「柏崎美術会の一層の振興を期待して」 副会長 荒川 實    

柏崎美術会は、昭和544月に設立以来43年を迎えます。
私も発足間もない頃から入会の勧めを頂き、現在に至っています。美術会の皆様と各地の展覧会巡りでいろいろな作品を鑑賞したり、直接に作家の説明を聞いたり、そして互いに美術会の作品展に出品して、それぞれ先輩の方々から指導を頂きながら、高い理想と情熱を持って、これまで美術会を継続されてきた会員の皆様に心から感謝申し上げます。
 以前は会員が100人以上の時もありましたが、高齢化も進み現在は60人前後と見られます。今後は広くいろいろな美術分野で活動されているグループ・団体と協力・連携して相互理解を深めながら、進めていく必要を感じます。
 この度は新型コロナウイルス感染拡大防止により、会議や行事などで全て自粛スタイルとなっていますが、この自粛の中にも互いの心の交流、作品づくりや活動の意欲を絶やさずにいきたいものです。これからも豊かな心で生き甲斐のある生活をしていくため、美術・芸術は益々欠かすことのできないものと考えます。
 私はこれまで生まれ育ち、慣れ親しんできた砂浜・砂丘・海岸・米山の風景などを自分の絵のテーマとしてきました。「何度も現場に立ち、しっかりと描きたいものを見つけ、確かめ、感じ取ることが大事だ。そこから自らの作品を生み出すことです。」と、これまでいろいろとご指導を頂いた光風会の先生方や先輩の方々の力強い言葉を今でも思い出します。
 若い頃は自分の絵を担いで電車に乗り、絵の研究会に出席しました。造形的な角度からいろいろ指導を頂き、持ち帰って再度制作に励んだことを懐かしく思います。
教員生活でおよそ10か校のそれぞれの任地が絵のモチーフでもありました。毎年、光風会展・県展・そして柏崎市展・青丹彩展など、春・秋の出品が重なり、制作に追われたことを思い出します。 絵は造形性が大切といわれますが、その絵の裏には描く人の思いや人生観のようなものが感じられることも大切ではないかと考えるのです。
 絵は何人か複数で同じ風景を同じ場所で同時に描いても、出来上がった作品は、色調も全体の調子もそれぞれ違います。人それぞれの心象だと思います。
やはり作品は、描くひとそのものではないでしょうか。
 私はただ描いている時が楽しいのです。

(令和2年8月)