松茸(日本語入力システム)

「松茸」
「松」のかな漢字変換機能を独立させた日本語入力フロントプロセッサが「松茸」である。独立のきっかけは、管理工学研究所がLotus 1-2-3の日本語化を請け負う際、「松」のかな漢字変換をMS-DOSのデバイスドライバ化したため。デバイスドライバ化作業自体は1週間程度で完了したという。

「松茸」は他の日本語入力システムと大きく違う点として文法解析などを最低限にし、構文解析の高度化よりも人的な判断に任せる方針で文法解析を一切せず名詞だけで変換する「複合語変換」を採用した(ただし、ビジネスで頻繁に使われる言葉を例外的に変換するようにした)。

複雑な文法解析を止めた理由として、「文章はクセが出るので、よく使う単語は決まってくる。名詞だけの羅列として変換する方が、複雑な解析で変な文章に変換されてしまうよりは速く入力できる」ことから。この意図を理解したユーザの一部は、「辞書を鍛える」「辞書を調教する」ことがあった。なお競合他社のジャストシステムの「ATOK」などでは「スペースバー」は「変換」に割り当てられ、これが一般的になったが、「松茸」は「文節を切る」意図を示す「空白」が割り当てられており「XFER(変換)」キーで変換する(松茸V2のEMS対応バージョン以降はスペースバーで変換することも可能になっている)。

開発元の管理工学研究所非公認ではあったがユーザで文法書ファイル等を改造し日経MIXなどで公開されることがあった。
また、メガソフトのエディタ「MIFES」に「松茸」のサブセットがバンドルされている時期があった。

「松茸」は「松」のみならず同社の「桐」にも付属したため「松」の開発終了後も使用され、Windows対応版も開発、Windows 98/NT4.0まで対応した版が出された。このバージョンは、2013年発売の「桐9s 2014」までバンドルされていたが、2014年発売の「桐10」からは削除されている。
バージョン
1986年 - 「松86」開発の際、「松」の日本語入力システムを松から分離しデバイスドライバ化する。「松茸86」と名付けられる。「松」のほか「Lotus 1-2-3」の日本語版にもバンドルされた。
1987年 - 「新松」バージョンアップ時に松茸もver.2にバージョンアップされる。
1991年 - 「松ver.5」バージョンアップされると同時に松茸もver.3にバージョンアップ。拡張ドライバが用意され、「部首引き」「コード表」「実数電卓」「ローマ字カスタマイズ」などが提供された。
1995年 - 「桐ver.5」発売に伴い、DOS/V版についてはPC-DOS/VだけでなくMS-DOS/Vでの動作にも対応するため、「$IAS.SYS」対応版に加えて「KKCFUNC.SYS」対応版が追加されている。
1997年 - 「桐ver.6」の開発途上版「七夕版」で「松茸ver.4 七夕版」が配布される。同年「桐ver.6」発売と共に「松茸ver.4」を桐にバンドルする。
1998年 - 「桐ver.7」発売。「松茸ver.4」からは変更はない。「桐ver.7」のCD-ROMに、「一括登録用辞書データ『松茸の素』第3版」(シェアウェア)が同梱された。
1998年 - 「松茸ver.4.1」をシェアウェアで発売開始。
1999年 - 「桐ver.8」で「松茸ver.4.1 SP1」が提供される。Windows版はこれが最終版。増田忠士による「チョイ入力法」をローマ字カスタマイズでサポートした。テンキーを携帯電話に見立てたカスタマイズファイルも同梱。
2000年 - 増田式キーボード学習法準拠練習ソフト「松打」を発売。「松茸ver.4.1 SP1」を同梱した。
2002年 - Symbian OSに関する業務提携に伴い、Symbian OSへの「松茸」移植開始。
2006年 - NTTドコモのビジネス向け端末「FOMA M1000」用Bluetoothキーボード「RBK-1000BT」で「モバイル松茸」がバンドルされる。
2008年 - 海外邦人向けにノキア製携帯電話の日本語化プラグイン「+J for S60」を発売。「松茸 for S60」をバンドルしている。
2013年 - 「桐9s」発売。このバージョンまでWindows版の「松茸ver.4.1 SP1」が同梱された。
2014年 - 「桐10」発売。これをもって、「松茸」のWindows版は同梱されなくなった。


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Last-modified: 2022-06-03 (金) 19:20:56 by pukiwiki 1.5.4