肩手症候群

1.いったいどういう病気なのか

肩手症候群とは肩に痛みと運動制限があって、同じ側の手、手指に神経や血管障害が同時に起こっているものを言います。反射性交感神経障害の一種類と考えられています。

2.どうしてなるのか

良く解っていませんが、現在誘因として多くの報告がなされています。
上肢の外傷、心筋梗塞、片麻痺、頚椎症などに合併しやすいことが言われていますが、共通に考えることは上肢のいずれかの部位に痛みが出現して、それが引き金になって発症することが多いと言うことです。しかし特に誘因を特定できない突発性というべきものもかなりの数存在しています。(Livingston.1943)によりますと、痛みの刺激が脊髄に入って交感神経を興奮させ、その交感神経の興奮が持続性になり、最終的には失調状態に陥り発症すると言うことになってます。

3.症状.病期

(Steinbrocker)

第1期
第2期
第3期

自発痛.運動痛.圧痛
運動制限

痛みが和らぐ.または持続する
関節拘縮.筋萎縮

痛みが和らぐ
拘縮は和らぐことも有れば残ることもある。

手指

痛み 腫張 熱感 圧痛
知覚過敏 発汗異常 運動制限

痛みは和らぐことも持続することもある 

痛みの改善 皮膚.皮下.筋肉の萎縮 爪の変形 関節の拘縮

レントゲン

上腕骨頭と手指関節近くの斑点状の骨萎縮

左記の変化がより明確になる

すりガラス状の全体的な骨萎縮

第1期は熱い時期と呼ばれて3〜6ヶ月持続します。冷たい時期と呼ばれる第2期はやはり3〜6ヶ月持続します。第3期は最終段階で血管運動障害の名残の時代です。症状の改善は非常に難しいものとなっています。

4.診断と治療

第2期、第3期になると非常に治療に抵抗するようになるので、早期発見が一番です。片麻痺、手関節の骨折の治療中、寝たきりの患者などは要注意です。
治療は第1期では消炎鎮痛剤の投与、温熱治療等の物理治療やリハビリテーション,頚部交感神経ブロック(星状神経節ブロック)などが有効と言われています。それでも効果が上がらないときは副腎皮質ステロイドホルモンを内服する治療を行います。

第2期に入りますと薬物治療は無効になり、リハビリテーションを根気よく持続してゆくのがやっとということになってしまいます。

第3期はいかなる治療も効果を発揮しにくい状態になっています。

肩手症候群は治療に難渋することが多く、治療期間が2-3年に及ぶものも珍しくありません。そして長期にわたってがんばっても結局治癒しないで後遺症を残すこともあります。外来で治療してみての感想ですが、痛がりの人や慎重な人、心配性の人がかかる確率が高いです。


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