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原産大会で市長 原発の「逆風」に不満表明
 社団法人・日本原子力産業会議の第三十一回年次大会が二十日から三日間、東京・丸の内の東京国際フォーラムで開かれ、二日目・二十一日のパネル討論に西川市長がパネリストとして出席した。市長は、国のエネルギー政策に協力している原発立地点の立場から、最近の原子力への「逆風」に不満を表明し、立地点に対する理解促進と、原発を国民全体の問題として議論する必要性を訴えた。

 今年の年次大会には電力会社やメーカーをはじめ国内外の原子力関係者約千四百人が参加。二日目のパネル討論は「日本社会の変革と原子力開発」をテーマに、西川市長と秋元勇巳・三菱マテリアル社長、宅間正夫・東京電力取締役原子力副本部長、評論家・田原総一朗氏ら六人がパネリストを務めた。議長はジャーナリストの下村満子氏。

 この中で市長は「原子力ほど日本社会に貢献しているものはないのに、最近は“石もて追われる”状態だ。原発立地点以外の人たちがいろいろと批判するのは甘えではないか」とし、高速増殖炉「もんじゅ」の事故などを契機にした原子力への厳しい風当たりに強い不満を述べた。

 その上で市長は、「原発立地点には単なる地域振興だけでなく国民の温かい励ましが必要だ」としたほか、「原子力が国や電力会社と立地点だけの問題になっている。もっと国民全体の議論のテーブルに乗せなければならない」と述べた。また、これら立地点の意識を示す比喩(ひゆ)として、「半分以上冗談だ」としながらも「夏の暑い時期に原発を止めてみたらどうか」「電気を使う割合に応じて使用済み燃料を消費地に保管してもらっては」と言及した。

 市長は昨年五月の「一日資源エネルギー庁」のパネル討論にも参加し、同様の趣旨の発言をしており、これに引き続いて原発立地点を代表する形で原子力をめぐる社会情勢への持論を繰り返した。

 この日は討論に先立って、田原氏が基調講演を行い、「日本の原子力開発は説得力が弱い。その哲学をもっと言葉で表し、なぜ日本だけが原子力を推進するかの説明を行うことが求められている」とした。討論ではほかに、「原子力は多様性を持った発展をしていかなければならない」「ハードの技術をソフトに情報公開していくことが大事だ」「多くの価値観を持った市民団体が情報開示の仲介をしていかないとだめだ」などの意見が出た。

(1998/ 4/22)

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