年という長期間を覚悟する必要があります。

僧帽筋麻痺(副神経麻痺)

肩をすぼめる動作が出来なくなる

前鋸筋麻痺(長胸神経麻痺)

長胸神経の損傷によって前鋸筋と菱形筋に麻痺が生じてしまいます。したがって肩甲骨を体幹に引き寄せることが出来なくなり、しかし三角筋や棘上筋は正常に動くので、上肢挙上時には肩甲骨が体幹から浮き上がる翼状肩甲となります。ですから肩甲骨を後ろから他の人に押しつけてもらうと上肢は挙上する事が出来るようになります。通常は外傷や手術時の操作ミス等で起こり、あまり突発性に起こることは少ないと言われている。機能回復のためには肩甲骨の体幹への固定術の必要があることが多いです。

菱形筋麻痺(肩甲背神経麻痺)

上腕二等筋腱断裂

上腕ニ頭筋とは力こぶを作る筋肉で図2に有るように肩の前面に位置しています。40歳以上の力を使う人に起きやすい傾向があり、受傷直後には痛みがありますが2-3週間すると痛みも落ち着き、筋力低下もあまりないのでそのまま様子を見ておくことが多いですが、腱板断裂のように他の疾患が合併しているときや20歳代のように若い患者の時は手術的に修復することが有ります。ただし切れた腱をつなぐことは不可能なので腱の末梢側を骨に埋め込んだりして再建します。

肩腱板断裂(回旋腱板断裂)

肩関節の運動にとって非常に重要な腱板の損傷です。退行性疾患のところで詳しく述べます。

肩甲下筋断裂

あまり多くはないが肩甲下筋が断裂したもの。保存的に加療することが多い。

上腕三頭筋断裂

腕の後面にある上腕三頭筋が断裂したものです。私は見たこと有りません

上腕二等筋腱脱臼

上腕ニ頭筋長頭腱は上腕骨の中枢部前面に有る骨の溝の中を通っています。そこから腱が逸脱することがあり、痛みを訴えます。症状が強くて生活に困るようなら手術手をして治します。

胸郭出口症候群

三角筋拘縮

肩手症候群

詳細は別ページに記述してあります


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