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監禁事件公判 弁護側が精神鑑定請求

 三条市の女性監禁事件で、略取・逮捕監禁致傷などの罪に問われている柏崎市四谷一、無職・佐藤宣行被告(38)の第3回公判が25日、新潟地裁(榊五十雄裁判長)で開かれた。弁護側は意見書の陳述で「被告は犯行当時、精神分裂症かその境界例の精神疾患で、心神こう弱の状態だった」と責任能力に疑問を示して精神鑑定を再度請求した。これに対し検察側は「こんなことはやってはいけない――という理性があり、鑑定の必要はない」と反論し、却下を求めた。同地裁は捜査段階で被告を簡易鑑定した新潟大学の専門家と、逮捕直前に入院していた市内病院の医師を弁護側の証人として採用。非公開で尋問し、その結果を見て精神鑑定が必要かどうかを判断する。

 弁護側の被告人質問で佐藤被告は「20歳過ぎから幻覚や幻聴があった」とこれまでの調書にはない主張を展開した。被告は「中学ごろから人間不信で、他人にのぞかれている、うわさされている、と気になった」とした上で、「暗くなると、ハエや蚊が飛んでいる。ヘビがとぐろを巻いているのが見える。”武器”の殺虫剤をかけるが、いつも死体がないから幻だ」「最初は父親、誰かは分からないが大人の男性が座っているのが見える。声がでなくなるほど怖い」「壁の模様が動いて見える」「他人が『仕事をしていない』などと言っているのが聞こえる」などと述べた。

 弁護側の「幻覚・幻聴を被害女性に伝えたか」の問いには「(自分が)おかしいと思われるので言わなかった」とし、さらに今回初めて幻覚・幻聴を言い出した点を質問され、「黙っていると気持ちが悪いから、話す気になった」と答えた。弁護側からは近所の目撃証言として、佐藤被告の奇異な行動のいくつかも紹介された。

 一方、検察側が拘置されている刑務所のイメージを尋ねると「軍隊のようで、規律が厳しい」とし、病院については「入院させられると人に会わなければならない。隔離され、手足を縛られる。手が洗えない。自由がない」と主張。「刑務所と病院とどっちがいいか」との問いに「刑務所にいる方がいい」「10年以上の懲役になると思っている」とキッパリ答えた。

 さらに「ハエや蚊は部屋のすき間から逃げていったのでは」と質問されると「部屋をくまなく探したが死体が見つからない。だから幻覚だ」とした。検察官に主張が伝わらない雰囲気になると、鋭い視線を送りながら逆質問し、「説明出来ないから幻覚だ」と強い口調になる場面もあった。

 佐藤被告はまた「夢と現実の境が分からない。(法廷にいる)今も夢を見ているようだ」などと主張し、質問が細部に及ぶと「わからない」「説明出来ない」「いつも(気持ちが)揺れている」などと繰り返した。検察側は「幻覚・幻聴は虚偽であり、被告人の態度は『責任能力あり』を示している」と主張した。

 また裁判官が「対人恐怖症のあなたが何故、女性をさらい、監禁したのか」と尋ねると「うまく説明出来ない」と言い、「自由とは」と聞かれて「好きなことが好きな時間に、好きなだけできること」と答えた。

 弁護側は公判後の記者会見で、佐藤被告が本人や母親の調書になかった幻覚・幻聴を主張した経緯について「前回の公判後に接見をしている際、理路整然としてはいるが、被告人の言っていることに疑念があり、問いただすと(幻覚体験などが)出てきた」と説明。「きちんとした精神鑑定を受けさせるべきと思う。専門家の意見に注目している」とした。

 この日の公判では、佐藤被告が平成10年10月ごろ、監禁中の女性に着用させるため北蒲原郡中条町のホームセンターで女性用下着を万引きした窃盗罪の追起訴分の冒頭陳述も行われ、被告は「女性用の下着を母親に買ってもらう理由が見つからなかった」と理由を説明し、万引きの事実を全面的に認めた。窃盗罪が加わったことで、略取・逮捕監禁致傷罪との併合罪となり、最高刑が懲役10年から15年に延びる。

(2000/ 7/26)

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