一太郎Ark1.1


株式会社ジャストシステムでは,XMLオーサリングツールである一太郎Arkを発売した.同製品は,100%PureJavaで開発されているだけではなく,XMLのオーサリング,マルチリンガル対応,プラグインによる容易な機能拡張など多数の先進的な機能を搭載している.

一太郎Arkは,XMLとJavaを融合した世界初のハイブリッド-ドキュメンテーションツールである.

一太郎Arkによって,XMLのネイティブドキュメンテーション環境が提供され,さらに,XMLとジャストシステムが得意とする自然言語処理の相互補完によってドキュメント価値を向上させることができる.

一太郎Arkは,J2SE準拠の100%PureJavaで開発されているため,マルチプラットフォームに対応している.しかも,通常のJavaアプリケーションと違い,速度が犠牲になっておらず比較的高速に動作する(現在のところ,約3000人のユーザがいるが,速度に関する苦情は出ていない).

また,一太郎Arkはマルチリンガルに対応しており,各国の言語での入力,表示が可能なばかりでなく, GUIに表示される言語までユーザが選択可能である.ただし,右から左へ表記するアラビア語,隣り合う文字が合成されるタイ語などは,より複雑な実装が必要なため今回の製品ではサポートされていない.また,各言語表示のためにフォントの設定や入力環境が別途必要となる.

また,一太郎Arkに機能を追加したい場合,プラグインとして追加することができる.プラグインとして追加できる機能には,GUIに関する各語種リソース,ファイルコンバータ,XML関係,ユーザインタフェースなど様々なものがある.
さらに,プラグインは,システム全体で共有するプラグインと個別のユーザごとに設定されるプラグインとに分けて設定可能であるため,各会社や各ユーザの様々なニーズに応じて柔軟にカスタマイズ可能である.また,プラグインをユーザ自身が実装することも可能であるため,一太郎Arkの利用範囲は大変広いと思う.

また,一太郎Arkは,HTML4.0およびXHTMLを標準フォーマットとして採用している (HTML3.2のユーザのために,HTML3.2で保存できるプラグインも開発中).その他に,Document Object Model (DOM) レベル1 (一部,レベル2を採用) や, Cascade Style Sheet (CSS) レベル1 (一部,レベル2,3を採用) に準拠するなど, W3Cが提唱している標準仕様を積極的に採用している.
これにより,タグ定義による柔軟な拡張性を持ちつつ,作成したドキュメントは半永久的に様々なアプリケーションで利用可能となる.さらに,Namespaceタグセットをユーザ自身がGUIの定義エディタを使って簡単に定義して,HTML/XHTMLに埋め込むことも可能である. これにより,一太郎Arkでは,XMLに精通していないユーザでも簡単にNamespaceタグを自分で定義することができる. 今後,一太郎Arkでは,この様な仕組みを多数用意することで,一般ユーザには難しいと考えられているXMLを身近なものにしていきたい.その他に,一太郎Arkには印刷や既存ファイルの変換,キーカスタマイズ,ユーザ設定と共通設定の区別して設定するなども可能である.

現在の一太郎Arkは,XMLプロセッサ,CSSエンジン,DOMエンジン,プラグインマネージャ,基本編集エンジン,グラフ作成や印刷などの各種プラグインなどから構成される (Xlinkエンジンも開発予定). XMLプロセッサは,XML,HTMLの読込みや,不整合のあるHTML文章の整形などを行う. DOMエンジンは,オブジェクトツリーを作り,基本的なオブジェクト操作を提供する.ただし,DOMレベル1を拡張してUNDO,編集イベントの生成を可能にしている. CSSエンジンは,埋め込みスタイルシートの編集機能を提供している.ただし,CSSレベル1を拡張してセレクタやテーブルに対応している.また,基本編集エンジンでは,DOMツリー上の編集機能やスタイルシートの編集機能を提供し,ユーザが自然に編集できるように工夫している.

このように,一太郎Arkは,XML利用に必要な機能を元に再構成しているため, XML利用に最適な機能構成となっている.したがって,一太郎Arkでは,書式と意味付けの渾然とした体系維持のためにノイズや再利用しにくい情報の多い文章を生成しがちになる,互換性を維持するために機能のモジュール化が困難といったXML対応の従来ワープロにありがちな問題が発生しにくい.さらに一太郎Arkでは,オープンな仕様に基づいて徹底的にモジュール化を行っているため,仕様が改変されても外部モジュールを入れ替えるだけで迅速に対応できる.また,インターネットを使った分散環境などに素直に対応できるなどのメリットがある.

今後,一太郎Arkでは,オープンな規格に準拠したオフィスアプリケーション (メール,表計算,プレゼンテーションなど) を提供していきたい.また,XMLの進化と共にその要素を積極的に取り込むことで,1つのデータを様々なアプリケーションで利用できるハイブリットドキュメントの利用環境を整備していきたいと考えている.


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Last-modified: 2022-06-03 (金) 19:20:43 by pukiwiki 1.5.4