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柏崎刈羽原発1号機ひび「保安不適切」

 東京電力が原発の機器損傷などのトラブルを隠していた問題で、経済産業省原子力安全・保安院は13日、暫定調査結果を公表した。柏崎刈羽原発では、指摘されていた4件の中に電気事業法などに違反の可能性があるものはなかったが、1号機シュラウド(原子炉内隔壁)のひび割れは「自主保安のあり方として適切ではない」との所見を下した。2、5号機のジェットポンプなど3件は問題なしとした。

 保安院は、不正などの疑いがある3原発の29件について、各原発と東電本社への立ち入り検査などを行い、結果を取りまとめた。電気事業法に定める技術基準適合義務などに違反した可能性のあるケースは6件で、いずれも福島第一、同第二のシュラウドとドライヤーのひび割れ。また国への報告を怠ったり事実に反する報告をした可能性のあるものが5件、自主保安のあり方が不適切だったものが4件と判断した。

 柏崎刈羽原発1号機では、1994年の定期検査でゼネラル・エレクトリック(GE)社が長さ約25mmのひび割れの兆候を発見し、東電に英文報告書を提出したが、東電は軽度なひび割れとして「異常なし」と判断。GE社も異常がないとする日本語報告書を提出した。同社は96年の定検でひび割れが進展していないと報告し、97年の定検では新たに長さ約20mmのひび割れの兆候を見つけて英文報告書を提出したが、やはり日本語報告書では異常なしと記載した。

 保安院では、追加調査が行われないまま放置されていたと指摘。今回のケースについてはひび割れの兆候を認めた上で判断理由を付して「異常なし」と記録すべきだったとし、自主保安として不適切と判断した。今後の点検時にはきちんと検査を行い、ひび割れが確認された場合は国に報告し、所要の対応をとる必要があると指示した。

 また同じく1号機で蒸気乾燥機(ドライヤー)の損傷を未報告のまま修理したとされたケースは、94年の定検でGE社が誤ってドライヤー下部のガイド部の一部を変形させたもの。東電の了解を得て補修し、東電では次回定検でも確認した。保安院では、法令上の手続きを必要とせず「特段の問題はないと考えられる」とした。

 一方、同原発2、5号機のジェットポンプで疑いがあるとされた未修理や未報告の摩耗・すき間については、2号機は2000年の定検でGE社がセットスクリュー部の一部にすき間を発見・指摘したが、東電は承知していないという。5号機は97年からの定検でGE社がウェッジ(固定用くさび)の位置ずれ、摩耗を見つけ、口頭で東電に報告。東電は問題ないと判断して対応はとらなかった。GE社は2000年の定検で再点検し補助ウェッジの取り付け工事を行い、問題ないとする資料を東電に提出した。保安院では2件とも、GE社が指摘した程度であれば問題はないとしたが、メーカーなどによる自主的な補修は手順の明確化を求めた。

(2002/ 9/14)

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